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9 兄弟の対峙
「シャーロット、これからどうする」
叔父様は私を優しい眼差しで見つめる。
「お父様は私の代わりにサーラをエドワード王子の婚約者にするつもりです。ですが私はスカーレット様にエドワード王子の婚約者になってほしいんです。
だからなんとかしてサーラを婚約者から外さないといけないんですが…」
「それは俺に任せてくれ」
「叔父様に?」
「ああ、シャーロットには辛い事実が明るみになるかもしれないが」
「それは構いません。サーラが婚約者にならないのなら私の事は気にしないで下さい」
「そうか、それなら俺が手を回す。それからシャーロット、俺の養女にならないか?」
「叔父様の娘にですか?」
「俺も叔父上から伯爵を受け継いだが俺はこの通り独り身だ。俺の跡を継いでほしい」
「叔父様がいいのなら。ですが私はエドワード王子と婚約破棄をし公爵家から勘当された身です。叔父様に迷惑をかけると思いますが」
「俺は気にしない。それにシャーロットに非がないのは知っている。シャーロットは俺の可愛い姪っ子だからな」
少し寂しそうに笑う叔父様は私の頭を撫でる。
叔父様の仕事は早い。次の日にはお父様の種無しの証拠を議会へ提出し、私が実の娘の証拠も提出した。そして、まだ勘当の書類を提出していなかったお父様から私の親権を奪った。
それによりサーラはお父様の娘でない事が明るみになり、エドワード王子の婚約者から外された。
邸の外が騒がしく、
「シャーロットはあの小部屋から聞いていなさい」
叔父様が指差した小部屋に入った。
「おい!ライアン!どういう事だ!私が種無しだと!お前が私を陥れる為に捏造したのか!」
「兄上、人聞きの悪い事を言わないで下さい。父上と母上が兄上に国に隠した事実です」
「そんなはずはない。私には娘がいる」
「シャーロットは俺の娘です。俺が父親です」
「ソフィー、あの女とんだ阿婆擦れか!」
「シャーロットの母親を悪く言うのはやめてください。阿婆擦れと言うのならサーラの母親の方でしょう。兄上の子でないのに兄上の子と偽り平民の分際で公爵夫人として振る舞っているんですから。
それに侯爵令嬢だった義姉上と次男の俺が当時当主だった父上に逆らう事が出来たと思いますか!」
この国は当主主義の国、当主が絶対的な権力を持っている。そして当主になれない次男の叔父様には反論する事は出来ない。
それに男尊女卑が根付くこの国で女性は口答えさえ許されない。
「俺達は父上に、兄上に隠れて子を作れ、そして公爵家の血を途絶えさせるなと言われました。嫡男の兄上の事実を隠す為に、公爵家の血を途絶えさせない為に、俺と義姉上は犠牲になったんです。
俺は今でも亡くなった父上を恨んでいますよ。兄上に種無しだと事実を話し、結婚なんかさせず一生独り身で過ごさせれば良かったんだ。恋人を作ろうが兄上の子は出来ないんですから。
それか当主を俺にすれば良かったんだ。そしたら公爵家の血を受け継ぐ子を作れた。
それを兄上が結婚してからその事実を聞かされ、兄上の当主の座を公爵の座を守る為に俺と義姉上は子を作らされた。
義姉上の死は父上と兄上が死に追いやったんです。貴族令嬢の義姉上には耐え難い事だった。何年も悩みいつしか心が病み、自らの手で……。
俺は亡くなった父上も兄上も一生許さない!」
「お前!」
「それに兄上は妻がいながら平民の愛人を作り、義姉上を愛さなかった。
妻になったあの女とは政略結婚で愛はない、あの女には女を感じない。侯爵令嬢という肩書きだけしかあの女には価値がない。私が愛しているのはアリーだけだ。私はアリーの体しか抱こうと思わない。だから嫌嫌初夜もした。これからもあの女を抱くのかと思うと反吐が出る。子はアリーとの子だけでいい。
義姉上と結婚した次の日に兄上が愛人宅で愛人に言った言葉です」
「ライアン!」
「父上は兄上に愛人がいる事も知っていました。それでも何も言わなかったのは兄上が種無しで子が出来ないからです。愛人を作ろうが子が出来ない兄上に子が出来る訳がないからです。
兄上の子は俺が代わりに作り公爵家の血を受け継がせる。
父上は兄上が可愛いから次期当主の兄上を護ったのではありません。父上は己の身可愛さに、兄上と同様、貴族内に置ける公爵という立場の保身に走っただけです」
お母様と結婚した次の日に愛人、義母と会っていたなんて。
「兄上は今まで通り家族と仲良く暮らして下さい。兄上が勘当したシャーロットが唯一の公爵家の血を引く跡継ぎでしたが今はもう俺の伯爵家の娘になりました。
公爵家は途絶えますがそれも定めです。
お引取りを」
部屋の扉を開ける音が聞こえ、ドカドカと音をたてて歩く足音が聞こえた。
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