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第146話 変わらないハワーズ・ダイナー
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「ホリー! ニール!」
私たちがハワーズ・ダイナーに行くと、アネットが駆け寄ってきた。
「ただいま、アネット。心配かけてごめん」
私たちは再会を抱き合って喜ぶ。
「ニールも」
それからアネットはニールともハグをして再会を喜び合った。
「ねえ、その人たちは?」
「アタシはニコラや。キエルナの魔道具研究所で魔道具を研究しとるんや。こいつらはホリーの下僕や」
「ちょっと、ニコラさん……」
「下僕の将司です」
「マクシミリアンと申しますじゃ」
「はぁ……。ホリーとニールの幼馴染のアネットです。どうぞお座りください」
そして私たちが腰かけるとすぐにアネットはメニューを運んできた。
「ホリーとニールはいつもの?」
「うん」
「俺も」
「分かったわ」
アネットはすぐにお客様向けの営業スマイルを浮かべ、ニコラさんたちに説明を始める。
「お客様、当店では三種類から選べるお得な日替わり定食がございます。そのほかの料理をご注文の際はこちらからお選びください」
「アタシはこの日替わり定食Aで」
「俺もAで」
「ワシはBでお願いします」
「かしこまりました。少々お待ちください」
そう言ってアネットは奥に下がっていったが、すぐに私のところに戻ってきた。
「ホリー、あのね。なんだか外が吹雪いてきちゃったみたいなの。お店の戸締りは大丈夫?」
「え? ……あ! そっか。うん、大丈夫だよ。でもお薬そんなに持ってきてないよ? 預けておいたのは?」
「うん。だからちょっと大丈夫か見て貰える?」
「わかった。あの、ちょっと席を外しますね」
「ええで。アタシらはここで待っとるで」
「はい。じゃあ、いってきます」
不思議そうな顔をしているマクシミリアンさんとショーズィさんを残し、地下にある食料貯蔵庫へと向かった。
ここは冷蔵室になっているので、部屋全体が涼しく保たれている。今は冬なので放っておけば冷えるが、夏には魔道具を動かして部屋を冷やすことができるのだ。ここなら外気も入らず湿度も一定で、直射日光にさらされる心配もないため、傷みやすいお薬や素材を出発前に預かってもらっていたというわけだ。
「うーん、やっぱりちょっと帰ってくるのが遅すぎたかなぁ。結構ダメになっちゃってる。ここからここまでは廃棄かな。あ、これも。これは大丈夫だけど……風邪薬はないしなぁ」
「仕方ないよ。何かで代用できない?」
「それならショウガと蜂蜜を暖かいお湯で割ったものを飲んでもらおうか。全裸で外に行っちゃったら多分ダメだけど……」
「そっか。でもやらないよりはマシかな?」
「うん。あ! ニール兄さんにも飲ませたほうがいいかな?」
「え? あ、ああ。そうね。大丈夫じゃないかな。あのときは色々あったみたいだし」
そう言ってアネットは微妙な表情を浮かべる。
「そっか。じゃあ私は席に戻るね。やっぱりちょっと寒いや」
「うん。私は厨房を確認してくる」
こうして私がフロアに戻ってくると、なんと全裸四人組が勢揃いしているではないか!
「あ! ホリーちゃん! やっぱり帰ってきた! お帰り!」
「はい。サンドラさん、ただいまです」
「んー、やっぱりハワーズ・ダイナーにはホリーちゃんがいないと始まらないものねぇ」
「……飲みすぎちゃダメですよ。今日は帰ってきたばかりでお出しできるお薬はありませんから」
「ええっ!? そんなぁ。ホリーちゃんのいない日々はどれだけ辛かったことか」
そういって泣き真似をしているが、飲みすぎなければいいだけだと思うのは私だけではあるまい。
「やあ、ホリーちゃん。おかえり」
「アンディさん、ただいま」
「やっぱりホリーちゃんがいないとハワーズ・ダイナーって気がしないんだよなぁ」
「サンドラさんにも言いましたけど、今日はお出しできるお薬がないので飲み過ぎは禁止ですよ」
「分かってるって。いつもそんなに飲んでないじゃないか」
「……」
「この鍛え上げられた筋肉がお酒になんか負けるわけないでしょ?」
そういって何かのポーズを取って二の腕をぴくぴくさせているが、私の知っているアンディさんは大抵お酒に負けている。
「とにかく、飲みすぎちゃダメですからね」
「もちろんだよ」
アンディさんはそう言って席に戻っていったが、どうせ今日も全裸で飛び出していくに違いない。
気が重くなりながらも席に戻ると、すぐにシンディーさんが料理を運んできてくれた。
「ホリーちゃん、おかえり。はい、いつものだよ」
「ただいま。わ! 美味しそう!」
今日の夕食はハワーズ・ダイナー特製のハンバーグプレートだ。いつものと言って注文するとランチのハンバーグが残っているときだけディナーでもハンバーグを出してもらえる。
ちなみに今日のA定食はチキングリルでB定食はトラウトのグリルらしい。誰も頼まなかったがC定食は野菜とキノコのグラタンのようだ。
ハンバーグがなかったら多分私にはC定食を出してくれていたような気がする。
「いただきます」
ショーズィさんが不思議な挨拶をしてから食事に手をつけ始めた。きっとあれがショーズィさんの国の風習なのだろう。
私たちもショーズィさんに続いて食べ始める。
そうして半分くらい食べ終えたところでいつもの騒ぎが始まった。
あれ? 今日は普段よりも早いような?
