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憎しみ合う番、この先は…
ビアード
しおりを挟むいつから「先輩」を「殿」に変えたのだったか…。
「クロード先輩、俺に剣の指導をお願いします」
「ビアード、お前は心根の優しい奴だ」
「ですが父上も騎士です。俺も騎士にならなくてはいけません」
「俺の父親は文官だぞ?」
「ですが俺は立派な騎士にならないといけないのです」
「ビアード、お前は他人に剣を向ける事など出来ない。剣の稽古を見ていても相手に遠慮しいつも負けている。
相手を傷つけるのが怖いか?」
「俺はただでさえ図体がでかいので。それに力もあります」
「本当に騎士になりたいのならそのでかい図体と力は武器になる。
だけどな、お前は騎士になるには優しすぎる。お前の優しさは己の命を捨てる事に繋がる。
今は相手が同じ国の騎士だ。これが戦ならお前が相手するのは敵国の騎士だ。そこに遠慮や優しさはいらない。
戦は国を護る、国に住む人を護る、国に住む大事な人を護る、その為の戦だ。大事なものを護る戦いに躊躇っていては大事なものはおろか自分さえも護れない」
「ですが…」
「ビアード、戦うだけが、剣を振るうだけが騎士じゃないぞ?
お前の心根の優しさがいつか必要になる時がくる。だからそれまでは隊長の補佐として書類仕事を手伝ってやれ」
「書類仕事ですか?」
「隊長は剣を振るう事しか出来ない。机に向かうと5分で拒絶反応が出るらしい。文字を見ると1分だ。だから書類が溜まりに溜まっている。俺も貴族だから書類仕事が出来ない訳じゃないが、俺も隊長と同じで体を動かす方が好きだ。
お前は一度書類仕事をして自分にはどちらが合ってるか向き合ってみろ」
「はい、分かりました」
俺は書類仕事の方が性に合ってた。隊長付きの補佐官になりクロード先輩をクロード殿と呼ぶようになった。
そして俺は今、騎士達の悩みを聞いたり時に励ましたり、相談役になった。
俺は空を見上げて、
「クロード先輩、先輩はただたんに俺に押し付けただけですよね?」
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