悪役令嬢は高らかに笑う。

アズやっこ

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13 受け継ぐもの


私が生まれ育った公爵家は第一子が公爵家を、第二子が伯爵家を継ぐ事になっている。

第一子のお祖父様、元お父様が公爵当主になった。

第二子の大叔父様、お父様が伯爵当主になった。


公爵家は貴族の最高位の立場。後は広大な領地を所有している。そのためお金に困る事はない。

伯爵家は公爵家の枝分かれ、所謂分家。領地はなく、爵位だけを譲り受けた。だから伯爵家は独自でお金を得る必要があった。お金を得る為に商会を立ち上げ生活をしている。

表向きは。



伯爵家には公爵家にも伝えていない秘密がある。

それは諜報員の元締め。

所謂裏の顔ね。王家にも影と呼ばれる人達がいるけど、その人達は伯爵家から派遣された人達。王家だけじゃなく当主の中には他の貴族の邸に密偵を送りそこの家の情報を知りたい人がいる。その密偵も伯爵家から派遣された人達。


そして私にも常に一人付いている。メアリも合わせれば二人ね。だから王宮での事も私には筒抜けなの。

でも口が堅いわよ。

元締めのお父様も口が堅い。元締めのお父様は全てを把握しているから親子でも情報は言わない。でも私が指示を出して動かしてる事は知ってる。それでも口出しはしないけど。


大叔父様はこの家業を継いだ時、お祖父様に子が二人産まれなければ結婚するつもりだった。でも二人産まれたから結婚せず独り身を貫いた。

お父様はお母様に子が宿った時点で結婚して跡継ぎを作らないといけなかった。私は公爵家の跡継ぎだから。でもお父様は跡継ぎよりもお母様を愛する事を選んだ。

表向きの商会は商会の人に、裏の顔の方は諜報員の誰かに受け継ぐつもりでいた。元締めが代わろうと王家には影が必要だし、貴族には密偵が必要だから。需要は元締めが代わろうが変わらない。商会も長年続く商会だけあって今更潰れる事はない。



私がエドワード王子の婚約者に決まった時、お父様、当時は叔父様から、


「王宮には良からぬことを考える者が多い。シャーロットがエドワード王子の婚約者になった事を不満に思う者もいる。シャーロットは俺の可愛い姪っ子だ、だから俺の頼みを聞いてくれるか?」


その時紹介されたのが、私に常に付いてる影。


「王族には影が付く。だけど婚約者のシャーロットには付かない。だから俺が付ける。何かあればこいつに指示を出せ。そしたらシャーロットの手となり足となり動いてくれる。それにシャーロットに危険が及ぶ時は身を挺して護ってくれる。

俺の可愛い姪っ子を何が何でも護りたい叔父さんの頼みを聞いてくれるか?」


私はお父様の頼みを聞いて常に側にいる事を了承した。初めは気になったけどそれも次第に気にならなくなった。他の目がある時は接触してこないし、私が何か頼めば迅速に動いてくれる。


それにお父様はただ単に娘の私を護りたかった。元お父様では護れないと、護るつもりがないと分かっていたのね。

だからメアリは邸の中で私を護る為にメイドとして私に付かせた。メアリが見習いメイドとして公爵家に来たのはお母様が亡くなってからだったから。



きっと私がエドワード王子を好きになったらレーナさんも近づけさせなかったと思う。でも私はエドワード王子を好きにならなかった。それに仲良くしている婚約者達を見つめていた事で私が婚約を解消したいと思っている事を影は気づいた。何年と私の側で観察していたら私の顔で分かるわよね。それを私に付いてる影が報告していたと思う。だからレーナさんを自由にさせていた。

結果、エドワード王子はレーナさんを愛し、私は婚約破棄された。



私はお父様から表向きの商会も、裏の顔の諜報員の元締めも受け継ぐ。

どうやら私には裏の顔の素質があるみたい。諜報員の元締めだもの、闇を持っていて心が強くないと。

全ての情報を把握して適切に判断する。それを自分の中で留める。元締めのお父様はこの国の情報を全て知っていると思う。私には想像もできない裏の話。それを一人で抱え顔にも出さない。

闇を持っていないと適切な判断はできないわ。それに時には無慈悲にならないといけない。心が強くないと耐えられなくなり心が病んでしまうもの。


これからもし私が結婚して子が産まれても第一子に公爵家を継がせるつもりはない。私は公爵家から勘当された子。公爵家がどうなろうと私には関係ない。

私の子供は一人だけでいい。伯爵家を継がせる子だけで。

結婚できないならできないでお父様がしようとしていたように、商会は商会の人に、諜報員の元締めは諜報員の誰かに継いでもらえばいいだけだもの。

代わりなんて誰でも出来るの。

お父様が元お父様の代わりになったように、私がヒロインと悪役令嬢の代わりになったように。


誰かに引き継げばいいの。


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