55 / 60
55.
神父様の前に着いたジル様と私は神父様をみます。
婚姻式が始まり、
「新郎ジルベーク、あなたはアリシアを妻とし、健やかなるときも、病めるときも、ーーーーーーーーーーその命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
「誓います」
「新婦アリシア、あなたはジルベークを夫とし、健やかなるときも、ーーーーーーーーーー誓いますか?」
「誓います」
「では辺境を護る武神へ」
と神父様は言い、
「辺境伯ジルベーク、あなたは騎士として国を護り民を護ってきました。新たに愛する妻を迎え護る者が増えましたが、その持てる力ある限り愛する妻を護ることを剣に誓いますか?」
「剣に誓う」
「辺境伯夫人アリシア、あなたは辺境伯へ嫁ぎ辺境の騎士の母になりました。大きな心で愛で包み、愛する夫を支えることをここにいる大勢の家族に誓いますか?」
「誓います」
神父様はジル様と私に優しい微笑みを見せた。
指輪の交換をして、ジル様がベールをあげる。
ジル様の唇が私の唇に近づき、私は目を閉じる。お互いの唇が重なる。
「二人が晴れて夫婦になったことをここに宣言します」
神父様の宣言の直後、
「うおぉぉぉぉぉーー!!」
騎士達の雄叫びが響いた。
ジル様と私は雄叫びをあげる騎士達の間を歩き、
「シア、綺麗だ」
「ジル様の方が素敵です」
「フッ」
「ふふっ」
「これで夫婦だな」
「はい、もう私から逃げられませんね」
「シアもだぞ?俺から逃げられない。俺は一生離さない、剣に誓ったからな」
「私はジル様から離れません。私も家族の前で誓いましたから」
ジル様は私を抱き上げ、
「愛してる、愛しい妻よ」
ジル様の声が響いた。
「私も愛してます、愛しい旦那様」
ジル様は私の唇に唇を重ねた。
長いキスに私はジル様を叩き、
「長いです」
「そのくらい嬉しいんだ」
ジル様は私に笑顔を向けた。
私はジル様の頬に口付けし、
「ジル様の笑顔は私のものです。皆に見せないで下さい」
「ならシアの照れた顔は俺のものだ。シアこそ見せるな」
私達の後ろではまた騎士達が雄叫びをあげた。
私達は騎士達の家族が並んでいる所へ来て、
「今日はありがとう」
ジル様が声をかければ、一斉に花びらが舞った。
「結婚おめでとうございます」
皆様からお祝いの言葉をかけてもらい、辺境伯夫人として迎え入れられ、とても嬉しいです。
「隊長さん、こんな若くて可愛いお嫁さんに捨てられないように頑張りな!」
「隊長さんももう年なんだから早く跡継ぎ作んなよ!」
「絶対に逃がすんじゃないよ!ようやく出来た嫁なんだからね!」
騎士達の家族もジルベーク様を家族のように息子のように思ってくれているのだと嬉しくなりました。
「余計なお世話だ!」
ジル様が言い返せば、笑いが起こり、とても幸せな光景に心が温まりました。この辺境は辺境で暮らす皆様の愛が詰まった場所だと思います。
幼い頃母親を亡くしたジル様が寂しくないようにきっと皆様が母親になりながらジル様の成長を見守ってきたに違いありません。
その中の一人になれた事が本当に嬉しいです。
婚姻式が終わり、今は食事をしながら話しをしています。
「お母様」
「アリシア綺麗よ」
「ありがとうございます。それより驚きました。まさかお父様とお母様が出席してくれるなんて思ってもいなかったので」
「隣国からの帰りに婚姻式を合わせると辺境伯から連絡がきたの。だからロベルドは王城でお留守番よ。隣国へ私達が行っている間は王太子が国王の代わりになるのは当たり前でしょ?」
「お兄様が叔父様達と一緒にこちらに来なかったのはその理由だったんですね」
「ロベルドも会いたがっていたから今度辺境伯と王都へ来なさい」
「分かりました」
「貴女の部屋も残してあるから」
「ですが、」
「お嫁に行っても私達の大事な娘なのは変わらないわ。公の場では立場が違うけど離れれば親子に戻っても良いでしょ?」
「はい」
「何かあれば直ぐに連絡をしなさいね?」
「はい」
「アリシア、幸せになりなさい」
「そこは大丈夫です」
「そうみたいね」
お母様は私を抱きしめた。
お父様とジル様が一緒に歩いて来て、
「お父様とお話は終わりましたか?」
「ああ」
「何のお話だったのです?」
「まあ、報告とか色々だ」
「こんな時に報告ですか?」
「まあ、あれだ、今後は王城へ顔を出すようにって話だ(それだけじゃあないが)」
「今度一緒に行きましょうね?」
「ああ(シアに言える訳がないだろ!初夜だけじゃなくこれからも大事な娘を乱暴に扱うな、動けなくなるまでするなって釘を刺されたなんて言える訳ないだろ!乱暴にするつもりはないが、動けなくなるまではするかもしれないが)」
「ジル様?」
「ん?何だ?」
「もしかして背中の傷の事を言われましたか?」
「まあ、それは言われても仕方がない。俺が側にいながら防げなかった。それに傷が残るのも事実だからな」
「ですが」
「心配するな、怒られた訳じゃない」
「それなら良いのですが」
「今日は幸せな日だ、楽しもう」
「そうですね」
騎士達も皆お酒を飲んで騒いでいるけど、皆笑顔、私達の結婚を喜んでいるのは分かります。
あなたにおすすめの小説
余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~
