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6 B
ここはどこ?
目を開ければ見慣れない部屋の天井…。
「さき、さき、お母さんよ、分かる?」
「お、かあ、さん……?」
「さきーーー」
お母さんが少しやつれていて涙を流していた。
「貴女、交通事故にあって意識不明だったのよ?覚えてる?」
それからお医者さんが来て、私は色々調べられた。
奇跡的に?助かり、目が覚めてから数ヶ月入院し今日退院してきた。
「お姉ちゃん!」
「えみ」
妹のえみは私が事故にあってから近所に住む祖父母の家に行っていた。
「えみ、ごめんね」
「なに言ってるの?お姉ちゃんが助かって良かった…」
「泣かないでよ」
「泣いてないわよ」
えみはポロポロと涙を流している。
「もう大丈夫なの?」
「リハビリは必要だけど、もう大丈夫」
お父さんも帰って来て、久しぶりの我が家に落ちつき、自分の部屋のベッドで横になった。
目が覚めてから思ってた事、何かの夢を見ていた、そんな気がした。何も覚えていないんだけど…。
どんな夢だったかも思い出せない。
私は高校を卒業して働き始めたばかりだった。仕事は目が覚めた時に辞めた。リハビリもあるけど今は少しゆっくりしたい。
落ちついたらまた探せばいい。
「ただいま~」
「おかえり」
高校2年生のえみは帰って来て早々に乙女ゲームをやっている。
「それ楽しい?」
「お姉ちゃんもやってみれば?」
「私はいいよ」
「これさ、隠れキャラがどこかにいるはずなんだけど何をしても隠れキャラが見つからないの。違う乙女ゲームは隣国の王子だったり、後はゲームをクリアすると出てきたりするのに」
「隠れキャラ?キャラを隠してどうすんの?」
「それを探すのも楽しいの!」
「え~、隠れキャラなら重要じゃないって事でしょ?本で言えばおまけみたいなものじゃないの?」
「何度もやらせる為じゃないの?王道キャラとヒロインをくっつけたら終わりだったらそれっきりやらないじゃん」
「確かにね」
「自分の好きなキャラとヒロインをくっつけたいけど、それだってなかなか直ぐにはくっつかないんだよ?」
「乙女ゲームって奥が深いんだね」
「どんな選択をしても隠れキャラが出てこないと何度もやりたくなるじゃん。必ず見つけてやるって思うもん」
「隠れキャラなんだから隠れてるかもよ?」
「は?お姉ちゃん入院中におばさんになった?」
「ちょっと!」
「隠れキャラだから隠れてるって、そんな訳ないじゃん。条件が揃わないと出てこないから隠れキャラって言われてるの!もう黙っててよ!」
ちょっとおばさんは酷くない?確かに同じ病室におばさんがいて仲良くなったけど。
ぼちぼち仕事を探そうかと思って求人誌を見ていたら、
「お姉ちゃん、やっと見つけた!」
「何を」
「隠れキャラだよ!隠れキャラ!」
「あ、そう」
「ちょっと!隠れキャラだよ?」
「だから?」
「王室の影だったの!」
「へぇ~」
「乙女ゲームってさ、王道キャラとヒロインをくっつけるゲームだからあえてくっつけないようにしたの。そしたら植え込みに隠れるって選択があってさ、選択したらそこで隠れキャラの影と鉢合わせしたの!隠れキャラとのハッピーエンドは他国で夫婦になって暮らすで、バッドエンドは監禁だったの!」
「へぇ~」
「もう!聞いてる?」
「聞いてる聞いてる」
「隠れキャラさ、顔に火傷があって見た目があれだからヒロインが好きになったら溺愛コースで、驚いたり罵倒したら拷問の監禁コースだったの」
「溺愛?」
「もの凄く甘くて大好き、その人しか目に入らない、愛で溢れてる人?かな?よく分からないけど」
「へぇ~」
「それに二人きりの時だけヒロインの名前を呼ぶの」
「そりゃあ呼ぶでしょ」
「他国へ行った時にヒロインは名前を変えたの!で、ヒロインの本当の名前を呼ぶの、ソフィアって。それも二人きりの時しか呼ばないんだよ?愛しい、愛してるって、もう呼ばれる事のない名前を、移住した時に捨てた名前を、好きになったヒロインの本当の名前を永遠に自分のものにしたの」
「それって溺愛なの?」
「独占欲みたいなものじゃないの?」
「独占欲ね、それも確かに愛かもね」
私はその日夢を見た。
「フィー子供達はもう寝たか?」
「ええ」
「なら今からは夫婦の時間だ、だろ?」
「そうね」
男性は女性を膝の上に座らせ抱きしめる。何度もキスをし、
「ソフィア愛してる。俺の愛しいソフィア…」
完
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王子達がどうなったか想像するのも楽しいですね😆
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意表をつかれたお話でした。
面白かった~(*≧∀≦*)
こすや様
コメントありがとうございます。
ラストちょっとカケでもあったんです。
Bを選択した場合、初めからやり直す、は全てを忘れ現世に戻り今迄の生活をする。これはありなのか無しなのか…
ですが、こすや様には受け入れてもらえて良かったです。
今後新作を投稿する際にもこすや様の目に止まる事を願っています。
更新、楽しみです!
ヒロイン目線が新しい。
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瑠璃様
コメントありがとうございます。
乙女ゲーム系の話は転生なので現代人が転生したらこんな感じかと。
悪役令嬢の作品が主流の中、ヒロイン目線の物語に目を止めて頂けた事、とても嬉しいです。
ヒロインの心の声をお楽しみ頂けると嬉しいです。