そんなことを思っているとゴンという音が私の背後から聞こえてくる。
「ホリーに迷惑をかけるからダメって言ってるじゃないですか。これ以上飲むならこれを飲んでください」
「んんー? なにこれぇ?」
サンドラさんはすでに泥酔しているようだ。
「ん? なにこれおいしいじゃなぁい。ショウガとはちみつぅ?」
どうやら私の提案したものを飲ませているようだが、もうそういう段階ではない気がする。
「あっ! わかったぁ! こうだぁ!」
「あっ! そんな飲み方!」
「あははははは。おいしー!」
「ちょっと! 脱いじゃダメです! サンドラさん!」
それからゴンという音が聞こえたところで我慢できずに私は後ろを振り返った。
するとそこには頭を抱えているサンドラさんとお盆を持ったシンディーさんとアネットがいる。
サンドラさんはまだ席に座っており、テーブルの上にはショウガと蜂蜜をお湯で割った飲み物が入っているであろうマグカップとお酒の入った瓶が置かれていた。
すると同じ席に座っているポールさんが笑いながら自分のマグカップの中にお酒を注ぎ始めた。
「あはははははは、これ、おいしいなぁ。あはははははは」
ポールさんもすでに出来上がっているようだ。
どうやら今日も全裸は避けられそうもない。
私はお店にあった素材を思い出し、二日酔いの薬がどれくらい作れるかを計算し始めるのだった。
私たちがハワーズ・ダイナーに行くと、アネットが駆け寄ってきた。
「ただいま、アネット。心配かけてごめん」
私たちは再会を抱き合って喜ぶ。
「ニールも」
それからアネットはニールともハグをして再会を喜び合った。
「ねえ、その人たちは?」
「アタシはニコラや。キエルナの魔道具研究所で魔道具を研究しとるんや。こいつらはホリーの下僕や」
「ちょっと、ニコラさん……」
「下僕の将司です」
「マクシミリアンと申しますじゃ」
「はぁ……。ホリーとニールの幼馴染のアネットです。どうぞお座りください」
そして私たちが腰かけるとすぐにアネットはメニューを運んできた。
「ホリーとニールはいつもの?」
「うん」
「俺も」
「分かったわ」
アネットはすぐにお客様向けの営業スマイルを浮かべ、ニコラさんたちに説明を始める。
「お客様、当店では三種類から選べるお得な日替わり定食がございます。そのほかの料理をご注文の際はこちらからお選びください」
「アタシはこの日替わり定食Aで」
「俺もAで」
「ワシはBでお願いします」
「かしこまりました。少々お待ちください」
そう言ってアネットは奥に下がっていったが、すぐに私のところに戻ってきた。
「ホリー、あのね。なんだか外が吹雪いてきちゃったみたいなの。お店の戸締りは大丈夫?」
「え? ……あ! そっか。うん、大丈夫だよ。でもお薬そんなに持ってきてないよ? 預けておいたのは?」
「うん。だからちょっと大丈夫か見て貰える?」
「わかった。あの、ちょっと席を外しますね」
「ええで。アタシらはここで待っとるで」
「はい。じゃあ、いってきます」
不思議そうな顔をしているマクシミリアンさんとショーズィさんを残し、地下にある食料貯蔵庫へと向かった。
ここは冷蔵室になっているので、部屋全体が涼しく保たれている。今は冬なので放っておけば冷えるが、夏には魔道具を動かして部屋を冷やすことができるのだ。ここなら外気も入らず湿度も一定で、直射日光にさらされる心配もないため、傷みやすいお薬や素材を出発前に預かってもらっていたというわけだ。
「うーん、やっぱりちょっと帰ってくるのが遅すぎたかなぁ。結構ダメになっちゃってる。ここからここまでは廃棄かな。あ、これも。これは大丈夫だけど……風邪薬はないしなぁ」
「仕方ないよ。何かで代用できない?」
「それならショウガと蜂蜜を暖かいお湯で割ったものを飲んでもらおうか。全裸で外に行っちゃったら多分ダメだけど……」
「そっか。でもやらないよりはマシかな?」
「うん。あ! ニール兄さんにも飲ませたほうがいいかな?」
「え? あ、ああ。そうね。大丈夫じゃないかな。あのときは色々あったみたいだし」
そう言ってアネットは微妙な表情を浮かべる。
「そっか。じゃあ私は席に戻るね。やっぱりちょっと寒いや」
「うん。私は厨房を確認してくる」
こうして私がフロアに戻ってくると、なんと全裸四人組が勢揃いしているではないか!
