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しおりを挟む熱が下がった私は、
「ロニー、ロニーは自分の速さで歩いてみて」
歩き初め、どんどんと先を歩くロニー、私の歩幅に合わせてくれていたのね。
先を歩くその後ろ姿に…、
あぁ、そうだった。
どうしてテオを運命の人と言ったか思い出したわ。
あの頃、いつも手を繋いでいた。それをお茶会に来ていた子にロニーがからかわれて私の手を振り払った。ロニーはそれから男の子達の方へ走って行って、私はロニーの背中を見つめていた。どんどんと離れて行くロニーの姿が、私から離れて行く姿が…、
置いていかれた、取り残された、
違うな
あの頃ロニーの背が伸びて同じ目線だったのが変わった。
同じように走っていてもロニーの方が速くなった。
一緒に遊んでいてもロニーは自分より遅い私に文句ばかり言っていた。
手を振り払われた時、ロニーが私をもう好きじゃないと思ったんだった。
どんどん離れて行く姿に、ロニーが私から離れていくと思ったんだった。
だから、優しくて私に対する態度が変わらないテオを運命の人って言ったのよ。
ロニーを好きな気持ちに蓋をして、誰にも開けられないように、自分でも開けられないように、頑丈に蓋をした。
それからロニーを家族だと…
「ライラ!どうした!何で泣いてるんだ!」
遠く離れていたロニーが近付いてくる。
「ロニー…、婚約解消する?」
「ライラ?」
「だってロニーは私を好きじゃないでしょ?私はこんなに大好きなのに、ロニーは私の手を振り払ったじゃない!私から離れて行ったじゃない!だから私はテオを運命の人って言ったの!ロニーから好きじゃないって言われる前に自分の思いに蓋をしたの!
ロニー、婚約解消しよっか」
「嫌だ!俺がどんなにライラを好きか知らないだろ。それこそ物心ついた時からずっと好きなんだぞ。今更離せる訳ないだろ!」
「でもロニーは運命の女性が何人かいたじゃない」
「あれは……、お前に男として見てほしかったから、お前に…嫉妬、して、ほしく、て…。家族じゃなくて男として見てほしかったんだ。それに、お前はテオを好きだと思っていたから俺も諦め時かな、って思って半ばやけくそだった」
「でもキスしたりその先もしてたんでしょ?」
「するかよ!キスは婚約者だけだろ?その先は…結婚、してから、だろ…?」
「キスは婚約者だけ?」
「当たり前だ」
「手、繋いでいたじゃない」
「手ぐらいは繋ぐだろ。運命の人だと思ってたんだから」
「抱きしめたりは?」
「まあ、」
「何でしっくりこないって分かったの?」
「一緒に居ても、隣で歩いていても何か違うなって。俺の隣はこの女じゃないって思った。手を繋いでも抱きしめても居心地悪くてな」
「私もそれは思ったわ。一緒に居ても楽しくなかったし、隣にいても何か違うなって。それに抱きしめられた時気持ち悪かった。テオはお父様と同じ感じだったけど」
「お前、テオに抱きしめられたのか?それに誰だよ、お前を抱きしめた奴!」
「でもそのおかげで自分の気持ちに気付けたんだから良いじゃない、ね?」
「もう絶対に許さないからな。テオにもだぞ!」
「うん」
「ライラ、俺はずっとお前が好きだ。子供の時に傷つけたならごめん。きっとからかわれたからだろうけど、その頃から手を繋がなくなって、一緒に遊ばなくなって、お前が俺を家族のように接しだして、俺は嫌われたと思っていた。どんどん可愛くなっていくお前を、どんどん女らしくなっていくお前を、諦めるどころかどんどん好きになっていった。
他の人に目を向けても俺にはライラだけだと分かるだけだ。
ライラ、俺はお前が好きだ。卒業したら直ぐに結婚してほしい」
「うん。私もロニーが好き。私をロニーのお嫁さんにして」
ロニーに抱きしめられ、この場所が私の居場所だとそう思った。
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