伯爵令嬢の恋

アズやっこ

文字の大きさ
2 / 23

しおりを挟む
「お嬢様、俺がやりますよ」


 私は花壇の手入れをしている。庭師も前は居たけど高齢で辞めてから新しい庭師は雇ってない。だから最近は私が花壇の手入れをしているの。人様から見える花壇には花を植えて、目立たない花壇で野菜を作ってる。


「良いのよ、私は好きでやってるの」

「俺も暇なので」

「そう? なら手伝ってくれる?」

「はい」

「ねえクロード」

「何ですか?」

「クロードは結婚したい?」

「俺ですか?出来ればしたいですね。ですが俺には無理ですから」

「ねえクロ」

「何ですか?」

「ねえクロ」

「何?」

「クロは捨て子なの気にしてるの?」

「当たり前だろ」


 クロ、クロードは子供の時、親に捨てられた。街で倒れてる所を私とお兄様が見つけ、邸に連れて来た。

 私より三つ年上の19歳。この家で一緒に過ごし騎士になる為に努力して今は護衛として伯爵家に仕えてる。御者の代わりもするから馬の扱いもお手のもの。

 私がクロと呼ぶ時はクロも前の様に話してくれる。私にとって幼馴染みみたいな存在なの。


「だから結婚は無理なの?」

「それだけじゃないけどな」

「じゃあ何?」

「結婚はしたいけど家族ってものが怖い」

「女は抱きたいけど子供はいらない、みたいな?」

「お前な、」

「違うの?なら遊びなら良いけど本気は嫌、みたいな?」

「だから、お前な、一応令嬢だろ?恥じらいはどうした!」

「どこかに落としてきたのかもね?」

「はぁぁぁ」

「何よ!」

「お前も女ならそういう事を言うな!」

「あのね!私だって知ってるわよ!男女の営みぐらい」

「だとしてもだ」

「それでもそういう事でしょ?」

「ちょっと違うけどな」

「何が違うの?」

「結婚はしたい。俺だけのものってのが欲しいんだ」

「なら家族が怖いは?」

「親に捨てられた俺が子供を可愛がれるのか?俺も親みたいに子供を捨てるかもしれないだろ?」

「やっぱり女は抱きたいけど子供はいらないじゃない」

「子供がいらない訳じゃない。子供は欲しい。家族になるのが嫌な訳じゃない、憧れもある。俺は親のようにはならないと思う反面、親と同じ事をしたらどうしようと不安になる。だから怖い。大事な物を持つって事がな」

「大事な物を持つのは誰だって怖いわよ。失くしたくないと思う気持ちが大きい程ね」

「それより急にどうした?結婚したいかなんて聞いてきて」

「お父様がまたね…」

「縁談か?」

「そう。今回は恋人が居る人と女好きとお爺ちゃん」

「お前も大変だな」

「全て断ったわよ?当たり前じゃない。何で好き好んで問題ありの人と結婚するのよ。私は私だけを愛してくれる人がいい。別に貴族じゃなくてもね。貴族にしがみつきたい訳じゃないし」

「それでも旦那様はお前に幸せになってほしいだけだろ?」

「それは分かってるわよ? 貴族に嫁ぐ事が幸せなの?」

「平民に嫁げば全て自分でやらないといけないんだぞ」

「今だって同じじゃない。洗濯は任せてるけど、掃除だって、ご飯の下準備だって手伝ってるわ」

「それでも貴族と平民では生活が違うだろ?」

「まあ分かるわよ?お嬢様育ちのお母様は未だに一人で何も出来ないもの」

「奥様は根っからのお嬢様だからな」

「まあね。元侯爵令嬢だからね。それも裕福なね」

「まあな」

「今頃優雅にお茶でも飲んでそうだけど」

「それはあり得るな」

「お兄様が頑張って領地を盛りたててもお母様が使ってたら意味ないじゃない。だからお兄様に嫁が来ないのよ?」

「若ならいつでも嫁が来るさ」

「そうだけど…。お兄様、お母様に似て見目は良いものね」

「お前も可愛いだろうが」

「私はお父様に似て普通なの。良くも悪くもなくて普通」

「普通なのは髪の色だろ?顔は奥様に似てるぞ?」

「見た目が普通なら結局普通なのよ。さあ下準備の手伝いに行こうかな」

「俺も手伝うか?」

「クロはここの片付けお願い」

「それはいいけど」

「ならお願いね」


 私は邸の中に入った。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

嫌いなあいつの婚約者

みー
恋愛
朝目が覚めると、見たことのない世界にいて?! 嫌いな幼馴染みが婚約者になっている世界に来てしまった。 どうにかして婚約を破棄しようとするけれど……?

