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「ヘレン様が体調を崩したのは本当よ?その為に邸へ移ったのも本当よ? だけどね、ヘレン様が体調を崩した原因が弟さんなの。
弟さんは平民になり悪友と人を騙してお金を手にしてたんだけど、それも長くは続かず、浮浪者になった。浮浪者になり度々侯爵家にお金を貰いに来ていた。前侯爵様は相手にしなかった。それで弟さんはヘレン様に子供をまた殺されたくないならお金を寄越せと言った。ヘレン様は子供の命には変えられないとお金を渡したの。前侯爵様が気が付かない訳はないわ。毎月不明なお金が無くなってるんだもの。だけど、やっぱりどこまでいっても情の深い方なのよ。弟さんを見捨てる事が出来なくて気付かない振りをした。自分が表立って出来ない代わりにヘレン様がしていたから。
だけどね、当主を息子さんに譲った時にヘレン様は侯爵家のお金を使えなくなった。使途不明金よ?何て説明するの? ヘレン様は弟さんに断るしか出来なかった」
「ですが、侯爵家のお金の管理はお祖父様がしていました。お父様の権限だけでは引き出せないように」
「前侯爵様はヘレン様が弟さんにお金を渡している事を知っていたから。だから当主を譲ってもご自分で管理した。 だけどヘレン様は前侯爵様が知っているとは知らないわ」
「あ!そうですね」
「初めはご自分のお金を渡していたの。宝石を売ってね。でもいずれ宝石も無くなるわ」
「はい」
「だから断り続けた。渡すお金が無いと。 それから数ヶ月後、餓死した状態で弟さんが発見されたの。 ヘレン様はご自分のせいだとご自分を責めた。本当に売る物は無かったか。お金を工面出来なかったか。旦那様の前侯爵様に伝えれば良かったと。旦那様に伝えていれば弟さんの力になったはずとね。ご自分を責めたの」
「お祖母様のせいではありません」
「そう。ヘレン様のせいではない。それもこれも弟さんの自業自得。人に頼らず自分でお金を稼げば良いだけの事。 それでもヘレン様はとてもお優しい情をお持ちの方だった。本当にお優しい方なの。 だから心を病んでしまわれた」
「だからお祖母様にお会い出来なかったのですね」
「心を病んでしまわれたヘレン様に前侯爵様は側に付いて献身的にヘレン様に寄り添った。邸にはメイド一人だけ残して、殆どの事を前侯爵様はお一人でやられた。前侯爵様の献身的な寄り添いで今ではもうヘレン様は心も身体も健康になられたけど、貴女や貴女の家族を捨てた訳でも放おり投げた訳でもないのよ?」
「はい。知らずにいたので…」
「当主になった息子さんが貴女を蔑ろにしていると知って貴女に渡すお金を渡していたの」
「え?」
「それも全部彼等が使っていた。 だけど日によってばら付きのあるヘレン様の体調に前侯爵様は邸を開ける事は出来なかった。どれだけ貴女を心配してようが愛していようが。それは分かってほしいの」
「はい。たまに邸に戻って来るお祖父様には可愛がられていましたから」
「当主のお父様が当主として何もなさらないから侯爵家は没落寸前だったわ。前侯爵様が邸を出られた時に侯爵家のお金の管理も息子さんに託した?」
「はいそうです」
「やっぱり。貴女が10歳の時、貴女に当主の仕事を教えた」
「はい」
「それも苦渋の決断だったの。ヘレン様は体調が良い時が多くなったとはいえ、その分塞ぎこんだ時は目が離せなかった。一度目を離した時にご自分でご自分を傷付けたそうよ。 だから目を離せなかった。体調が良い時に貴女に教えていたの。 侯爵家を護る為に。大事な家族、大事な使用人、大事な領地の平民を護る為に」
「はい」
「だけど一番の理由は多分、ヘレン様。多分よ?
