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14 乙女ゲームの世界
学園を卒業したスカーレット様はエドワード王子と婚姻式を挙げた。
伯爵まで出席する婚姻式に私もお父様と出席した。伯爵家だから後ろの方だけど、それでも幸せいっぱいの笑顔を見せるスカーレット様は見えたわ。
王子妃教育はまだ終わっていないから、これからも教育は続くみたい。
「シャーロット行くぞ」
「はい」
お父様と馬車に乗り込もうとした時に元お父様を見かけた。あんなに仲良くしていた義母とは距離をあけ、元お父様は足早に馬車に乗り込んだ。その後を追いかけるように義母が乗り込んだんだけど、義母はやつれていて元お父様の顔色を伺いながら行動していた。
当たり前よね?
愛人だった義母が元お父様の子と偽りサーラと公爵家に来て、今更元お父様は種無しで子が出来ないって知らされても公爵家を追い出されたら行く所なんてないもの。それにお金もくれないと思うわ。罵倒されても何をされても我慢するしかないもの。元お父様に縋ってでも追い出されないようにしないと。
公爵家の跡継ぎだった私を簡単に追い出す人よ?
それに元お父様は言ったものね、
「私の娘はサーラだけだ」
って。娘のサーラとは血が繋がっていないけど、それでも元お父様の娘はサーラだけでしょ?
「シャーロットどうした」
「何でもないです」
「これから王宮へ行き祝賀会だがどうする、行くか?」
「私は邸に戻ります」
「なら先に送って行く」
邸に送られ、お父様を見送った。
「もう回避はしなくていいわ。全員通常業務に戻らせて。でも情報だけは報告して。あ、それとあれはもう混ぜなくていいわ。いつ出来てもいいもの」
「承知」
私は雲一つない晴れ晴れとした空を眺めた。
ついに時が来たわ。
今まで故意的に回避していた事がなくなり、今まで出会わなかったはずが出会うようになる。
エドワード王子を巡る女の争い
レーナさん、貴女が望んだ乙女ゲームの世界よ?
悪役令嬢のスカーレット様からの嫌がらせに健気に耐えるのよね?きっと靴を隠されたり、教科書を破かれたり、そんな生易しいものじゃないと思うわ。
もしかしたら毒を盛られるかもしれないわね。それとも暗殺かしら。
でも大丈夫なのよね?エドワード王子が助けてくれるのよね?
でも、そのエドワード王子も婚約者ではなく婚姻した妃を簡単に切り捨てられるのかしら。妃になったスカーレット様との間に愛はなくてもスカーレット様は元公爵令嬢、公爵家を敵に回す事は貴族の三分の一を敵に回す事になるわ。国王になりたいエドワード王子にとってそれは痛手になる。
その時エドワード王子はどう選択するのかしらね?
愛しいレーナさんを取るのかしら。
それとも妃のスカーレット様を取るのかしら。
でも確か、周りから祝福されて仲睦まじく暮らすのよね?ならエドワード王子は廃嫡されても貴女を取るわよ。
スカーレット様、貴女は私に言ったわよね?
「私はエドワード王子から愛されているから」
って。なら耐えられるわよね?
エドワード王子が愛しているのはレーナさん、そして貴女は愛されない妃。これから王太子妃、王妃となってもエドワード王子からの愛を貰えないのよ?
だってエドワード王子の愛を独占しているのはレーナさんだもの。
まだ続く王子妃教育、それが終われば王太子妃教育、最後には王妃教育が待ってるわ。貴女が厳しい教育を受けている間、エドワード王子とレーナさんは愛を育んでいる。先に子供が出来るのはもしかしたらレーナさんかもしれないわね?
それでも耐えてね?
だって貴女言ったじゃない。
「この私が王妃になるべきなの」
って。王妃になるのは定めなのよね?愛がなくても王妃にはなれるわ。仮面夫婦なんて珍しくないもの。
あ!でも貴女はエドワード王子を愛しているのよね?
愛されるのが当たり前で育ってきた貴女が愛されない事に耐えられるのかしら。でもきっと大丈夫ね。優しい貴女ならエドワード王子の事もレーナさんの事も許せるわよね。
私はレーナさんから乙女ゲームの話を初めて聞いた時に計画したの。
校舎裏の秘密の会合で、何度レーナさんに聞いても乙女ゲームが何かなんて分からなかったけど、結局あれよね?
エドワード王子を巡る女の争いでしょ?
だから今まで私が二人の代わりになっていたのを本人達に返そうと思うの。
勿論、引き継いでくれるわよね?
だって私、全く関係ないのよ?
この世界はレーナさんとスカーレット様の世界なんでしょ?
それとエドワード王子。
3人の世界なんでしょ?
ねぇエドワード王子、婚約破棄は嬉しかったのよ?それでもね、私について回るのは傷もの令嬢って名の汚点よ?それもただの傷もの令嬢じゃなくて、エドワード王子に婚約破棄された傷もの令嬢。
どれだけ円満な婚約破棄と言っても婚約破棄は婚約破棄なのよ。
せめて白紙に戻してくれたら私だってこっそり身を引いたわ。それにここまでの計画も立てなかったのよ?
レーナさんが貴方の婚約者になれるように手を回したわ。
それに、結局無駄になったあの厳しい王子妃教育を7年も耐えたのよ?
ちょっとした意趣返しよ。
私は傍観者として3人の成り行きを近くで見守るわ。
私は代わりになった悪役令嬢。
最後まで悪役令嬢として見守ってあげる。
だから楽しませてね?
レーナさんかスカーレット様か、どちらがエドワード王子から愛され、どちらが処刑されるのかは分からない。
だってまだ始まったばかりだもの。
「あはははは!楽しみだわ!」
完結
❈ 完結までお付き合い頂きありがとうございました。
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