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128:お疲れさまでした。
しおりを挟む女性騎士たちに『あーん』しまくっていましたら、後ろの甲冑騎士がガチャガチャガチャガチャとラップ音を出していましたので、惜しくはありますが、ある程度楽しんだので自粛いたしました。
ポルターガイスト現象から、怨霊顕現にランクアップして欲しくはありませんので。
「ミラベル、我にもあーん、しろ……」
後ろからか細い声で何かを訴えられましたが、横腹チョップで黙らせました。
地味に私の手が痛んだだけのような気がしますが、テ――甲冑が黙ったので良しとします。
「ミラベル様! 本日はこのような素敵なパーティーを開いてくださり、誠にありがとうございます!」
仲睦まじげに男性の騎士と腕を組み、ほんのりと頬を染めたご令嬢に、お礼を言われました。
男性の騎士は、私の後ろにいる甲冑をビクビクといった感じで見ているので、正体を知っているのでしょうね。
「楽しんでいただけて、良かったですわ」
にっこりと笑って、ご令嬢にさらっと挨拶をして、移動することにしました。男性騎士の為にも。
責任者に、多少のサボりは目を瞑るようにと伝えてはいたのですが、『騎士団の頂点の目の前で』、は流石にサボり辛いでしょう。
「ミィーラーベールゥゥ」
後ろのガチャガチャがガチャガチャ煩いです。
「おい、どんどんと酷い名前になってきているぞ!」
「煩いです」
「ちぃぃぃっ!」
「ふぐっ⁉」
――――あっ、もう!
通りすがったテーブルにベリンダ様がいました。
頬を膨らませながらプチシューを食べていたのですが、びっくりして喉に詰まらせてしまったではありませんか!
「うげぉっっほっ…………やっぱり殿下でいらっしゃったのですね……」
「……バレてなかったの?」
「限りなく黒に近いグレーとして見ていました」
「バレバレじゃないですか」
「まぁ、そうとも言いますわね」
そうとしか言わないのでは? と思ってしまいました。
なんやかんやで三時間、スイーツと『あーん』とトキメキを楽しみ、パーティーはお開きになりました。
かき氷は大好評のようでした。
シェフがキラッキラの笑顔でサムズアップしていましたので、かき氷機の注文もかなり来たのでしょう。
出入り口で皆様にご挨拶し、最後のお客様を見送りました。
「ふぅ……お疲れさまでした」
「「お疲れさまです!」」
四人でカーテシーをしたあと、顔を見合わせて、んふふふ、と変な笑いが漏れ出しました。
「っ、ふふ!」
「やだ、ちょっと……ふふふふ!」
「なによ…………あははっ」
「あははは! 楽しかったですね!」
お三人の旦那様方がお迎えに来られていたので、また打ち上げのパーティーで、感想や、カップル誕生のお話などをしましょうね、とお約束をして見送りました。
「さ、部屋に戻って……なっ!」
「そうですわね。今日は本当に疲れましたわ」
「ん、部屋でマッサージをしてやろう」
「えー? お風呂でリジーにしてもらうのでいいです」
「……」
「それに、テオ様は甲冑を脱がないとでしょう?」
「…………ちぃぃぃぃっ!」
部屋へ私を送り届けた後、テオ様がガッションガッションと騒音を立てながら走って行かれました。
――――甲冑って走れるんですね。
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