旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。

アズやっこ

文字の大きさ
11 / 19

結婚三年目

しおりを挟む
 今日は三年目の記念日です。

 この国では結婚してから三年間子供が出来ない場合、妻側から離縁を申請できるのです。

 子供が出来ずとも仲の良い夫婦はいます。反対に子供が出来ても仮面夫婦もいます。それでも貴族にとって跡継ぎなる子供が必要なのです。

 夫側から子供が出来ないからと離縁をするのは簡単です。ですがその場合身一つで捨てられます。戻る実家が受け入れてくれない場合、最悪、自ら死を選ぶ人もいます。又、子供が出来ないと言うだけで女性としての役割がないと修道院に送られる事もありました。又、どうせ子供が出来ないならと娼館に元嫁を売る方もいました。

 それらが問題になりました。

 『女性は子供を産む道具ではない』

 それ以降、結婚して三年間子供が出来なければ妻側から離縁が出来る事になりました。ただ条件もあります。夫側に愛人がいるかいないか。夫婦の営みはあるかないか。浮気の証拠、医師の診察、実家の受け入れ、全ての書類を作成しそれらが受理され始めて離縁が成立します。



 私はこのニ年間証拠を集めました。

 旦那様の愛人は数人に渡りました。遠征と言い愛人と旅行をしていました。証拠は直ぐに手に入りました。旦那様が愛人に購入した宝石類、旅行で泊まったホテル代、旅行費用、すべて旦那様のお金から引き落とされています。ですが旦那様のお金と言っても夫婦になった今、夫婦のお金です。それらが使われた証拠はお金の管理をしていれば直ぐに分かります。私は旦那様の代わりにこの邸の管理を全てしています。


 今も旦那様は遠征と言う名の愛人との旅行中です。今回の愛人の名はエミーさんとおっしゃります。浮気の証拠の中には今迄の愛人の名前も書いて入っています。

 医師の診察も「懐妊の兆候なし」と書かれています。旦那様の浮気が発覚してから月の物が来るまで私は地獄でした。ここで懐妊していたらこのまま私は耐え続けるしかありませんでした。月の物が来た時は神に感謝しました。


 それからジェームスに頼んだ物、他国にある速効性の避妊薬を営む前に飲み、時には他国から取り寄せた眠りの香を焚いて旦那様を寝かせ、服を脱がせて情事をした後のように見せかけました。


 ジェームスは朝一番で役所に証拠品を持って手続きに行きました。あの手紙も髪留めも証拠品なので提出しました。


「お嬢様、手続きが完了しました」

「ありがとう。で、いつ受理されるかしら」

「証拠品があり、十分な証拠もあり、それになにより今愛人との旅行中という事もあり、早急に受理して頂けるそうです」

「そう。ありがとう」

「役所からこちらとあちらへ受理書が送られますが、それまで待ちますか?」

「そうね。どうせなら受理書を確認してからにするわ。どうせあちらは一週間帰って来ないのだし」

「承知しました」

「アンネ」

「はい」

「アンネはお兄様の所に残りなさい」

「いえ、私もお供します」

「アンネ」

「私はお嬢様のメイドです」

「でももうメイドは必要ないのよ?」

「それなら同僚になります」

「分かったわ。アーシャに聞いてみるわ」

「お願いします」


 私はアーシャとの約束を果たすべく辺境へ行くつもりです。


「ガネット、貴女が侍女になるならいつか私の侍女になって」

「分かったわ。侍女になれるか分からないけど、その時は必ず」

「婚約者も早く婚約破棄してくれればいいのにね」

「本当に」

「もし私が辺境に嫁いだ後なら辺境まで来てよ」

「分かってるわ。その時は雇ってよ」

「当たり前じゃない」


しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

愛される日は来ないので

豆狸
恋愛
だけど体調を崩して寝込んだ途端、女主人の部屋から物置部屋へ移され、満足に食事ももらえずに死んでいったとき、私は悟ったのです。 ──なにをどんなに頑張ろうと、私がラミレス様に愛される日は来ないのだと。

一番悪いのは誰

jun
恋愛
結婚式翌日から屋敷に帰れなかったファビオ。 ようやく帰れたのは三か月後。 愛する妻のローラにやっと会えると早る気持ちを抑えて家路を急いだ。 出迎えないローラを探そうとすると、執事が言った、 「ローラ様は先日亡くなられました」と。 何故ローラは死んだのは、帰れなかったファビオのせいなのか、それとも・・・

あの子を好きな旦那様

はるきりょう
恋愛
「クレアが好きなんだ」  目の前の男がそう言うのをただ、黙って聞いていた。目の奥に、熱い何かがあるようで、真剣な想いであることはすぐにわかった。きっと、嬉しかったはずだ。その名前が、自分の名前だったら。そう思いながらローラ・グレイは小さく頷く。 ※小説家になろうサイト様に掲載してあります。

さよなら私の愛しい人

ペン子
恋愛
由緒正しき大店の一人娘ミラは、結婚して3年となる夫エドモンに毛嫌いされている。二人は親によって決められた政略結婚だったが、ミラは彼を愛してしまったのだ。邪険に扱われる事に慣れてしまったある日、エドモンの口にした一言によって、崩壊寸前の心はいとも簡単に砕け散った。「お前のような役立たずは、死んでしまえ」そしてミラは、自らの最期に向けて動き出していく。 ※5月30日無事完結しました。応援ありがとうございます! ※小説家になろう様にも別名義で掲載してます。

白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』

鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

夫は運命の相手ではありませんでした…もう関わりたくないので、私は喜んで離縁します─。

coco
恋愛
夫は、私の運命の相手ではなかった。 彼の本当の相手は…別に居るのだ。 もう夫に関わりたくないので、私は喜んで離縁します─。

結婚後、訳もわからないまま閉じ込められていました。

しゃーりん
恋愛
結婚して二年、別邸に閉じ込められていたハリエット。 友人の助けにより外に出ることができ、久しぶりに見た夫アルバートは騎士に連行されるところだった。 『お前のせいだ!』と言われても訳がわからなかった。 取り調べにより判明したのは、ハリエットには恋人がいるのだとアルバートが信じていたこと。 彼にその嘘を吹き込んだのは、二人いたというお話です。

愛を乞うても

豆狸
恋愛
愛を乞うても、どんなに乞うても、私は愛されることはありませんでした。 父にも母にも婚約者にも、そして生まれて初めて恋した人にも。 だから、私は──

処理中です...