妹がいなくなった

アズやっこ

文字の大きさ
146 / 187

145

しおりを挟む
 チャーリーが帰って来て、その手には陛下の印が付いた許可書を持っていた。これで孤児院の子達を集められる。

 お祖父様とチャーリーは明日の予定を確認している。アイリーン様は邸に戻り、明日メイドと騎士を連れて来てくれるそう。

 私はお祖母様とゆっくりお茶タイム中…。


「お祖母様、ごめんなさい」

「何が?」

「お父様にお母様、それに、サラフィスまで…」

「それは仕方のない事よ?エミリーの気の病む事ではないわ」

「そうでしょうか」

「サラは分からないけど、お父様とお母様は自分達の行いを見つめるべきだったの。二人共自分と向き合う時間が必要なのよ」

「はい」

「辺境という厳しい環境の中でようやく自分が未熟だと気付いてくれる事を願ってるわ」

「はい」

「エミリーはこれからチャーリー君と婚姻でしょ?」

「はい」

「ドレスの手配しないとね?」

「…はい」


 私は真っ赤になった顔を俯けた。


 次の日朝早くからグレンと騎士達は孤児院へ向けて邸を出て行った。侯爵家の馬車2台とお祖父様の馬車、チャーリーの家の馬車を1台借り、アイリーン様の馬車も借りて孤児院を一院づつ回り子供達を連れてくる。陛下の許可書が一通しかないから仕方ないとはいえ、全部回ると昼前ぐらいね。

 その間、私はお祖父様に子供達を迎える手順を聞いた。

 子供達はまず食堂に集められ、簡単な書き取りをする。名前とか、就きたい職とか。食堂には長いテーブルと椅子があり、少し足りない分の椅子も違う部屋から持ってきて人数分用意してあった。

 その為、今日は部屋での食事になったけど、今迄も部屋で食べてた私にはあまり変わらないわね。


 子供達が着く前にチャーリーとアイリーン様が邸に来た。チャーリーは商会の馬車でアイリーン様とメイドを迎えに行き、アイリーン様の護衛騎士は馬で来たそうだ。

 書斎で皆で少し話をしお茶を飲み、私とチャーリーは執務室に来ている。


「チャーリー、チャーリーの部屋を作るつもりなんだけど何か意見ある?」

「部屋?」

「結婚してからも住む部屋」

「それってこの邸で?」

「え?一緒に住まないの?」

「違う違う。住む、一緒に住むよ」

「良かった」

「新婚の時はほら、二人きりになりたいと言うか」

「どう言う意味?」

「俺が言うのもあれだけど」

「いいわよ言って」

「離れを建てたいなと思って。俺がお金出すし、エリーが嫌じゃなければ。後、前、お、お義祖父様が許可してくれるならになるけど」

「ふふっ」

「何?」

「お祖父様で良いと思うわよ?」

「うっ。何か恥ずかしいな」

「それより離れね…」

「やっぱり嫌、だよね」

「嫌じゃない。私も離れが良い。ジム、大丈夫そう?」

「大旦那様も何も言われないと思います」

「なら離れを建てましょ」

「小さいのでいいよ。食事とかはこっちで皆で取って寝起きは離れでしたい」

「食事はお祖父様達と一緒で良いの?」

「一緒が良い。ただ夫婦の時間だけは二人で過ごしたい」

「二人…」

「嫌?」

「嫌じゃないの。チャーリーと一緒に寝るのは安心するもの」

「夫婦になったら寝るだけじゃないよ?」

「わ、分かってるわよ」


 私は顔を真っ赤にして俯けた。


「エリー」

「ん?」


 呼ばれ顔を上げたら、チャーリーの唇が私の唇に重ねられ口付けをした。


「チャーリー!」

「何?」

「ジムが…いる、わ…」

「私は何も見ていませんが」

「ジムさんは優秀な執事だから大丈夫だよ。それに昨日はバタバタとしててエリーとゆっくり過ごす時間もなかった」

「そうだけど…」

「俺だってエリーとの時間が欲しいよ」

「それは私だって」

「俺の家に居た時はもっと側にいれた」

「そうだけど」

「それに昨日の夜は寂しかった。いつも抱き締めて寝ていたエリーがいなくて」

「私も昨日はなかなか寝つけれなかった…私もチャーリーが側に居ないと寂しい」


 チャーリーは私を抱き締めた。


「俺もなかなか眠れなかったよ」

「うん」

「もうこのまま俺もここに住もうかな?」

「そうして欲しいけど…無理よ…」

「それは俺も分かってるよ。それにお義祖父様の期待に添えるか分からないけど、頑張ってみたいとも思う」

「宰相にするって言った事?」

「そう。俺は一度自分の手で失くした。だけど幼い頃からの夢で現実にする為に頑張ってきた」

「そうね」

「商会で役にたったし満足もしてる」

「うん」

「けど、また夢を見ても良いと、諦めなくて良いと言われて、俺さ嬉しかったんだ」

「チャーリーは宰相になりたいの?」

「幼い頃から父上の跡を継ぐと思ってたし、宰相になるものだと思ってたけど、今はなりたいって思うよ」

「そう」

「俺を助けてくれる?」

「当たり前でしょ」

「エリーは俺の女神なんだ」

「やめてよ」

「女神なんだよ。地獄から這い上がらせてくれたのもエリー、商会で働かせてくれたのもエリー、それに俺の気持ちを受け取ってくれて愛する事を許してくれたのもエリー。エリーが側にいてくれたら俺は何でも出来るんだ」

