8 / 17
8 真実を知った日
馬車が着いた先、
「シャーロット、よく来たな」
私を愛おしそうに見つめる。
「叔父様、急にすみません」
「いや、報告は受けていた」
叔父様は私を抱きしめた。
「俺に顔を見せてくれ」
叔父様は私の顔を見た。
「義姉上に似てきたな」
「お母様に似てますか?」
「ああ」
少し寂しそうな顔をした。
叔父様、お父様の弟。そして私の本当のお父様。
お父様が、違うわね。一緒に暮らしていたお父様は幼い頃に高熱が続き種無しになった。本人は知らない。既に亡人のお祖父様とお祖母様が必死に隠したから。
種無しのお父様はお母様と結婚した。政略結婚で嫁いだお母様はそこで初めて知らされた。次期当主として跡継ぎを作らないといけない、でも種無しのお父様では子が出来ない。そこで白羽の矢が立ったのが弟の叔父様。
次男の叔父様が当主を継げば良かったのに嫡男主義のこの国で、それも貴族の最高位の公爵家で次男に継がせる事は出来ないとお祖父様が言ったから。
お母様はお父様に隠れながら叔父様と子を作った。そこに愛は生まれないはずだった。叔父様にはあったけど、お母様は根っからの貴族令嬢。旦那様だけに貞操を守る。それでも当時当主だったお祖父様に言われれば従うしかない。
そして出来た子が私。お母様は私を愛し可愛がってくれた。それでもいつしかお父様との関係性で悩み、叔父様との関係性で悩み心を病んだ。そして自らの手でこの世を去った。
お母様が埋葬される前日の夜、私はお母様の側にいたくてこっそり部屋を抜け出しお母様が眠る部屋に行った。その時叔父様がお母様に寄り添い泣いていた。
「ソフィー、どうして俺を愛してくれなかった。俺を愛してくれたなら俺達の子のシャーロットと一緒に逃げたのに。兄上には愛人がいるのも知っていたじゃないか。それに兄上には子が作れない。ソフィーが公爵夫人の座を捨てたくないのなら俺が公爵になったのに。ここに兄上の種無しの証拠がある。これを議会に通したら俺が公爵になれたんだ。
ソフィー、自ら死ぬくらいなら俺を頼ってほしかった」
私は初めて事実を知った。お父様の本当の子でない事。叔父様が本当のお父様だという事。お母様の死が自らの手で亡くなった事。お父様の愛人の存在。
「ソフィーは覚えているか?初めて会ったのは兄上の婚約者としてだった。俺は初めて見た時に一目惚れしたんだ。それからソフィーは兄上と結婚し兄上の事実を俺達は教えられた。俺は父上に感謝をしたよ。愛するソフィーを兄上の代わりだとしても抱ける事を。
直ぐに子が出来ないでくれと俺は神に祈った。神は俺の願いを聞いてくれて2年子が出来なかった。その間俺は愛しいソフィーを何度もこの手で抱いた。俺を愛してくれと、俺の愛を受け取ってくれと、俺の愛に気づいてくれと。
ソフィーは俺の愛に気づいてくれた。なのになぜ!なぜ……、」
お母様は叔父様を愛した。だから悩み、旦那様以外を愛した自分を許せなかった。お母様が亡くなって数年後お母様の日記を見つけた。
お母様の日記の最後のページに書いてあった。
「私は愛してはいけない人を愛してしまった…」
お母様、叔父様を愛したなら私も連れて一緒に逃げれば良かったのよ。誰も知らない所で夫婦として家族として暮せば良かったのよ。
そしたら叔父様は今でも独身を貫かなかったし、堂々と私を娘だと言えたのに。
お母様は私の顔を撫でてよく言ってたじゃない。
「よく似てきたわね」
その時のお母様は愛しい人を見つめる目だった。私の面影から別の人を愛しい人を見ていたんでしょ?
幼い私はお父様だと思っていたけど、本当は違った。
私は叔父様の最後の姿が今でも忘れられない。
「ソフィー………、愛してる……」
悲痛な声で嘆き悲しみ、それでいて愛おしいとお母様の頬を撫でていた。
「貴方を忘れない、愛しい人、愛してる」
そんな事を日記に書くならその言葉を叔父様に言えば良かったのよ。平民になってもいいじゃない。愛人がいるお父様よりも叔父様の方が一途じゃない。
お母様のバカ………
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
妹と再婚約?殿下ありがとうございます!
八つ刻
恋愛
第一王子と侯爵令嬢は婚約を白紙撤回することにした。
第一王子が侯爵令嬢の妹と真実の愛を見つけてしまったからだ。
「彼女のことは私に任せろ」
殿下!言質は取りましたからね!妹を宜しくお願いします!
令嬢は妹を王子に丸投げし、自分は家族と平穏な幸せを手に入れる。
(完結)あなたが婚約破棄とおっしゃったのですよ?
