公爵令嬢の何度も繰り返す断罪

アズやっこ

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中編

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「………様、……ベルお嬢様、ラナベルお嬢様!」


突然耳元で大きな声が聞こえ目を覚ました。

目の前には私のメイドのルナがいた。


「ルナ?どうして?」


ルナは私が3年生になった時に田舎へ帰ったはず。


「ラナベルお嬢様、学園へ行く準備をして下さい」

「学園?」

「はい、今日ご入学ですよ。楽しみにしていたではありませんか」

「そ、そうね…」


真新しい制服がかけてあった。

制服に着替えるとアーカス様が迎えに来た。

アーカス様の優しい笑顔、いつぶりかしら…。

この笑顔もだんだん私には向けられなくなった。私を見るたびアーカス様は顔を歪ませるようになった。


「ラナベル」


名を呼ばれたのもいつぶりかしら…。


「おはようございますアーカス様」

「おはようラナベル。さあ行こうか」


私をエスコートし馬車に乗り込む。向かいに座るアーカス様。

馬車で一緒に行ったのは3年生の最初の頃まで。アーカス様はいつもチェルシー様と通っていたから…。

学園に着くと皆が一斉にこっちを見た。

まるでやり直しをしているような…。あれは夢だったの?夢にしては私の記憶は鮮明に残っている。

アーカス様を好きな気持ちも残ってはいるけど…。アーカス様の笑顔も今は純粋に好きにはなれない。あの歪んだ顔が頭に浮かぶ。私を醜い者を見るような顔…。

実際醜かった。嫉妬に狂い醜態を晒した。

もし、やり直しをしているなら、私はアーカス様をこれ以上好きにならない。好きになってもアーカス様の心は手に入らないから…。


私は上辺だけ取り繕った。アーカス様の婚約者として最低限の事だけはしようと。

差し出される手に手を重ねるのも躊躇う。その手もいつか私を破滅へと導く手だから…。

そう、卒業パーティーでアーカス様が差し出した手に手を重ねたらそのまま手を跳ね除けられ私は床に座り込んだ。上から見下され、断罪、された……。


婚約者としていつ捨てられても良いように適度な距離でアーカス様と接した。

3年生になりチェルシー様が入学して来た時も私はチェルシー様に近づかなかった。チェルシー様が誰と仲良くしようと、私は見てみぬふりをした。


「ラナベル、あれは誰だ」

「男爵令嬢のチェルシー様です」

「あの令嬢は、なんと言って良いか。ラナベル、君が彼女に貴族令嬢としての嗜みを教えてくれないか」

「アーカス様、私もまだ人に教える程の器にはありません。先生に教えて頂くべきだと思います。先生ならチェルシー様を貴族令嬢として導ける、私はそう思います」

「それもそうだな」


チェルシー様との接点も無くした。アーカス様と仲良く話していても嫉妬する事は無かった。


それなのにどうして?

次期宰相の婚約者と一緒に私まで断罪されるの?

見てみぬふりをしたわ。次期宰相の婚約者がチェルシー様に嫉妬をして嫌がらせをしていたのは知っていた。

それでも私が口出す事ではないと。


なのに見てみぬふりをしたから同罪?

いずれ妃になるのなら止めるべきだ。アーカス様はそう言うけど、

そんなの知らないわよ。

他人の不始末まで私の責任じゃないわ。妃になるには他の令嬢の責任まで負わないといけないの?それなら私は妃になんてなりたくないわよ。

それからは私の時と一緒。

断罪され私と次期宰相の婚約者は修道院へ送られたわ。ボロボロの馬車に揺られ王都を出たらまた意識が遠くなった。

そしてまた学園に入学する時に戻っていた。


私はどうしたら良いの?


私はチェルシー様を観察した。

一度目はアーカス様、二度目は次期宰相の令息、そして今回は次期騎士総括の令息と仲が一番良いみたい。アーカス様や次期宰相の令息は相手にされなくてもチェルシー様の側にいる。

私は次期騎士総括の令息の婚約者を見張った。

チェルシー様に何もしないように。何かしたら直ぐに止めれるように。


それは直ぐに止める事になった。

チェルシー様の教室へ入りチェルシー様の鞄から教科書を手にした婚約者の腕を私は掴んだ。


「やめなさい。貴女の品位を落とすだけよ。私達は高位貴族令嬢、その矜持を忘れては駄目よ」

「ラ、ラナベル様…」

「貴女の気持ちは分かるわ。それでもこれは駄目。こんな事をしても婚約者の心は貴女には戻らないわ」

「そんな…」


私は彼女を抱きしめ背中を撫でた。


「貴女の気持ちは私が一番分かる。嫉妬。チェルシー様に嫉妬したのよね?婚約者として貴女は彼に寄り添ってきた。その彼の心がチェルシー様に移ったのが許せなかったのよね?

でもこんな事をしても貴女が苦しむだけよ。だからもう彼の事は諦めなさい。例え諦められなくても諦めるしかないのよ…」


泣いている彼女を優しく撫でる。

アーカス様も彼女の婚約者の令息もチェルシー様に好意を持った。

好意を持ったのなら婚約を白紙に戻せば良いのに白紙にはせず婚約破棄をする。そして修道院へ送る。

いつも泣くのは女性。男性は愛人を作ろうが罰は受けない。そんなのおかしい。

アーカス様も私という婚約者がいながら他の女性に現を抜かした。彼女の婚約者もそう。婚約者を蔑ろにしているとどうして気づかないの?



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