ガネット・フォルンは愛されたい

アズやっこ

文字の大きさ
4 / 16

黄色の花

 私はハルク様が捨てた黄色の花を拾いに行きました。そのままにしておけば風に吹かれていつか飛ばされるでしょう。それでもゴミをそこに置いておく訳にはまいりません。

 黄色の花を取り、


「今更ね」

「本当に今更だよね?」


 私は驚き後ろを振り返りました。


「ハルク様」

「どうして拾いに来たの?」

「投げ捨てるならゴミ箱へお捨て下さいませ」

「花なんだからそこらへんに捨てても問題ないけど?」

「庭師の方にご迷惑がかかります」

「それもそうか」

「はい」

「黄色の花には何か意味があるの?」

「意味、ですか。まあ色々と」

「ふ~ん。ガネットちゃんは黄色の花が好きなんだ」

「以前は」

「以前はって事は今は好きじゃないんだ」

「そうですね。今は嫌いな色になりました」

「そっか」


 ハルク様は私が拾った黄色の花を持って去って行かれました。


 今、私は奥様と一緒に刺繍をしております。


「孤児院に寄付するんだけど間に合わなくてガネットも手伝ってくれない?」

「はい、畏まりました」


 ソファーに座りテーブルクロスに端に刺繍を刺していきます。


「ガネット」

「はい、奥様」

「今は友人になって。刺繍しながら話しましょ?ね?」

「分かったわ」

「ねぇガネット」

「何?」

「黄色の花の刺繍をしないのは何故?前に出産祝いで贈ってくれたおくるみには黄色の花の豪華な刺繍が刺してあったわ。それにガーゼ全部にワンポイントで黄色の花が刺してあった。なのに今刺してるこれには黄色を使おうとしない。それは何故なの?」

「私ね、好きな花は別にないの。どんな花でも綺麗だと思うし見てて飽きないわ。それこそ道端に咲いてる花だって綺麗って思うわ。だけどね、いつからか黄色の花を見ると元気が貰えるような気がしたの。育った環境、元婚約者、心を痛める事ばかりだったでしょ?」

「そうね」

「それでね、元旦那様に好きな花は何と聞かれた時に言ったの。好きな花はないけど黄色の花を見ると元気が出るって。そしたらそれから毎日結婚するまで私に一輪贈ってくれたの」

「そう」

「結婚して花は毎日贈られる事はなくなったけど、たまに贈ってくれる花束がいつの頃からかピンクの花束になったの。ピンクも好きよ?それでも私は黄色の花束が欲しかった。確かに黄色の花はあまり無いわ。それでも私は一輪で良いから黄色の花が欲しかったの」

「そう」

「それにピンクの花束にも色々あってね。あまり良い思い出ではないの。黄色の花を見るとどうしてもその事が思い出されて…」

「そう」

「でもテーブルクロスならパッと見て映える方が良いでしょ?だから黄色を使わないだけよ」

「そう言う事なら良いんだけど」

「さあ仕上げましょ」

「そうね」


 私達はお喋りしながらテーブルクロスを仕上げました。


 それから毎日一輪色々な色の花が贈られてきました。

 もう今更遅いのです。


感想 194

あなたにおすすめの小説

私が妻です!

ミカン♬
恋愛
幼い頃のトラウマで男性が怖いエルシーは夫のヴァルと結婚して2年、まだ本当の夫婦には成っていない。 王都で一人暮らす夫から連絡が途絶えて2か月、エルシーは弟のような護衛レノを連れて夫の家に向かうと、愛人と赤子と暮らしていた。失意のエルシーを狙う従兄妹のオリバーに王都でも襲われる。その時に助けてくれた侯爵夫人にお世話になってエルシーは生まれ変わろうと決心する。 侯爵家に離婚届けにサインを求めて夫がやってきた。 そこに王宮騎士団の副団長エイダンが追いかけてきて、夫の様子がおかしくなるのだった。 世界観など全てフワっと設定です。サクっと終わります。 5/23 完結に状況の説明を書き足しました。申し訳ありません。 ★★★なろう様では最後に閑話をいれています。 脱字報告、応援して下さった皆様本当に有難うございました。 他のサイトにも投稿しています。

すれ違う思い、私と貴方の恋の行方…

アズやっこ
恋愛
私には婚約者がいる。 婚約者には役目がある。 例え、私との時間が取れなくても、 例え、一人で夜会に行く事になっても、 例え、貴方が彼女を愛していても、 私は貴方を愛してる。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ 女性視点、男性視点があります。  ❈ ふんわりとした設定なので温かい目でお願いします。

さよなら私の愛しい人

ペン子
恋愛
由緒正しき大店の一人娘ミラは、結婚して3年となる夫エドモンに毛嫌いされている。二人は親によって決められた政略結婚だったが、ミラは彼を愛してしまったのだ。邪険に扱われる事に慣れてしまったある日、エドモンの口にした一言によって、崩壊寸前の心はいとも簡単に砕け散った。「お前のような役立たずは、死んでしまえ」そしてミラは、自らの最期に向けて動き出していく。 ※5月30日無事完結しました。応援ありがとうございます! ※小説家になろう様にも別名義で掲載してます。

お飾りな妻は何を思う

湖月もか
恋愛
リーリアには二歳歳上の婚約者がいる。 彼は突然父が連れてきた少年で、幼い頃から美しい人だったが歳を重ねるにつれてより美しさが際立つ顔つきに。 次第に婚約者へ惹かれていくリーリア。しかし彼にとっては世間体のための結婚だった。 そんなお飾り妻リーリアとその夫の話。

貴方に私は相応しくない【完結】

迷い人
恋愛
私との将来を求める公爵令息エドウィン・フォスター。 彼は初恋の人で学園入学をきっかけに再会を果たした。 天使のような無邪気な笑みで愛を語り。 彼は私の心を踏みにじる。 私は貴方の都合の良い子にはなれません。 私は貴方に相応しい女にはなれません。

ただずっと側にいてほしかった

アズやっこ
恋愛
ただ貴方にずっと側にいてほしかった…。 伯爵令息の彼と婚約し婚姻した。 騎士だった彼は隣国へ戦に行った。戦が終わっても帰ってこない彼。誰も消息は知らないと言う。 彼の部隊は敵に囲まれ部下の騎士達を逃がす為に囮になったと言われた。 隣国の騎士に捕まり捕虜になったのか、それとも…。 怪我をしたから、記憶を無くしたから戻って来れない、それでも良い。 貴方が生きていてくれれば。 ❈ 作者独自の世界観です。

[完結]裏切りの果てに……

青空一夏
恋愛
王都に本邸を構える大商会、アルマード男爵家の一人娘リリアは、父の勧めで王立近衛騎士団から引き抜かれた青年カイルと婚約する。 彼は公爵家の分家筋の出身で、政争で没落したものの、誇り高く優秀な騎士だった。 穏やかで誠実な彼に惹かれていくリリア。 だが、学園の同級生レオンのささやいた一言が、彼女の心を揺らす。 「カイルは優しい人なんだろ? 君が望めば、何でもしてくれるはずさ。 でも、それは――仕事だからだよ。結婚も仕事のうちさ。 だって、雇い主の命令に逆らえないでしょ? 君に好意がなくても、義務でそうするんだ」 その言葉が頭から離れないリリアは、カイルの同僚たちに聞き込み、彼に病気の家族がいると知った。「治療費のために自分と結婚するの?」 そう思い込んだリリアに、父母がそろって事故死するという不幸が襲う。 レオンはリリアを惑わし、孤立させ、莫大な持参金を持って自分の元へ嫁ぐように仕向けるのだった。 だが、待っていたのは愛ではなく、孤独と裏切り。 日差しの差さない部屋に閉じ込められ、心身を衰弱させていくリリア。 「……カイル、助けて……」 そう呟いたとき。動き出したのは、かつて彼女を守ると誓った男――カイル・グランベルだった。そしてリリアも自らここを抜けだし、レオンを懲らしめてやろうと決意するようになり…… 今、失われた愛と誇りを取り戻す物語が始まる。

(完)大好きなお姉様、なぜ?ー夫も子供も奪われた私

青空一夏
恋愛
妹が大嫌いな姉が仕組んだ身勝手な計画にまんまと引っかかった妹の不幸な結婚生活からの恋物語。ハッピーエンド保証。 中世ヨーロッパ風異世界。ゆるふわ設定ご都合主義。魔法のある世界。