厨二病設定てんこ盛りの王子殿下が迫って来ます。 〜異世界に転生したら、厨二病王子の通訳者にされました〜【R18版】

笛路

文字の大きさ
109 / 196

108:護衛の数。

しおりを挟む



 しばらくアシュリー様と旦那様のお話で盛り上がったあと、急にベリンダ様が私の方に体を寄せて来られました。

「ミラベル様、少し不躾な質問をしてもよろしいでしょうか?」
「え、はい。答えられるかは解りませんが」
「私の夫は宰相補佐をしているのですが、王城庭園でセオドリック殿下がプロボーズされているのを目撃したと言っていたんですが、内容を教えて下さいませんでしたの! ずっと、ミラベル様にお聞きしたくて。どのようなプロボーズでしたの⁉」

 ズガーンと、雷に撃たれたような気分です。
 恋に落ちたとか、微笑ましいものではなく、衝撃のやつです。
 すっかり忘れていましたが、アレを見ていた方は割といましたものね。

「あっ、もしかして、とても大切な二人だけの……」
「いえいえ! アレはかなりの方に見られていましたから大丈夫ですわよ」

 ベリンダ様のお顔がホッとなり、直ぐに不思議そうなものに変わりました。

「では、なぜ箝口令に近い指示が出ていたのでしょうか? 主人はミラベル様にお伺いしなさい、ばかりですし」
「あー……」

 ちらりと他の二人を見ると、わくわくとしたお顔で、こちらを見ていました。
 これは話さざるを得ないやつですわね。



「「…………まぁ」」

 分かっていました、そうなると予想は付いていました。
 絶句のち、『まぁ』と同情にも近い溜息を絞り出す。しか選択肢はありませんもの!

「頭でっかちヘタレが……」

 あ、アシュリー様は違いました……っていうか、キャラが違いません⁉
 キラキラでお淑やかなアシュリー様はいったいいずこ⁉ この数年の間で、テオ様とそこまで仲が悪くなられてますの⁉

「あ、でもちゃんとしたプロポーズもしていただきましたよ」

 そこからは、それぞれのプロポーズの思い出話や、私が痩せた理由などで大いに盛り上がりました。
 時々、甲冑の騎士がガチャガチャガチャガチャと煩かったですが、皆様大人なので、スルーして下さいました。



「で。なんですか、その格好は」

 私は今、ソファに深く座り足を組み、目の前で正座した甲冑の騎士を睥睨しています。

「……」
「だいたい、モロでバレバレなのですよ」
「何故だ」
「身長と体格と、右籠手と、ヘルメットの後ろから出ているキラキラしい髪の毛!」
「……」

 何故か甲冑の騎士がモゾッと動きました。

「何を喜んでいらっしゃいますの?」
「べ、別に」
「そもそも、執務はどうされたのですか!」
「昨日までに終わらせて、今日休みにした」
「……」

 甲冑の騎士の隣に正座しているコーディ様をチラリと見ると、ヘッドバンギング並みに頭を縦に振っていました。

「コーディ様」
「はひっ!」
「貴方は、コレを止める役割もあったかと思うのですが?」
「そのぉ……本日はお休み、ということなので、ある程度の自由を……」
「ある程度の、自由ね。で、侯爵家に乗り込むのを、甲冑を着せて手伝ったと」
「…………そ、ういう、事に、なります、か、ね?」

 ――――全く。
 
 今日はアシュリー様の嫁ぎ先だったことと、侯爵様がお優しい方だったから良かったものの、本来ならとても失礼かつ、かなりの騒動になる可能性がありました。

「もしテオ様を狙った襲撃があったら、どうされる気ですか」
「私が一番強い」
「あ?」
「ごめんなさい!」

 テオ様がどうのじゃないのです。
 それに巻き込まれた場合に、護衛の少なさのせいで他の非戦闘員の人達が……となるのが嫌なのです。
 私には基本、二から三人の護衛が付きます。
 今日はテオ様含め、五人でした。
 
 ですが、テオ様が同行される場合は十人に増えます。
 明らかに、護衛の数が不足しているのです。

「別働隊はいた」
「あら、そうですの? って言うと思いましたか!」

 コーディ様がぼそりと、火に油を注がないでくださいよぉ……と嘆いていて、少し可哀想になりました。が、それとこれとは別です!


しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした

鳥花風星
恋愛
代々騎士団寮の寮母を務める家に生まれたレティシアは、若くして騎士団の一つである「群青の騎士団」の寮母になり、 幼少の頃から仲の良い騎士団長のアスールは、そんなレティシアを陰からずっと見守っていた。レティシアにとってアスールは兄のような存在だが、次第に兄としてだけではない思いを持ちはじめてしまう。 アスールにとってもレティシアは妹のような存在というだけではないようで……。兄としてしか思われていないと思っているアスールはレティシアへの思いを拗らせながらどんどん膨らませていく。 すれ違う恋心、アスールとライバルの心理戦。拗らせ溺愛が激しい、じれじれだけどハッピーエンドです。 ☆他投稿サイトにも掲載しています。 ☆番外編はアスールの同僚ノアールがメインの話になっています。

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

処理中です...