青空一夏
恋愛
スワンはチャーリー王子殿下の婚約者。
チャーリー王子殿下は冴えない容姿の伯爵令嬢にすぎないスワンをぞんざいに扱い、ついには婚約破棄を言い渡す。
しかし、チャーリー王子殿下は知らなかった。それは……
これは、身の程知らずな王子がギャフンと言わされる物語です。コメディー調になる予定で
す。過度な残酷描写はしません(多分(•́ε•̀;ก)💦)
それぞれの登場人物視点から話が展開していく方式です。
異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定ご都合主義。タグ途中で変更追加の可能性あり。
婚約者様への逆襲です。
有栖川灯里
恋愛
王太子との婚約を、一方的な断罪と共に破棄された令嬢・アンネリーゼ=フォン=アイゼナッハ。
理由は“聖女を妬んだ悪役”という、ありふれた台本。
だが彼女は涙ひとつ見せずに微笑み、ただ静かに言い残した。
――「さようなら、婚約者様。二度と戻りませんわ」
すべてを捨て、王宮を去った“悪役令嬢”が辿り着いたのは、沈黙と再生の修道院。
そこで出会ったのは、聖女の奇跡に疑問を抱く神官、情報を操る傭兵、そしてかつて見逃された“真実”。
これは、少女が嘘を暴き、誇りを取り戻し、自らの手で未来を選び取る物語。
断罪は終わりではなく、始まりだった。
“信仰”に支配された王国を、静かに揺るがす――悪役令嬢の逆襲。
最愛の婚約者に婚約破棄されたある侯爵令嬢はその想いを大切にするために自主的に修道院へ入ります。
ひよこ麺
恋愛
ある国で、あるひとりの侯爵令嬢ヨハンナが婚約破棄された。
ヨハンナは他の誰よりも婚約者のパーシヴァルを愛していた。だから彼女はその想いを抱えたまま修道院へ入ってしまうが、元婚約者を誑かした女は悲惨な末路を辿り、元婚約者も……
※この作品には残酷な表現とホラーっぽい遠回しなヤンデレが多分に含まれます。苦手な方はご注意ください。
また、一応転生者も出ます。
【完結済み】婚約破棄したのはあなたでしょう
水垣するめ
恋愛
公爵令嬢のマリア・クレイヤは第一王子のマティス・ジェレミーと婚約していた。
しかしある日マティスは「真実の愛に目覚めた」と一方的にマリアとの婚約を破棄した。
マティスの新しい婚約者は庶民の娘のアンリエットだった。
マティスは最初こそ上機嫌だったが、段々とアンリエットは顔こそ良いが、頭は悪くなんの取り柄もないことに気づいていく。
そしてアンリエットに辟易したマティスはマリアとの婚約を結び直そうとする。
しかしマリアは第二王子のロマン・ジェレミーと新しく婚約を結び直していた。
怒り狂ったマティスはマリアに罵詈雑言を投げかける。
そんなマティスに怒ったロマンは国王からの書状を叩きつける。
そこに書かれていた内容にマティスは顔を青ざめさせ……
(完結)伯爵家嫡男様、あなたの相手はお姉様ではなく私です
青空一夏
恋愛
私はティベリア・ウォーク。ウォーク公爵家の次女で、私にはすごい美貌のお姉様がいる。妖艶な体つきに色っぽくて綺麗な顔立ち。髪は淡いピンクで瞳は鮮やかなグリーン。
目の覚めるようなお姉様の容姿に比べて私の身体は小柄で華奢だ。髪も瞳もありふれたブラウンだし、鼻の頭にはそばかすがたくさん。それでも絵を描くことだけは大好きで、家族は私の絵の才能をとても高く評価してくれていた。
私とお姉様は少しも似ていないけれど仲良しだし、私はお姉様が大好きなの。
ある日、お姉様よりも早く私に婚約者ができた。相手はエルズバー伯爵家を継ぐ予定の嫡男ワイアット様。初めての顔あわせの時のこと。初めは好印象だったワイアット様だけれど、お姉様が途中で同席したらお姉様の顔ばかりをチラチラ見てお姉様にばかり話しかける。まるで私が見えなくなってしまったみたい。
あなたの婚約相手は私なんですけど? 不安になるのを堪えて我慢していたわ。でも、お姉様も曖昧な態度をとり続けて少しもワイアット様を注意してくださらない。
(お姉様は味方だと思っていたのに。もしかしたら敵なの? なぜワイアット様を注意してくれないの? お母様もお父様もどうして笑っているの?)
途中、タグの変更や追加の可能性があります。ファンタジーラブコメディー。
※異世界の物語です。ゆるふわ設定。ご都合主義です。この小説独自の解釈でのファンタジー世界の生き物が出てくる場合があります。他の小説とは異なった性質をもっている場合がありますのでご了承くださいませ。