前侯爵様は情に厚く深い方だった。だから貴族から信用され信頼されてきた。けどね、ヘレン様の支えがあったからだと思うの。ヘレン様が支え助けてくれたから。ヘレン様も優しい情をお持ちの方だったから。 困ってる貴族にお金を出せたのは妻のヘレン様が反対をしなかったから。前侯爵様のお人柄を誰よりも理解し認めていたから。 困ってる貴族に手を差し伸ばし助ける。お二人共そういうお方なの。 だから心を病んでるヘレン様にこれ以上心の負担をかけたくないと思った。後、二人で築き上げた侯爵家を潰したく無かった。そう私は思ったの」
「はい」
「それで貴女を苦しめるのは違うんだけどね。でも貴女は賢い子だった。教えたら出来、自分で考えて決められる。次期当主として申し分なかった。だから貴女に大事な侯爵家を託した。
貴女のご両親は貴女を身籠り産んだ時まだ心が子供だったの。妹さんが産まれてようやく親になれた。 でもご両親の気持ちを理解する必要はないの。貴女のご両親は自業自得なの。当主の責務も果たさず貴女の育児を放棄した。 前侯爵様が子息と子息夫人と縁を切るのは前侯爵様の信念よ? 貴女のせいではないわ。
貴女は背負い過ぎよ? ご両親の事忘れなさいとは言わないわ。だけど気に掛けなくても良いの。 母親の愛情は私がこれから沢山注ぐわ。 父親の愛情が欲しいならあの人が注いでくれるわ。 それに貴女を愛してるチャーリーがとことん甘やかして愛するわ。だから貴女は不幸になんかならない。 貴女は幸せになるの」
「はい。ローラ母様」
弟さんは平民になり悪友と人を騙してお金を手にしてたんだけど、それも長くは続かず、浮浪者になった。浮浪者になり度々侯爵家にお金を貰いに来ていた。前侯爵様は相手にしなかった。それで弟さんはヘレン様に子供をまた殺されたくないならお金を寄越せと言った。ヘレン様は子供の命には変えられないとお金を渡したの。前侯爵様が気が付かない訳はないわ。毎月不明なお金が無くなってるんだもの。だけど、やっぱりどこまでいっても情の深い方なのよ。弟さんを見捨てる事が出来なくて気付かない振りをした。自分が表立って出来ない代わりにヘレン様がしていたから。
だけどね、当主を息子さんに譲った時にヘレン様は侯爵家のお金を使えなくなった。使途不明金よ?何て説明するの? ヘレン様は弟さんに断るしか出来なかった」
「ですが、侯爵家のお金の管理はお祖父様がしていました。お父様の権限だけでは引き出せないように」
「前侯爵様はヘレン様が弟さんにお金を渡している事を知っていたから。だから当主を譲ってもご自分で管理した。 だけどヘレン様は前侯爵様が知っているとは知らないわ」
「あ!そうですね」
「初めはご自分のお金を渡していたの。宝石を売ってね。でもいずれ宝石も無くなるわ」
「はい」
「だから断り続けた。渡すお金が無いと。 それから数ヶ月後、餓死した状態で弟さんが発見されたの。 ヘレン様はご自分のせいだとご自分を責めた。本当に売る物は無かったか。お金を工面出来なかったか。旦那様の前侯爵様に伝えれば良かったと。旦那様に伝えていれば弟さんの力になったはずとね。ご自分を責めたの」
「お祖母様のせいではありません」
「そう。ヘレン様のせいではない。それもこれも弟さんの自業自得。人に頼らず自分でお金を稼げば良いだけの事。 それでもヘレン様はとてもお優しい情をお持ちの方だった。本当にお優しい方なの。 だから心を病んでしまわれた」
「だからお祖母様にお会い出来なかったのですね」
「心を病んでしまわれたヘレン様に前侯爵様は側に付いて献身的にヘレン様に寄り添った。邸にはメイド一人だけ残して、殆どの事を前侯爵様はお一人でやられた。前侯爵様の献身的な寄り添いで今ではもうヘレン様は心も身体も健康になられたけど、貴女や貴女の家族を捨てた訳でも放おり投げた訳でもないのよ?」
「はい。知らずにいたので…」
「当主になった息子さんが貴女を蔑ろにしていると知って貴女に渡すお金を渡していたの」
「え?」
「それも全部彼等が使っていた。 だけど日によってばら付きのあるヘレン様の体調に前侯爵様は邸を開ける事は出来なかった。どれだけ貴女を心配してようが愛していようが。それは分かってほしいの」
「はい。たまに邸に戻って来るお祖父様には可愛がられていましたから」
「当主のお父様が当主として何もなさらないから侯爵家は没落寸前だったわ。前侯爵様が邸を出られた時に侯爵家のお金の管理も息子さんに託した?」
「はいそうです」
「やっぱり。貴女が10歳の時、貴女に当主の仕事を教えた」
「はい」
「それも苦渋の決断だったの。ヘレン様は体調が良い時が多くなったとはいえ、その分塞ぎこんだ時は目が離せなかった。一度目を離した時にご自分でご自分を傷付けたそうよ。 だから目を離せなかった。体調が良い時に貴女に教えていたの。 侯爵家を護る為に。大事な家族、大事な使用人、大事な領地の平民を護る為に」
「はい」
「だけど一番の理由は多分、ヘレン様。多分よ?
前侯爵様は情に厚く深い方だった。だから貴族から信用され信頼されてきた。けどね、ヘレン様の支えがあったからだと思うの。ヘレン様が支え助けてくれたから。ヘレン様も優しい情をお持ちの方だったから。 困ってる貴族にお金を出せたのは妻のヘレン様が反対をしなかったから。前侯爵様のお人柄を誰よりも理解し認めていたから。 困ってる貴族に手を差し伸ばし助ける。お二人共そういうお方なの。 だから心を病んでるヘレン様にこれ以上心の負担をかけたくないと思った。後、二人で築き上げた侯爵家を潰したく無かった。そう私は思ったの」
「はい」
「それで貴女を苦しめるのは違うんだけどね。でも貴女は賢い子だった。教えたら出来、自分で考えて決められる。次期当主として申し分なかった。だから貴女に大事な侯爵家を託した。
貴女のご両親は貴女を身籠り産んだ時まだ心が子供だったの。妹さんが産まれてようやく親になれた。 でもご両親の気持ちを理解する必要はないの。貴女のご両親は自業自得なの。当主の責務も果たさず貴女の育児を放棄した。 前侯爵様が子息と子息夫人と縁を切るのは前侯爵様の信念よ? 貴女のせいではないわ。
貴女は背負い過ぎよ? ご両親の事忘れなさいとは言わないわ。だけど気に掛けなくても良いの。 母親の愛情は私がこれから沢山注ぐわ。 父親の愛情が欲しいならあの人が注いでくれるわ。 それに貴女を愛してるチャーリーがとことん甘やかして愛するわ。だから貴女は不幸になんかならない。 貴女は幸せになるの」
「はい。ローラ母様」
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