71 / 196
71:――――テオ様。
しおりを挟む目が覚めると、全身が筋肉痛のようになっていて、痛さで動くことができなくなっていました。
「だ……れ、ヵ、ッ、ゲホゲホッ……」
手を動かすもの怠くて、ザラかリジーを呼ぼうとしましたが、声がきちんと出ません。
「…………ん」
「でぉ、ざま……?」
咳をして、やっと出せたのは、まるで、大声を出して喉を潰した後に、更に大声を出し続けた後、のような醜い声でした。
見覚えのない部屋をぐるりと見回したあと、ベッドの横に座っている、明らかに気まずそうなお顔のテオ様に視線を移しました。
「ごご、ど、ご、で……ずヵ?」
「船……」
――――船?
ということは、寝ている間に、乗せられた?
何故? と思っていたら、テオ様がチリンとベルを鳴らしました。
ドアから不安そうな顔をしたザラとリジーが入ってきて、私をベッドから起き上がらせて、身だしなみを整えてくれました。
「こちら湯薬です。熱いのでゆっくりと飲まれて下さい」
「ゔん……」
はちみつ入りで甘めに仕上げてあるけれど、結局は苦い湯薬をゆっくりと飲みました。
飲み終わると、またベッドに寝かせてもらいました。
テオ様が二人を部屋から下がらせ、ベッドの横に来ました。
テオ様のお顔がなんとなく、不安そうです。
それとは別に気になることもひとつ。
何だか船の様子がおかしい気がします。
窓の外を見る限り夜だと思うのですが、人々の足音や何かを言い争うような声が響いていて、騒然としています。
「ど、か、したの、ですか?」
「今夜はこの場所で停泊後、明日の朝に相手側と挨拶し、我が国の領域に入る予定なのだが、何故か追い抜かれた。今から甲板で指示を出してくる」
「がん、ば」
うまく声が出せなくて、ブカツドウを頑張る人みたいな応援になってしまいました。
「ん。ミラベルは、寝ておけ」
「ぁぃ……」
テオ様がキリリと表情を引き締め、部屋の明かりを落とすと、ざわ付く廊下へと出ていかれました。
「ん⁉ んむむっ?」
何だか息苦しくなり、目が覚めました。
暗闇の中で口を押さえられ、ゴソゴソと体を弄られています。
「んむぅ⁉」
テオ様がまた盛っていらっしゃるのでしょう。
しかし、ちょっと、本当に無理です。
全く抵抗する力も出ないのですけど、どうやったら止めていただけるのでしょうか?
暫くうんうんと唸ってみたりとしていましたら、テオ様のもう片方の手がするりと下着の中に入り、ツプリと中に指を入れられました。
「っ⁉ ん! んゔー! ゔー!」
指が入り込んできた刺激で目が冴えて、やっと、私を組み敷いているのがテオ様では無いことに気が付きました。
手が、体が、匂いが、テオ様じゃありません。
嫌です。
凄く嫌です。
触らないで下さい。
気持ち悪い!
嫌っ!
「んゔゔゔゔ! んー!」
「アンジェリカ、抗うな……ハッ! あの男と、こんなになるまでヤッていたとはな」
「ゔゔゔ! ゔー!」
指が……テオ様のではない指が、私の中に入ってしまっています。
テオ様だけが触っていい場所を、知らない男が、好き勝手に抜き差しし、蠢いています。
――――テオ様。
「ゔゔー! んむゔ!」
「チッ、煩い、黙れ」
「っ、わた、ぎゃ、ぐ……」
男の手が離れたので、『私は、アンジェリカ様じゃない』と、言おうとしたのですが、訳の分からない痛みが顔全体を襲いました。
口と鼻から熱い何かが溢れ出し、息が上手く出来ません。
痛くて、苦しくて、怖くて、体は硬直したように固まり、声が出せなくなってしまいました。
――――テオ様。
「そうだ、そうやっていつも静かにしていろ。気持ちいいほうが、いいだろ?」
テオ様に散々弄られて、腫れぼったくなっていた果実を乱暴に押しつぶされました。
「ぃ、ぁぁぁ…………」
「クッ、ハハハ! アンジェリカ、俺の指はそんなに美味いか? 食い千切られそうだ」
感じたくないのに。
ソコを触られれば、どうしても刺激が発生して、感じてしまう。
わけが解らなくて、怖くて、悔しくて、痛くて、恥ずかしくて、気持ち悪くて、苦しくて、情けなくて。
ただ、声を抑えて泣くことしか出来なくて。
気付けば、男のモノが、ピタリと、あてられていて。
――――テオ様、ごめん、なさい。
0
あなたにおすすめの小説
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~
空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」
氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。
「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」
ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。
成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない
魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。
そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。
ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。
イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。
ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。
いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。
離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。
「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」
予想外の溺愛が始まってしまう!
(世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる