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黄色の花
私はハルク様が捨てた黄色の花を拾いに行きました。そのままにしておけば風に吹かれていつか飛ばされるでしょう。それでもゴミをそこに置いておく訳にはまいりません。
黄色の花を取り、
「今更ね」
「本当に今更だよね?」
私は驚き後ろを振り返りました。
「ハルク様」
「どうして拾いに来たの?」
「投げ捨てるならゴミ箱へお捨て下さいませ」
「花なんだからそこらへんに捨てても問題ないけど?」
「庭師の方にご迷惑がかかります」
「それもそうか」
「はい」
「黄色の花には何か意味があるの?」
「意味、ですか。まあ色々と」
「ふ~ん。ガネットちゃんは黄色の花が好きなんだ」
「以前は」
「以前はって事は今は好きじゃないんだ」
「そうですね。今は嫌いな色になりました」
「そっか」
ハルク様は私が拾った黄色の花を持って去って行かれました。
今、私は奥様と一緒に刺繍をしております。
「孤児院に寄付するんだけど間に合わなくてガネットも手伝ってくれない?」
「はい、畏まりました」
ソファーに座りテーブルクロスに端に刺繍を刺していきます。
「ガネット」
「はい、奥様」
「今は友人になって。刺繍しながら話しましょ?ね?」
「分かったわ」
「ねぇガネット」
「何?」
「黄色の花の刺繍をしないのは何故?前に出産祝いで贈ってくれたおくるみには黄色の花の豪華な刺繍が刺してあったわ。それにガーゼ全部にワンポイントで黄色の花が刺してあった。なのに今刺してるこれには黄色を使おうとしない。それは何故なの?」
「私ね、好きな花は別にないの。どんな花でも綺麗だと思うし見てて飽きないわ。それこそ道端に咲いてる花だって綺麗って思うわ。だけどね、いつからか黄色の花を見ると元気が貰えるような気がしたの。育った環境、元婚約者、心を痛める事ばかりだったでしょ?」
「そうね」
「それでね、元旦那様に好きな花は何と聞かれた時に言ったの。好きな花はないけど黄色の花を見ると元気が出るって。そしたらそれから毎日結婚するまで私に一輪贈ってくれたの」
「そう」
「結婚して花は毎日贈られる事はなくなったけど、たまに贈ってくれる花束がいつの頃からかピンクの花束になったの。ピンクも好きよ?それでも私は黄色の花束が欲しかった。確かに黄色の花はあまり無いわ。それでも私は一輪で良いから黄色の花が欲しかったの」
「そう」
「それにピンクの花束にも色々あってね。あまり良い思い出ではないの。黄色の花を見るとどうしてもその事が思い出されて…」
「そう」
「でもテーブルクロスならパッと見て映える方が良いでしょ?だから黄色を使わないだけよ」
「そう言う事なら良いんだけど」
「さあ仕上げましょ」
「そうね」
私達はお喋りしながらテーブルクロスを仕上げました。
それから毎日一輪色々な色の花が贈られてきました。
もう今更遅いのです。
黄色の花を取り、
「今更ね」
「本当に今更だよね?」
私は驚き後ろを振り返りました。
「ハルク様」
「どうして拾いに来たの?」
「投げ捨てるならゴミ箱へお捨て下さいませ」
「花なんだからそこらへんに捨てても問題ないけど?」
「庭師の方にご迷惑がかかります」
「それもそうか」
「はい」
「黄色の花には何か意味があるの?」
「意味、ですか。まあ色々と」
「ふ~ん。ガネットちゃんは黄色の花が好きなんだ」
「以前は」
「以前はって事は今は好きじゃないんだ」
「そうですね。今は嫌いな色になりました」
「そっか」
ハルク様は私が拾った黄色の花を持って去って行かれました。
今、私は奥様と一緒に刺繍をしております。
「孤児院に寄付するんだけど間に合わなくてガネットも手伝ってくれない?」
「はい、畏まりました」
ソファーに座りテーブルクロスに端に刺繍を刺していきます。
「ガネット」
「はい、奥様」
「今は友人になって。刺繍しながら話しましょ?ね?」
「分かったわ」
「ねぇガネット」
「何?」
「黄色の花の刺繍をしないのは何故?前に出産祝いで贈ってくれたおくるみには黄色の花の豪華な刺繍が刺してあったわ。それにガーゼ全部にワンポイントで黄色の花が刺してあった。なのに今刺してるこれには黄色を使おうとしない。それは何故なの?」
「私ね、好きな花は別にないの。どんな花でも綺麗だと思うし見てて飽きないわ。それこそ道端に咲いてる花だって綺麗って思うわ。だけどね、いつからか黄色の花を見ると元気が貰えるような気がしたの。育った環境、元婚約者、心を痛める事ばかりだったでしょ?」
「そうね」
「それでね、元旦那様に好きな花は何と聞かれた時に言ったの。好きな花はないけど黄色の花を見ると元気が出るって。そしたらそれから毎日結婚するまで私に一輪贈ってくれたの」
「そう」
「結婚して花は毎日贈られる事はなくなったけど、たまに贈ってくれる花束がいつの頃からかピンクの花束になったの。ピンクも好きよ?それでも私は黄色の花束が欲しかった。確かに黄色の花はあまり無いわ。それでも私は一輪で良いから黄色の花が欲しかったの」
「そう」
「それにピンクの花束にも色々あってね。あまり良い思い出ではないの。黄色の花を見るとどうしてもその事が思い出されて…」
「そう」
「でもテーブルクロスならパッと見て映える方が良いでしょ?だから黄色を使わないだけよ」
「そう言う事なら良いんだけど」
「さあ仕上げましょ」
「そうね」
私達はお喋りしながらテーブルクロスを仕上げました。
それから毎日一輪色々な色の花が贈られてきました。
もう今更遅いのです。
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