0歳児に戻った私。今度は少し口を出したいと思います。

アズやっこ

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31 模擬戦

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今年も王宮騎士団の若い騎士達の模擬戦が行われた。

優勝すれば褒美も貰えるの。去年の優勝者は有名な刀匠の剣を褒美で貰ったわ。弓が得意な人は弓を、槍が得意な人は槍を、中には馬を褒美で貰う人もいたわね。

騎士だからやっぱり自分が使う物を褒美で貰う人が多いの。

それにこの模擬戦の優勝者は将来小隊の隊長になる人が多いの。だから若い騎士達にとって年に1回開催されるこの模擬戦にかける気迫が凄いの。

騎士団に入団していれば誰でも参加はできるわ。去年フランキーも参加したのよ。結果は…、そこそこかしらね。

私は毎年観覧してるわ。

模擬場の王族観覧席、国王の伯父様、その左隣にフレディ、右隣にお父様、フレディの左隣にお兄様が座っているわ。

女性は一段下ね。伯母様とロザンヌ様、お母様と私。階段を挟んで右側と左側に別れて座っているわ。

フランキーは危なげなく1回戦2回戦と勝ち進んでいる。それは去年もだけど。


「ルイも出たかったんじゃないの?」


私の後ろに立つルイ。お母様の後ろにはお母様の護衛騎士のアルロ。


「俺はいいよ。グレースを護る方が優先だ」

「ルイがどれくらいか知りたかったのに。ねぇアルロ、ルイなら何回戦までいけそうなの?」

「準決勝ぐらいですかね」

「ならフランキーももしかしたら今年は準決勝まではいけるかもしれないわね」

「いや、今年のフランシス殿下なら決勝までいけるでしょうね」

「まさか」


フランキーの強さは前の時しか知らないけど、前の時もルイには勝てなかった。だからフランキーはルイを認めた。

今もフランキーはルイの強さを認めてる。ならルイの方が強いって事でしょ?


「フランシス殿下はここ最近強くなりましたから」


家の騎士達は休みの日になると騎士団の騎士達と剣を交える。休みの日くらい休めばいいのに、と思うんだけど。

前にマークスに聞いたら『戦い方を知っている者同士では日々の稽古にはなるが騎士団の騎士達とは実戦に近い稽古になる』そう言っていたの。

戦い方は十人十色。その情報なしで剣を交える。戦いながら相手の癖や戦い方、いち早くそれを見抜き状況を判断し剣を振る。

確かに実戦に近いわよね。


「アルロはフランキーと剣を交えたの?」

「ええ勿論」

「それで?勝敗は?」

「どちらだと思います?」

「アルロね。でしょ?」

「ええ、良い勝負でした」


アルロはお母様の護衛だけあってマークスの次に強いの。マークスだってこの国では五本の指に入るのよ?


「手加減して?」

「どちらだと思います?」

「手加減じゃないわね。フランキーに合わせたんでしょ?」

「それも戦い方の一つですから」

「そうね」

「でも助言もしたので今回は良いところまでいくと思いますよ」


昼休憩をはさみ午後からは準決勝。勿論フランキーも残ったわ。


『なぁグレース、優勝したらグレースも俺に褒美をくれないか?』

『褒美?何が欲しいの?高い物は伯父様に言ってね』

『高い物、じゃ、ないかな…。俺には価値のあるものだ』

『フランキーにとって価値のあるもの?』

『どうしても欲しいものだ』

『私の手作りのお菓子?前に欲しいって言ってたものね。でもお菓子なら褒美じゃなくてもあげるわよ?』

『で、どうなんだ。くれるのかくれないのか』

『優勝したらね』

『約束だぞ。ルイが証人だからな』

『分かったわよ。フランキー頑張ってね』

『ああ、必ず優勝する。だから見ててくれ』

これは昼休憩の時の会話。

『グレース、お前って鈍感通り越して馬鹿だよな』

これは席に戻る時にルイに言われた言葉。勿論呆れた顔付きで。

私は鈍感じゃないわ。多分、きっと…。

でも皆私に呆れた顔をするの。あのウルーラお姉様までもよ?嬉しそうににこにことしているのはお兄様だけなの。


準決勝、なんか押されてる?


「殿下は負けるかもしれませんね」

「どうして?」

「集中していない」


どうして集中しているかしていないか分かるのかしら。


「気が散漫だ。あれでは今自分がどこを狙っているのか相手に教えているのと同じです」

「そうなの?」


ルイを見ると頷いている。


「交わされるから見てろよ?右、左、左、上、右、左下、右」


ルイが言うようにフランキーが振り下ろした模擬刀を相手は交わす。


「最近は癖を直したけど元々あいつは癖で次に打とうとする方へ剣を向ける。今は集中してないから癖が出てる」

「だからこそ相手からすれば交わしやすいんです。いつも一緒に稽古しているからこそその癖を知っています。

このままなら負けでしょうね」

「フランキーは何をしてるのよ。昼休憩で気が緩んだのね」

「緩んだというより気負いすぎだな。立て直そうと焦れば焦るほど集中が切れる。で今のあいつだ」

「ルイならどうするの?」

「俺なら一度間合いを取る。間合いを取って相手の出方を見るな」

「ルイの言う通りです。間合いを取って集中し直すしかありません」


もうフランキーはどうして肝心な所で集中を切らすの?あれだけ優勝するって言っていたのに。見てろって言ったのフランキーよ?

しっかりしなさいよ。


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