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次の日の朝食後、
コンコン
「アリシアお嬢様、ベンの奥さんが今なら時間が作れると言っていますが」
「それならお願い!」
「分かりました。今呼んできますね」
「ケイト、どうせなら皆でお茶をしましょ?」
「分かりました。お茶の準備もしてきます」
暫くしてケイトとベンの奥様、カーラが入って来た。
「忙しいのにごめんなさい」
「忙しくなるのは昼からですから。それで花束の本数の意味でしたか?」
「そうなの、分かるかしら」
「あの花瓶に生けてある薔薇ですか?」
「そうなの」
「5本には「あなたに出会えた事の心からの喜び」と言う意味があって、6本だと「あなたに夢中、お互い敬い、愛し、分かち合いましょう」と言う意味があります。
合わせて11本ですか。ジルベーク様は本当にアリシアお嬢様を愛しているんですね。11本には「最愛」と言う意味があります。そこにかすみ草まで」
「かすみ草は「幸福」よね?」
「ええ、愛に溢れた花束ですね」
「私はジル様から幸せを貰ってばかりだわ」
「それはジルベーク様の方ですよ。こんな可愛いお嬢さんをお嫁さんに出来るのですから。それも十も年下ですよ?ただでさえ女っ気のない辺境で女のおの字も知らないジルベーク様がですよ?
見目も良くない、愛想もない、大柄で、誇れる所は腕っぷしだけ。辺境伯としても隊長としても立派ですが、本当に女性の影もなくて、使用人は皆心配していたんです」
「そうなの?ジル様は素敵な男性よ?格好良くて優しいわ。それに照れた顔は可愛いのよ?大柄の逞しい体も剣の腕が強いのも日々の鍛錬を怠らないから出来上がった体でしょ?もっと誇るべきだわ。それにあの大柄が良いのよ?包み込むように護られてるって思えるもの」
「それならお二人は出会うべくして出会ったって事ですね」
「それなら嬉しいわ」
「後は子ですね」
「ジル様に似た子を産むわね」
「できればアリシアお嬢様に似た子をお願いします。その方が見目の良い子になるので」
「ジル様の顔は格好いいわよ?」
「それは好みの問題ですね」
「それもそうね。カーラは情報通なんでしょ?何か面白い話はないの?」
「そうですね、では、そこにいるボルですが奥さんに頭が上がりません」
「どうして?」
「娼館に行った事がバレたので」
「お、おい!俺の事は言うな!」
「まあ、1回だけだったので喧嘩だけで済みましたが、夫婦仲は良いですよ?」
「それなら良かったわ」
「ちなみにボルの娘さんはクルトと付き合っています」
「そうなの?」
「ここは出会いがないですから。街へ巡回に行った時に出会うしかありません。ボルをはじめ結婚している騎士の家族は街で暮らしていて休みの時にしか会えないし、国境へ行けば何ヶ月と会えません。それでも皆さん奥さんを大事にする人達ばかりです」
「良かったわ」
「だから娘が産まれると取り合いです」
「ふふっ、それも大変ね」
「ボルの部隊の副団長のノールは昔、泣き虫ノールと言われていました。見習いの時いつも泣いていたんです。今は立派な副団長になりましたが」
「頑張ったのね」
「ノールは今彼女募集中です」
「誰か良い人がいると良いけど」
「あの子は奥手だから自分から話しかけるとかは出来ないので一生独身ですね」
「それは分からないわよ?」
「辺境の騎士達は女性を見たら声をかけろ!ですから。声をかけられないノールは他の騎士より一歩出遅れますから」
「心優しい女性がいるかもしれないわ」
「辺境の騎士の妻になるには強くないと。ほとんど家にいない夫に代わり家を守り子を一人で育てないといけないので。だから奥さん同士の結束力は素晴らしいですよ」
「旦那様より隣の奥様って所かしら」
「ええ、助け合って生活しています。そして子達がまた辺境の騎士になり働き、辺境の騎士の妻になる」
「だから理解も出来て辺境は強い人達が多いのね。奥様の支える力ありきって事ね?」
「そうですね。だから皆奥さんには頭が上がりません」
「それでも仲が良いなら愛よね?」
「ええ」
「私も見習わなくてはいけないわね」
「ジルベーク様が邸を空けるのは国境へ行く時だけですが、辺境伯なので戦ではない限り何ヶ月も留守にはしません。一緒に子育ても出来ますし、お二人が愛し合う夫婦になるのが我々使用人も騎士達も願っている事です」
「そこは任せて!私はジル様を愛しているもの。離れろって言われても離れないわ」
「ジルベーク様の方が離さないと思いますよ?」
「ならお互い離さないから大丈夫ね」
カーラの話を色々聞いていたらあっという間にお昼になって、またお茶をしようと約束した。
なかなか騎士達の話なんて聞けないし、楽しかったわ。
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