「幼馴染は、安心できる人で――独占する人でした」

だって、これも愛なの。
恋愛
幼い頃の無邪気な一言。 「お兄様みたいな人が好き」――その言葉を信じ続け、彼はずっと優しく隣にいてくれた。 エリナにとってレオンは、安心できる幼馴染。 いつも柔らかく笑い、困ったときには「無理しなくていい」と支えてくれる存在だった。 けれど、他の誰かの影が差し込んだ瞬間、彼の奥に潜む本音が溢れ出す。 「俺は譲らないよ。誰にも渡さない」 優しいだけじゃない。 安心と独占欲――その落差に揺さぶられて、エリナの胸は恋に気づいていく。 安心できる人が、唯一の人になるまで。 甘く切ない幼馴染ラブストーリー。

白詰草は一途に恋を秘め、朝露に濡れる

瀬月 ゆな
恋愛
ロゼリエッタは三歳年上の婚約者クロードに恋をしている。 だけど、その恋は決して叶わないものだと知っていた。 異性に対する愛情じゃないのだとしても、妹のような存在に対する感情なのだとしても、いつかは結婚して幸せな家庭を築ける。それだけを心の支えにしていたある日、クロードから一方的に婚約の解消を告げられてしまう。 失意に沈むロゼリエッタに、クロードが隣国で行方知れずになったと兄が告げる。 けれど賓客として訪れた隣国の王太子に付き従う仮面の騎士は過去も姿形も捨てて、別人として振る舞うクロードだった。 愛していると言えなかった騎士と、愛してくれているのか聞けなかった令嬢の、すれ違う初恋の物語。 他サイト様でも公開しております。 イラスト  灰梅 由雪(https://twitter.com/haiumeyoshiyuki)様

王子、侍女となって妃を選ぶ

夏笆(なつは)
恋愛
ジャンル変更しました。 ラングゥエ王国唯一の王子であるシリルは、働くことが大嫌いで、王子として課される仕事は側近任せ、やがて迎える妃も働けと言わない女がいいと思っている体たらくぶり。 そんなシリルに、ある日母である王妃は、候補のなかから自分自身で妃を選んでいい、という信じられない提案をしてくる。 一生怠けていたい王子は、自分と同じ意識を持つ伯爵令嬢アリス ハッカーを選ぼうとするも、母王妃に条件を出される。 それは、母王妃の魔法によって侍女と化し、それぞれの妃候補の元へ行き、彼女らの本質を見極める、というものだった。 問答無用で美少女化させられる王子シリル。 更に、母王妃は、彼女らがシリルを騙している、と言うのだが、その真相とは一体。 本編完結済。 小説家になろうにも掲載しています。

月が隠れるとき

いちい千冬
恋愛
ヒュイス王国のお城で、夜会が始まります。 その最中にどうやら王子様が婚約破棄を宣言するようです。悪役に仕立て上げられると分かっているので帰りますね。 という感じで始まる、婚約破棄話とその顛末。全8話。⇒9話になりました。 小説家になろう様で上げていた「月が隠れるとき」シリーズの短編を加筆修正し、連載っぽく仕立て直したものです。

【完結】その仮面を外すとき

綺咲 潔
恋愛
耳が聞こえなくなってしまったシェリー・スフィア。彼女は耳が聞こえないことを隠すため、読唇術を習得した。その後、自身の運命を変えるべく、レイヴェールという町で新たな人生を始めることを決意する。 レイヴェールで暮らし始めた彼女は、耳が聞こえなくなってから初となる友達が1人でき、喫茶店の店員として働くことも決まった。職場も良い人ばかりで、初出勤の日からシェリーはその恵まれた環境に喜び安心していた。 ところが次の日、そんなシェリーの目の前に仮面を着けた男性が現れた。話を聞くと、仮面を着けた男性は店の裏方として働く従業員だという。読唇術を使用し、耳が聞こえる人という仮面を着けて生活しているシェリーにとって、この男性の存在は予期せぬ脅威でしかない。 一体シェリーはどうやってこの問題を切り抜けるのか。果たしてこの男性の正体は……!?

東雲の空を行け ~皇妃候補から外れた公爵令嬢の再生~

くる ひなた
恋愛
「あなたは皇妃となり、国母となるのよ」  幼い頃からそう母に言い聞かされて育ったロートリアス公爵家の令嬢ソフィリアは、自分こそが同い年の皇帝ルドヴィークの妻になるのだと信じて疑わなかった。父は長く皇帝家に仕える忠臣中の忠臣。皇帝の母の覚えもめでたく、彼女は名実ともに皇妃最有力候補だったのだ。  ところがその驕りによって、とある少女に対して暴挙に及んだことを理由に、ソフィリアは皇妃候補から外れることになる。  それから八年。母が敷いた軌道から外れて人生を見つめ直したソフィリアは、豪奢なドレスから質素な文官の制服に着替え、皇妃ではなく補佐官として皇帝ルドヴィークの側にいた。  上司と部下として、友人として、さらには密かな思いを互いに抱き始めた頃、隣国から退っ引きならない事情を抱えた公爵令嬢がやってくる。 「ルドヴィーク様、私と結婚してくださいませ」  彼女が執拗にルドヴィークに求婚し始めたことで、ソフィリアも彼との関係に変化を強いられることになっていく…… 『蔦王』より八年後を舞台に、元悪役令嬢ソフィリアと、皇帝家の三男坊である皇帝ルドヴィークの恋の行方を描きます。

【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした

ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。 彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。 そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。 しかし、公爵にもディアにも秘密があった。 その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。 ※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています ※表紙画像はAIで作成したものです

処理中です...