流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。
しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。
けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。
婚約者を譲れと姉に「お願い」されました。代わりに軍人侯爵との結婚を押し付けられましたが、私は形だけの妻のようです。
ナナカ
恋愛
メリオス伯爵の次女エレナは、幼い頃から姉アルチーナに振り回されてきた。そんな姉に婚約者ロエルを譲れと言われる。さらに自分の代わりに結婚しろとまで言い出した。結婚相手は貴族たちが成り上がりと侮蔑する軍人侯爵。伯爵家との縁組が目的だからか、エレナに入れ替わった結婚も承諾する。
こうして、ほとんど顔を合わせることない別居生活が始まった。冷め切った関係になるかと思われたが、年の離れた侯爵はエレナに丁寧に接してくれるし、意外に優しい人。エレナも数少ない会話の機会が楽しみになっていく。
(本編、番外編、完結しました)
女性として見れない私は、もう不要な様です〜俺の事は忘れて幸せになって欲しい。と言われたのでそうする事にした結果〜
流雲青人
恋愛
子爵令嬢のプレセアは目の前に広がる光景に静かに涙を零した。
偶然にも居合わせてしまったのだ。
学園の裏庭で、婚約者がプレセアの友人へと告白している場面に。
そして後日、婚約者に呼び出され告げられた。
「君を女性として見ることが出来ない」
幼馴染であり、共に過ごして来た時間はとても長い。
その中でどうやら彼はプレセアを友人以上として見れなくなってしまったらしい。
「俺の事は忘れて幸せになって欲しい。君は幸せになるべき人だから」
大切な二人だからこそ、清く身を引いて、大好きな人と友人の恋を応援したい。
そう思っている筈なのに、恋心がその気持ちを邪魔してきて...。
※
ゆるふわ設定です。
完結しました。
彼は亡国の令嬢を愛せない
黒猫子猫
恋愛
セシリアの祖国が滅んだ。もはや妻としておく価値もないと、夫から離縁を言い渡されたセシリアは、五年ぶりに祖国の地を踏もうとしている。その先に待つのは、敵国による処刑だ。夫に愛されることも、子を産むことも、祖国で生きることもできなかったセシリアの願いはたった一つ。長年傍に仕えてくれていた人々を守る事だ。その願いは、一人の男の手によって叶えられた。
ただ、男が見返りに求めてきたものは、セシリアの想像をはるかに超えるものだった。
※同一世界観の関連作がありますが、これのみで読めます。本シリーズ初の長編作品です。
※ヒーローはスパダリ時々ポンコツです。口も悪いです。
今更ですか?結構です。
みん
恋愛
完結後に、“置き場”に後日談を投稿しています。
エルダイン辺境伯の長女フェリシティは、自国であるコルネリア王国の第一王子メルヴィルの5人居る婚約者候補の1人である。その婚約者候補5人の中でも幼い頃から仲が良かった為、フェリシティが婚約者になると思われていたが──。
え?今更ですか?誰もがそれを望んでいるとは思わないで下さい──と、フェリシティはニッコリ微笑んだ。
相変わらずのゆるふわ設定なので、優しく見てもらえると助かります。
【完結】あなたを忘れたい
やまぐちこはる
恋愛
子爵令嬢ナミリアは愛し合う婚約者ディルーストと結婚する日を待ち侘びていた。
そんな時、不幸が訪れる。
■□■
【毎日更新】毎日8時と18時更新です。
【完結保証】最終話まで書き終えています。
最後までお付き合い頂けたらうれしいです(_ _)
【完結】烏公爵の後妻〜旦那様は亡き前妻を想い、一生喪に服すらしい〜
七瀬菜々
恋愛
------ウィンターソン公爵の元に嫁ぎなさい。
ある日突然、兄がそう言った。
魔力がなく魔術師にもなれなければ、女というだけで父と同じ医者にもなれないシャロンは『自分にできることは家のためになる結婚をすること』と、日々婚活を頑張っていた。
しかし、表情を作ることが苦手な彼女の婚活はそううまくいくはずも無く…。
そろそろ諦めて修道院にで入ろうかと思っていた矢先、突然にウィンターソン公爵との縁談が持ち上がる。
ウィンターソン公爵といえば、亡き妻エミリアのことが忘れられず、5年間ずっと喪に服したままで有名な男だ。
前妻を今でも愛している公爵は、シャロンに対して予め『自分に愛されないことを受け入れろ』という誓約書を書かせるほどに徹底していた。
これはそんなウィンターソン公爵の後妻シャロンの愛されないはずの結婚の物語である。
※基本的にちょっと残念な夫婦のお話です
狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します
ちより
恋愛
侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。
愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。
頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。
公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。