少年刑事レオンの冒険──犯罪者を出し抜け!

作家志望の怠惰な学生

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ジェームズトンプソンと深紅の男

決死の侵入

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「リーパー刑事!」

 レオンは真摯な顔で彼に迫った。

「まったく、今度はなんだね」

 リーパーは、僕たちの行動など気にも留めていないようだった。

「ジェームズと、教授の居場所が分かったんです!」

 レオンがそう言い放つも、リーパーは見下したような目つきで「ふむ」と漏らすばかり。

「とりあえず、聞こうじゃないか。私はジェームズなどとは違って、子供だからといって無視したりはしないからね」

 僕たちは、身振り手振りでトンプソンのものらしき血痕、積荷目録、出航記録について説明した。リーパーは終始上から目線だったが、ちゃんと理解してくれているようだった。

「君たち、なかなかやるじゃないか」

「だが証拠が薄いぞ。その血痕とやらは調べてみるが、今のところ部隊は動かせない」

「そんな!」

 僕は思わず声を上げた。

「なら俺たちだけで行きますよ!」

 レオンがもっと大きな声で言い、リーパーに背を向けて去ろうとする──僕も後を追おうとした。だが歩みを進める前に、肩に力強く手を置かれた。

「気を付けることだ」

 そう後ろから囁かれた──返答しないまま、レオンの後に続いて港を後にした。

「貨物船は、ここからそう遠くない別の港に停まってる。国境はまだ越えていない。車で向かっても間に合うと思う」
「分かった。またタクシーを拾わないとな」

 大きな道路に出て手を伸ばし、タクシーを待つ間──レオンはやけに神妙な顔になっていた。

「チャック……覚悟は出来てるか? 計画は船に侵入して、二人を助け出す。それだけだ。だけど、ほぼ確実に危険が伴うぞ」
「一人で背負わせたりしないさ」
 
 と僕は頷き、苦笑いしてみせた──タクシーが停まった。地獄へのものとも見て取れるドアが開き、僕たちは息をついて乗り込んだ。




 夜は更け、貨物船の影が霧に浮かぶ。乗り込むための橋は降ろされていない。貨物船は巨大で、ときおり波に打たれて派手な衝撃音を出している。

「さて、どうやって侵入するんだ?」

 僕は挑戦するように囁いた。

「船の碇についている鎖を伝っていくぞ」
「おい正気か!?」
「ここへ来て侵入しようとしている時点で、とうに正気じゃないだろ!」

 レオンは軽く怒鳴り、その「鎖」を掴みに行くためだと言って、大きく息を吸って堤防の縁を蹴り、海に飛び込んだ。

 しばらく不安げに水面を眺めていたが、船の甲板へとつながる鎖全体に目を凝らしてみると、中間あたりで必死によじ登るレオンが見えた。

「さあ、来い!」

 息をのみ、レオンとは対照的に、堤防に腰かけ徐々に海水に浸かっていった。水は究極という程ではないがとても冷たく、瞬く間に僕は凍え始めた。

 震える体をがむしゃらに動かし、鎖へとたどり着いた。レオンはすでに甲板まで数歩のところにいる。水から上がっても、体は激しく痙攣していて、伝っていくのは至難だった。

〈守りたい──〉

 その言葉を呪詛のように頭で繰り返し唱え、手足を動かしていく。か細いうなり声を上げまくり、喉がボロボロになっていく。

「なんだろう?」

 僕でもレオンでもない声が、すぐ近くから響いた。

 僕は痙攣を気合いで鎮め、その男が去るのを待っていた──

「だれなんだよ、君は!」

 男がヒステリーを起こした──レオンが見つかってしまったのだ。

 幸い、レオンは僕の視界からすぐに消え、甲板に乗り込んだ。男の声は、ちょっとしたうめき声を境に、聞こえなくなった。

 なんとか自分も甲板まで上がることに成功し、船の縁にある手すりをくぐった。目の前に横たわっていたのは、記憶の片隅にかろうじて残っていた弱弱しい男──あの古びた城で、リアムという男に威圧されていた奴だ。

 つまり、ここにはリアム本人もいる可能性が高い──

 錆びた甲板が軋む中、辺りを神経質に見回し、船底へ続く階段を見つけた。静かに降りていくと、一つの重い扉が目に入った。そこからは、正体不明の、不気味なこもった声が、幽霊のように扉を通り抜けて語り掛けてくる。

 扉は重く、隙間から薄い光が漏れる。力強く、かつそっと開けてみると──思わずハッと息をのんだ。

 なんということか。縄でパイプに固定された、教授と思わしき若い女性と、トンプソンが見えた──そしてもう一人。灰色のローブに深紅の仮面、長身で不気味な笑いを漏らす人物がいた。



 あとがき

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