「あ! ホリーちゃん! やっぱり帰ってきた! お帰り!」
「はい。サンドラさん、ただいまです」
「んー、やっぱりハワーズ・ダイナーにはホリーちゃんがいないと始まらないものねぇ」
「……飲みすぎちゃダメですよ。今日は帰ってきたばかりでお出しできるお薬はありませんから」
「ええっ!? そんなぁ。ホリーちゃんのいない日々はどれだけ辛かったことか」
そういって泣き真似をしているが、飲みすぎなければいいだけだと思うのは私だけではあるまい。
「やあ、ホリーちゃん。おかえり」
「アンディさん、ただいま」
「やっぱりホリーちゃんがいないとハワーズ・ダイナーって気がしないんだよなぁ」
「サンドラさんにも言いましたけど、今日はお出しできるお薬がないので飲み過ぎは禁止ですよ」
「分かってるって。いつもそんなに飲んでないじゃないか」
「……」
「この鍛え上げられた筋肉がお酒になんか負けるわけないでしょ?」
そういって何かのポーズを取って二の腕をぴくぴくさせているが、私の知っているアンディさんは大抵お酒に負けている。
「とにかく、飲みすぎちゃダメですからね」
「もちろんだよ」
アンディさんはそう言って席に戻っていったが、どうせ今日も全裸で飛び出していくに違いない。
気が重くなりながらも席に戻ると、すぐにシンディーさんが料理を運んできてくれた。
「ホリーちゃん、おかえり。はい、いつものだよ」
「ただいま。わ! 美味しそう!」
今日の夕食はハワーズ・ダイナー特製のハンバーグプレートだ。いつものと言って注文するとランチのハンバーグが残っているときだけディナーでもハンバーグを出してもらえる。
ちなみに今日のA定食はチキングリルでB定食はトラウトのグリルらしい。誰も頼まなかったがC定食は野菜とキノコのグラタンのようだ。
ハンバーグがなかったら多分私にはC定食を出してくれていたような気がする。
「いただきます」
ショーズィさんが不思議な挨拶をしてから食事に手をつけ始めた。きっとあれがショーズィさんの国の風習なのだろう。
私たちもショーズィさんに続いて食べ始める。
そうして半分くらい食べ終えたところでいつもの騒ぎが始まった。
あれ? 今日は普段よりも早いような?
そんなことを思っているとゴンという音が私の背後から聞こえてくる。
「ホリーに迷惑をかけるからダメって言ってるじゃないですか。これ以上飲むならこれを飲んでください」
「んんー? なにこれぇ?」
サンドラさんはすでに泥酔しているようだ。
「ん? なにこれおいしいじゃなぁい。ショウガとはちみつぅ?」
どうやら私の提案したものを飲ませているようだが、もうそういう段階ではない気がする。
「あっ! わかったぁ! こうだぁ!」
「あっ! そんな飲み方!」
「あははははは。おいしー!」
「ちょっと! 脱いじゃダメです! サンドラさん!」
それからゴンという音が聞こえたところで我慢できずに私は後ろを振り返った。
するとそこには頭を抱えているサンドラさんとお盆を持ったシンディーさんとアネットがいる。
サンドラさんはまだ席に座っており、テーブルの上にはショウガと蜂蜜をお湯で割った飲み物が入っているであろうマグカップとお酒の入った瓶が置かれていた。
すると同じ席に座っているポールさんが笑いながら自分のマグカップの中にお酒を注ぎ始めた。
「あはははははは、これ、おいしいなぁ。あはははははは」
ポールさんもすでに出来上がっているようだ。
どうやら今日も全裸は避けられそうもない。
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