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12 舞台が整った
それからもスカーレット様は私を見つけると、
「あら、元婚約者のシャーロット様じゃない。貴女も私のように愛されたら婚約破棄なんかされなかったのに。でもごめんなさいね?ちょっと遠回りしたけど、私とエドワードは結ばれる運命だったの」
スカーレット様は勝ち誇った顔を私に向ける。
「エドワード王子とスカーレット様、お二人の幸せを心からお祝いします」
「ありがとう。そもそも初めから私が婚約者になっていれば貴女も傷つかなくて良かったのにね?ごめんなさいね?
私、体が弱いから…。昨日も少し咳をしただけでエドワードったら心配して上着を私にかけてくれたのよ?」
「スカーレット様、王子妃教育はどうですか?」
「少し厳しいけどエドワードの妃になる為に頑張っているわ。エドワードも大丈夫か、って労ってくれるの。
やっぱり私が王妃になる定めだったのよ。貴女では王妃は無理だってずっと思っていたわ。この私が王妃になるべきなの」
厳しい王子妃教育に耐えられなくて貴女は公爵様に泣きついたのよね?それにズル休みもしているのよね?それでも王子妃教育が優しくなる事はないのよ?
今では見張りが付いたらしいけど。
それにエドワード王子とも私と一緒で月に一度だけでしょ?
貴女が頑張って王子妃教育をしている時にエドワード王子はレーナさんとすくすくと愛を育て、そして逢瀬を楽しんでいるのよ?
でも愛してるエドワード王子の為に頑張るんだものね?私は7年で教わったけど、貴女は1年で教わるのよね?まあ、私の場合は淑女教育の期間もあったけど…。
最近じゃあ夜遅くにしか家に帰れないそうじゃない。毎日半泣きで帰ってるらしいわね。
「あら、やだ!今日も王宮へ行かないといけないの。エドワードが待ってるから、先に失礼するわね」
「ご機嫌よう、スカーレット様」
学園に通う時間も王子妃教育にあてられたスカーレット様は学園に少しだけ顔をだして王宮へ行く。
「シャーロット~」
遠くからレーナさんが走ってきた。
「レーナさん、ここは校舎裏ではないので様を付けて下さいね?」
「そうだった、ごめんね?」
「それでどうしたの?」
「最近スカーレットが王宮にいるのよ」
「それは王子妃教育を受けているからよ。エドワード王子とは会う時間もないから大丈夫よ?」
「それはエドワードから聞いてる。エドワードはスカーレットが嫌いなんだって。使用人に高飛車な態度を取るらしくてね、あれが王妃になるのだけは勘弁してくれって言っていたわ」
「それでもスカーレット様に王妃になってもらわないと。面倒な仕事はスカーレット様がしてくれるのよ?」
「そうね、私はエドワードの愛だけをもらって面倒な事はスカーレットに任せればいいものね」
「ええ」
「エドワードにも我慢してってお願いしてみるわ」
レーナさんが立ち去った。
「報告を」
「エドワード王子はあからさまにスカーレット様を避けています」
「そう」
「月に一度のお茶は行っていますが、それも早めに切り上げています」
「レーナさんの存在は絶対にスカーレット様に知られないように気をつけて。エドワード王子がまた婚約破棄なんて言ったら困るからエドワード王子とスカーレット様の接触も極力回避して。でも全く会わないとスカーレット様がいずれ匙を投げるからそこは気をつけて」
「承知」
ここまで来て婚約破棄なんて言われたら困るわ。一度婚約破棄を言ったエドワード王子が、一言「婚約破棄をする」と言えば済むと思っていたら厄介ね。
簡単に済んだのは私だからよ?だからわざわざ私室にしたのよ?私があの証拠を議会に通したら廃嫡されるって分かっているのかしら。
今は夕食、お父様と一緒に食べている。
「最近はどうだ?」
「それなりにやってます」
「何か言われないか?」
「それも気にしていないので」
「それならいいが」
「そうだ、お父様、誰か直ぐに動ける者はいますか?」
「直ぐにか、ならメアリを使えばいいだろ」
「メアリですか?」
「メアリは俺がシャーロットに付けたメイドだ」
「そうなんですか?」
「知らなかったのか?」
「はい」
夕食を食べ終わり部屋に帰ってきた私は、
「メアリはお父様が付けたメイドだったの?」
「そうですが」
「教えてくれれば良かったのに」
「知っているものだと」
「知らなかったわ」
「それはすみません」
「メアリ、今から動いてほしいの」
「分かりました」
私は一枚の紙を渡した。
「これをエドワード王子に届けてほしいの」
「分かりました」
メアリは紙を受け取り部屋から出て行った。
私は紙にこう書いた。
『また婚約破棄を言えば今度こそ廃嫡される事をお忘れなく』
私からって分かってもいいの。その方が都合がいい。貴方の証拠は私が握っている、それを思い出してくれれば。
それに今の証拠も私は握っているの。
ここまで来て退場なんてさせないわ。
「あはははは!役者はそろった、舞台も整ったわ!後は時が来るのを待つだけね!」
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