「女神ではないけどチャーリーが側にいてって言うなら側にいる。私にとってチャーリーも神様だもの」






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。 その事実だけを抱えて、離縁をつきつけ家を出た。 そこで待っていたのは、 最悪の出来事―― けれど同時に、人生の転機だった。 夫は、愛人と好きに生きればいい。 けれど、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。 妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。 彼女が選び直す人生と、 辿り着く本当の幸せの行方とは。

【完結】捨てたものに用なんかないでしょう?

風見ゆうみ
恋愛
血の繋がらない姉の代わりに嫁がされたリミアリアは、伯爵の爵位を持つ夫とは一度しか顔を合わせたことがない。 戦地に赴いている彼に代わって仕事をし、使用人や領民から信頼を得た頃、夫のエマオが愛人を連れて帰ってきた。 愛人はリミアリアの姉のフラワ。 フラワは昔から妹のリミアリアに嫌がらせをして楽しんでいた。 「俺にはフラワがいる。お前などいらん」 フラワに騙されたエマオは、リミアリアの話など一切聞かず、彼女を捨てフラワとの生活を始める。 捨てられる形となったリミアリアだが、こうなることは予想しており――。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

(完)貴女は私の全てを奪う妹のふりをする他人ですよね?

青空一夏
恋愛
公爵令嬢の私は婚約者の王太子殿下と優しい家族に、気の合う親友に囲まれ充実した生活を送っていた。それは完璧なバランスがとれた幸せな世界。 けれど、それは一人の女のせいで歪んだ世界になっていくのだった。なぜ私がこんな思いをしなければならないの? 中世ヨーロッパ風異世界。魔道具使用により現代文明のような便利さが普通仕様になっている異世界です。

妹は謝らない

青葉めいこ
恋愛
物心つく頃から、わたくし、ウィスタリア・アーテル公爵令嬢の物を奪ってきた双子の妹エレクトラは、当然のように、わたくしの婚約者である第二王子さえも奪い取った。 手に入れた途端、興味を失くして放り出すのはいつもの事だが、妹の態度に怒った第二王子は口論の末、妹の首を絞めた。 気絶し、目覚めた妹は、今までの妹とは真逆な人間になっていた。 「彼女」曰く、自分は妹の前世の人格だというのだ。 わたくしが恋する義兄シオンにも前世の記憶があり、「彼女」とシオンは前世で因縁があるようで――。 「彼女」と会った時、シオンは、どうなるのだろう? 小説家になろうにも投稿しています。

両親に溺愛されて育った妹の顛末

葉柚
恋愛
皇太子妃になるためにと厳しく育てられた私、エミリアとは違い、本来私に与えられるはずだった両親からの愛までも注ぎ込まれて溺愛され育てられた妹のオフィーリア。 オフィーリアは両親からの過剰な愛を受けて愛らしく育ったが、過剰な愛を受けて育ったために次第に世界は自分のためにあると勘違いするようになってしまい……。 「お姉さまはずるいわ。皇太子妃になっていずれはこの国の妃になるのでしょう?」 「私も、この国の頂点に立つ女性になりたいわ。」 「ねえ、お姉さま。私の方が皇太子妃に相応しいと思うの。代わってくださらない?」 妹の要求は徐々にエスカレートしていき、最後には……。

『悪役令嬢は、二度目の人生で無言を貫く。~処刑回避のために黙っていただけなのに、なぜか冷徹宰相様から「君こそ運命の人だ」と溺愛さています~』

放浪人
恋愛
「もう、余計なことは喋りません(処刑されたくないので!)」 王太子の婚約者エリスは、無実の罪を着せられた際、必死に弁解しようと叫び散らした結果「見苦しい」と断罪され、処刑されてしまった。 死に戻った彼女は悟る。「口は災いの元。二度目の人生は、何があっても口を閉ざして生き延びよう」と。 しかし、断罪の場で恐怖のあまり沈黙を貫いた結果、その姿は「弁解せず耐え忍ぶ高潔な令嬢」として称賛されてしまう。 さらに、人間嫌いの冷徹宰相クラウスに「私の静寂を理解する唯一の女性」と盛大な勘違いをされ、求婚されてしまい……!? 「君の沈黙は、愛の肯定だね?」(違います、怖くて固まっているだけです!) 「この国の危機を、一目で見抜くとは」(ただ臭かったから鼻を押さえただけです!) 怯えて黙っているだけの元悪役令嬢と、彼女の沈黙を「深遠な知性」と解釈して溺愛する最強宰相。 転生ヒロインの妨害も、隣国の陰謀も、全て「無言」で解決(?)していく、すれ違いロマンティック・コメディ! 最後はちゃんと言葉で愛を伝えて、最高のハッピーエンドを迎えます。

処理中です...