13 / 17
13 受け継ぐもの
私が生まれ育った公爵家は第一子が公爵家を、第二子が伯爵家を継ぐ事になっている。
第一子のお祖父様、元お父様が公爵当主になった。
第二子の大叔父様、お父様が伯爵当主になった。
公爵家は貴族の最高位の立場。後は広大な領地を所有している。そのためお金に困る事はない。
伯爵家は公爵家の枝分かれ、所謂分家。領地はなく、爵位だけを譲り受けた。だから伯爵家は独自でお金を得る必要があった。お金を得る為に商会を立ち上げ生活をしている。
表向きは。
伯爵家には公爵家にも伝えていない秘密がある。
それは諜報員の元締め。
所謂裏の顔ね。王家にも影と呼ばれる人達がいるけど、その人達は伯爵家から派遣された人達。王家だけじゃなく当主の中には他の貴族の邸に密偵を送りそこの家の情報を知りたい人がいる。その密偵も伯爵家から派遣された人達。
そして私にも常に一人付いている。メアリも合わせれば二人ね。だから王宮での事も私には筒抜けなの。
でも口が堅いわよ。
元締めのお父様も口が堅い。元締めのお父様は全てを把握しているから親子でも情報は言わない。でも私が指示を出して動かしてる事は知ってる。それでも口出しはしないけど。
大叔父様はこの家業を継いだ時、お祖父様に子が二人産まれなければ結婚するつもりだった。でも二人産まれたから結婚せず独り身を貫いた。
お父様はお母様に子が宿った時点で結婚して跡継ぎを作らないといけなかった。私は公爵家の跡継ぎだから。でもお父様は跡継ぎよりもお母様を愛する事を選んだ。
表向きの商会は商会の人に、裏の顔の方は諜報員の誰かに受け継ぐつもりでいた。元締めが代わろうと王家には影が必要だし、貴族には密偵が必要だから。需要は元締めが代わろうが変わらない。商会も長年続く商会だけあって今更潰れる事はない。
私がエドワード王子の婚約者に決まった時、お父様、当時は叔父様から、
「王宮には良からぬことを考える者が多い。シャーロットがエドワード王子の婚約者になった事を不満に思う者もいる。シャーロットは俺の可愛い姪っ子だ、だから俺の頼みを聞いてくれるか?」
その時紹介されたのが、私に常に付いてる影。
「王族には影が付く。だけど婚約者のシャーロットには付かない。だから俺が付ける。何かあればこいつに指示を出せ。そしたらシャーロットの手となり足となり動いてくれる。それにシャーロットに危険が及ぶ時は身を挺して護ってくれる。
俺の可愛い姪っ子を何が何でも護りたい叔父さんの頼みを聞いてくれるか?」
私はお父様の頼みを聞いて常に側にいる事を了承した。初めは気になったけどそれも次第に気にならなくなった。他の目がある時は接触してこないし、私が何か頼めば迅速に動いてくれる。
それにお父様はただ単に娘の私を護りたかった。元お父様では護れないと、護るつもりがないと分かっていたのね。
だからメアリは邸の中で私を護る為にメイドとして私に付かせた。メアリが見習いメイドとして公爵家に来たのはお母様が亡くなってからだったから。
きっと私がエドワード王子を好きになったらレーナさんも近づけさせなかったと思う。でも私はエドワード王子を好きにならなかった。それに仲良くしている婚約者達を見つめていた事で私が婚約を解消したいと思っている事を影は気づいた。何年と私の側で観察していたら私の顔で分かるわよね。それを私に付いてる影が報告していたと思う。だからレーナさんを自由にさせていた。
結果、エドワード王子はレーナさんを愛し、私は婚約破棄された。
私はお父様から表向きの商会も、裏の顔の諜報員の元締めも受け継ぐ。
どうやら私には裏の顔の素質があるみたい。諜報員の元締めだもの、闇を持っていて心が強くないと。
全ての情報を把握して適切に判断する。それを自分の中で留める。元締めのお父様はこの国の情報を全て知っていると思う。私には想像もできない裏の話。それを一人で抱え顔にも出さない。
闇を持っていないと適切な判断はできないわ。それに時には無慈悲にならないといけない。心が強くないと耐えられなくなり心が病んでしまうもの。
これからもし私が結婚して子が産まれても第一子に公爵家を継がせるつもりはない。私は公爵家から勘当された子。公爵家がどうなろうと私には関係ない。
私の子供は一人だけでいい。伯爵家を継がせる子だけで。
結婚できないならできないでお父様がしようとしていたように、商会は商会の人に、諜報員の元締めは諜報員の誰かに継いでもらえばいいだけだもの。
代わりなんて誰でも出来るの。
お父様が元お父様の代わりになったように、私がヒロインと悪役令嬢の代わりになったように。
誰かに引き継げばいいの。
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
妹と再婚約?殿下ありがとうございます!
八つ刻
恋愛
第一王子と侯爵令嬢は婚約を白紙撤回することにした。
第一王子が侯爵令嬢の妹と真実の愛を見つけてしまったからだ。
「彼女のことは私に任せろ」
殿下!言質は取りましたからね!妹を宜しくお願いします!
