悪役令嬢は高らかに笑う。

アズやっこ

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8 真実を知った日


馬車が着いた先、


「シャーロット、よく来たな」


私を愛おしそうに見つめる。


「叔父様、急にすみません」

「いや、報告は受けていた」


叔父様は私を抱きしめた。


「俺に顔を見せてくれ」


叔父様は私の顔を見た。


「義姉上に似てきたな」

「お母様に似てますか?」

「ああ」


少し寂しそうな顔をした。

叔父様、お父様の弟。そして私の本当のお父様。

お父様が、違うわね。一緒に暮らしていたお父様は幼い頃に高熱が続き種無しになった。本人は知らない。既に亡人のお祖父様とお祖母様が必死に隠したから。

種無しのお父様はお母様と結婚した。政略結婚で嫁いだお母様はそこで初めて知らされた。次期当主として跡継ぎを作らないといけない、でも種無しのお父様では子が出来ない。そこで白羽の矢が立ったのが弟の叔父様。

次男の叔父様が当主を継げば良かったのに嫡男主義のこの国で、それも貴族の最高位の公爵家で次男に継がせる事は出来ないとお祖父様が言ったから。

お母様はお父様に隠れながら叔父様と子を作った。そこに愛は生まれないはずだった。叔父様にはあったけど、お母様は根っからの貴族令嬢。旦那様だけに貞操を守る。それでも当時当主だったお祖父様に言われれば従うしかない。

そして出来た子が私。お母様は私を愛し可愛がってくれた。それでもいつしかお父様との関係性で悩み、叔父様との関係性で悩み心を病んだ。そして自らの手でこの世を去った。


お母様が埋葬される前日の夜、私はお母様の側にいたくてこっそり部屋を抜け出しお母様が眠る部屋に行った。その時叔父様がお母様に寄り添い泣いていた。


「ソフィー、どうして俺を愛してくれなかった。俺を愛してくれたなら俺達の子のシャーロットと一緒に逃げたのに。兄上には愛人がいるのも知っていたじゃないか。それに兄上には子が作れない。ソフィーが公爵夫人の座を捨てたくないのなら俺が公爵になったのに。ここに兄上の種無しの証拠がある。これを議会に通したら俺が公爵になれたんだ。

ソフィー、自ら死ぬくらいなら俺を頼ってほしかった」


私は初めて事実を知った。お父様の本当の子でない事。叔父様が本当のお父様だという事。お母様の死が自らの手で亡くなった事。お父様の愛人の存在。


「ソフィーは覚えているか?初めて会ったのは兄上の婚約者としてだった。俺は初めて見た時に一目惚れしたんだ。それからソフィーは兄上と結婚し兄上の事実を俺達は教えられた。俺は父上に感謝をしたよ。愛するソフィーを兄上の代わりだとしても抱ける事を。

直ぐに子が出来ないでくれと俺は神に祈った。神は俺の願いを聞いてくれて2年子が出来なかった。その間俺は愛しいソフィーを何度もこの手で抱いた。俺を愛してくれと、俺の愛を受け取ってくれと、俺の愛に気づいてくれと。

ソフィーは俺の愛に気づいてくれた。なのになぜ!なぜ……、」




お母様は叔父様を愛した。だから悩み、旦那様以外を愛した自分を許せなかった。お母様が亡くなって数年後お母様の日記を見つけた。

お母様の日記の最後のページに書いてあった。


「私は愛してはいけない人を愛してしまった…」


お母様、叔父様を愛したなら私も連れて一緒に逃げれば良かったのよ。誰も知らない所で夫婦として家族として暮せば良かったのよ。

そしたら叔父様は今でも独身を貫かなかったし、堂々と私を娘だと言えたのに。


お母様は私の顔を撫でてよく言ってたじゃない。


「よく似てきたわね」


その時のお母様は愛しい人を見つめる目だった。私の面影から別の人を愛しい人を見ていたんでしょ?

幼い私はお父様だと思っていたけど、本当は違った。



私は叔父様の最後の姿が今でも忘れられない。


「ソフィー………、愛してる……」


悲痛な声で嘆き悲しみ、それでいて愛おしいとお母様の頬を撫でていた。


「貴方を忘れない、愛しい人、愛してる」


そんな事を日記に書くならその言葉を叔父様に言えば良かったのよ。平民になってもいいじゃない。愛人がいるお父様よりも叔父様の方が一途じゃない。


お母様のバカ………



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