厨二病設定てんこ盛りの王子殿下が迫って来ます。 〜異世界に転生したら、厨二病王子の通訳者にされました〜【R18版】

笛路

文字の大きさ
131 / 196

128:お疲れさまでした。

しおりを挟む



 女性騎士たちに『あーん』しまくっていましたら、後ろの甲冑騎士がガチャガチャガチャガチャとラップ音を出していましたので、惜しくはありますが、ある程度楽しんだので自粛いたしました。
 ポルターガイスト現象から、怨霊顕現にランクアップして欲しくはありませんので。

「ミラベル、我にもあーん、しろ……」

 後ろからか細い声で何かを訴えられましたが、横腹チョップで黙らせました。
 地味に私の手が痛んだだけのような気がしますが、テ――甲冑が黙ったので良しとします。

「ミラベル様! 本日はこのような素敵なパーティーを開いてくださり、誠にありがとうございます!」

 仲睦まじげに男性の騎士と腕を組み、ほんのりと頬を染めたご令嬢に、お礼を言われました。
 男性の騎士は、私の後ろにいる甲冑をビクビクといった感じで見ているので、正体を知っているのでしょうね。

「楽しんでいただけて、良かったですわ」

 にっこりと笑って、ご令嬢にさらっと挨拶をして、移動することにしました。男性騎士の為にも。
 責任者に、多少のサボりは目を瞑るようにと伝えてはいたのですが、『騎士団の頂点の目の前で』、は流石にサボり辛いでしょう。

「ミィーラーベールゥゥ」

 後ろのガチャガチャがガチャガチャ煩いです。

「おい、どんどんと酷い名前になってきているぞ!」
「煩いです」
「ちぃぃぃっ!」
「ふぐっ⁉」

 ――――あっ、もう!

 通りすがったテーブルにベリンダ様がいました。
 頬を膨らませながらプチシューを食べていたのですが、びっくりして喉に詰まらせてしまったではありませんか!

「うげぉっっほっ…………やっぱり殿下でいらっしゃったのですね……」
「……バレてなかったの?」
「限りなく黒に近いグレーとして見ていました」
「バレバレじゃないですか」
「まぁ、そうとも言いますわね」

 そうとしか言わないのでは? と思ってしまいました。



 なんやかんやで三時間、スイーツと『あーん』とトキメキを楽しみ、パーティーはお開きになりました。

 かき氷は大好評のようでした。
 シェフがキラッキラの笑顔でサムズアップしていましたので、かき氷機の注文もかなり来たのでしょう。
 
 出入り口で皆様にご挨拶し、最後のお客様を見送りました。

「ふぅ……お疲れさまでした」
「「お疲れさまです!」」

 四人でカーテシーをしたあと、顔を見合わせて、んふふふ、と変な笑いが漏れ出しました。

「っ、ふふ!」
「やだ、ちょっと……ふふふふ!」
「なによ…………あははっ」
「あははは! 楽しかったですね!」

 お三人の旦那様方がお迎えに来られていたので、また打ち上げのパーティーで、感想や、カップル誕生のお話などをしましょうね、とお約束をして見送りました。

「さ、部屋に戻って……なっ!」
「そうですわね。今日は本当に疲れましたわ」
「ん、部屋でマッサージをしてやろう」
「えー? お風呂でリジーにしてもらうのでいいです」
「……」
「それに、テオ様は甲冑を脱がないとでしょう?」
「…………ちぃぃぃぃっ!」

 部屋へ私を送り届けた後、テオ様がガッションガッションと騒音を立てながら走って行かれました。

 ――――甲冑って走れるんですね。


しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました

らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。 そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。 しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような… 完結決定済み

「ご褒美ください」とわんこ系義弟が離れない

橋本彩里(Ayari)
恋愛
六歳の時に伯爵家の養子として引き取られたイーサンは、年頃になっても一つ上の義理の姉のミラが大好きだとじゃれてくる。 そんななか、投資に失敗した父の借金の代わりにとミラに見合いの話が浮上し、義姉が大好きなわんこ系義弟が「ご褒美ください」と迫ってきて……。 1~2万文字の短編予定→中編に変更します。 いつもながらの溺愛執着ものです。

男嫌いな王女と、帰ってきた筆頭魔術師様の『執着的指導』 ~魔道具は大人の玩具じゃありません~

花虎
恋愛
魔術大国カリューノスの現国王の末っ子である第一王女エレノアは、その見た目から妖精姫と呼ばれ、可愛がられていた。  だが、10歳の頃男の家庭教師に誘拐されかけたことをきっかけに大人の男嫌いとなってしまう。そんなエレノアの遊び相手として送り込まれた美少女がいた。……けれどその正体は、兄王子の親友だった。  エレノアは彼を気に入り、嫌がるのもかまわずいたずらまがいにちょっかいをかけていた。けれど、いつの間にか彼はエレノアの前から去り、エレノアも誘拐の恐ろしい記憶を封印すると共に少年を忘れていく。  そんなエレノアの前に、可愛がっていた男の子が八年越しに大人になって再び現れた。 「やっと、あなたに復讐できる」 歪んだ復讐心と執着で魔道具を使ってエレノアに快楽責めを仕掛けてくる美形の宮廷魔術師リアン。  彼の真意は一体どこにあるのか……わからないままエレノアは彼に惹かれていく。 過去の出来事で男嫌いとなり引きこもりになってしまった王女(18)×王女に執着するヤンデレ天才宮廷魔術師(21)のラブコメです。 ※ムーンライトノベルにも掲載しております。

転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。

ラム猫
恋愛
 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。  『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。  しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。  彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

処理中です...