令嬢は妹を王子に丸投げし、自分は家族と平穏な幸せを手に入れる。
(完結)あなたが婚約破棄とおっしゃったのですよ?
青空一夏
恋愛
スワンはチャーリー王子殿下の婚約者。
チャーリー王子殿下は冴えない容姿の伯爵令嬢にすぎないスワンをぞんざいに扱い、ついには婚約破棄を言い渡す。
しかし、チャーリー王子殿下は知らなかった。それは……
これは、身の程知らずな王子がギャフンと言わされる物語です。コメディー調になる予定で
す。過度な残酷描写はしません(多分(•́ε•̀;ก)💦)
それぞれの登場人物視点から話が展開していく方式です。
異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定ご都合主義。タグ途中で変更追加の可能性あり。
婚約者様への逆襲です。
有栖川灯里
恋愛
王太子との婚約を、一方的な断罪と共に破棄された令嬢・アンネリーゼ=フォン=アイゼナッハ。
理由は“聖女を妬んだ悪役”という、ありふれた台本。
だが彼女は涙ひとつ見せずに微笑み、ただ静かに言い残した。
――「さようなら、婚約者様。二度と戻りませんわ」
すべてを捨て、王宮を去った“悪役令嬢”が辿り着いたのは、沈黙と再生の修道院。
そこで出会ったのは、聖女の奇跡に疑問を抱く神官、情報を操る傭兵、そしてかつて見逃された“真実”。
これは、少女が嘘を暴き、誇りを取り戻し、自らの手で未来を選び取る物語。
断罪は終わりではなく、始まりだった。
“信仰”に支配された王国を、静かに揺るがす――悪役令嬢の逆襲。
最愛の婚約者に婚約破棄されたある侯爵令嬢はその想いを大切にするために自主的に修道院へ入ります。
ひよこ麺
恋愛
ある国で、あるひとりの侯爵令嬢ヨハンナが婚約破棄された。
ヨハンナは他の誰よりも婚約者のパーシヴァルを愛していた。だから彼女はその想いを抱えたまま修道院へ入ってしまうが、元婚約者を誑かした女は悲惨な末路を辿り、元婚約者も……
※この作品には残酷な表現とホラーっぽい遠回しなヤンデレが多分に含まれます。苦手な方はご注意ください。
また、一応転生者も出ます。
【完結済み】婚約破棄したのはあなたでしょう
水垣するめ
恋愛
公爵令嬢のマリア・クレイヤは第一王子のマティス・ジェレミーと婚約していた。
しかしある日マティスは「真実の愛に目覚めた」と一方的にマリアとの婚約を破棄した。
マティスの新しい婚約者は庶民の娘のアンリエットだった。
マティスは最初こそ上機嫌だったが、段々とアンリエットは顔こそ良いが、頭は悪くなんの取り柄もないことに気づいていく。
そしてアンリエットに辟易したマティスはマリアとの婚約を結び直そうとする。
しかしマリアは第二王子のロマン・ジェレミーと新しく婚約を結び直していた。
怒り狂ったマティスはマリアに罵詈雑言を投げかける。
そんなマティスに怒ったロマンは国王からの書状を叩きつける。
そこに書かれていた内容にマティスは顔を青ざめさせ……
(完結)伯爵家嫡男様、あなたの相手はお姉様ではなく私です
青空一夏
恋愛
私はティベリア・ウォーク。ウォーク公爵家の次女で、私にはすごい美貌のお姉様がいる。妖艶な体つきに色っぽくて綺麗な顔立ち。髪は淡いピンクで瞳は鮮やかなグリーン。
目の覚めるようなお姉様の容姿に比べて私の身体は小柄で華奢だ。髪も瞳もありふれたブラウンだし、鼻の頭にはそばかすがたくさん。それでも絵を描くことだけは大好きで、家族は私の絵の才能をとても高く評価してくれていた。
私とお姉様は少しも似ていないけれど仲良しだし、私はお姉様が大好きなの。
ある日、お姉様よりも早く私に婚約者ができた。相手はエルズバー伯爵家を継ぐ予定の嫡男ワイアット様。初めての顔あわせの時のこと。初めは好印象だったワイアット様だけれど、お姉様が途中で同席したらお姉様の顔ばかりをチラチラ見てお姉様にばかり話しかける。まるで私が見えなくなってしまったみたい。
あなたの婚約相手は私なんですけど? 不安になるのを堪えて我慢していたわ。でも、お姉様も曖昧な態度をとり続けて少しもワイアット様を注意してくださらない。
(お姉様は味方だと思っていたのに。もしかしたら敵なの? なぜワイアット様を注意してくれないの? お母様もお父様もどうして笑っているの?)
途中、タグの変更や追加の可能性があります。ファンタジーラブコメディー。
※異世界の物語です。ゆるふわ設定。ご都合主義です。この小説独自の解釈でのファンタジー世界の生き物が出てくる場合があります。他の小説とは異なった性質をもっている場合がありますのでご了承くださいませ。