厨二病設定てんこ盛りの王子殿下が迫って来ます。 〜異世界に転生したら、厨二病王子の通訳者にされました〜【R18版】

笛路

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129:エロい貝殻。

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 バスタブに浸かり、うっつらうっつら。

「ミラベル様! 寝ないで下さいよー」
「んあっ……ごめぇん」

 朝からずっと準備だ何だと気を張っていたので、お湯の温かさと、リジーのマッサージとで、軽く眠りかけてしまいました。
 うーんと伸びをして、バスタブから這い出て、リジーからバスタオルを受け取り、軽く頭や身体を拭き拭き。
 バスローブを羽織ると、髪を乾かしてもらいました。

「あー、もー、だーめー」
「もうちょっと我慢してください。このまま寝たら全裸ですよ」
「どーせ、テオ様がー脱がすものー」
「……まぁ、でしょうけど」
「…………?」

 リジーがハハッと乾いた笑いをするし、鏡越しのザラは真面目そうな顔で何かを抱えて待っているし……嫌な予感しかしません。

「またエロエロの夜着?」
「はい、またです」
「語感! 何か可怪しかったわよ」
「侍女達の間では『エロ衣』が共通用語です」
 
 いつの間にか新しい用語が生成されていたのね……。
 何なのよ。『エロ衣』、ちょっと上手いじゃない。

「で、今日は何なの?」
「ミラベル様の大好きな緋扇貝です」
「…………そういう意味での好きじゃないわよ」
「承知しております」

 ――――承知してるんかーい!

 コテコテなツッコミを、心の中で入れてしまった私は悪くないと思います。



 貝殻と貝殻を紐で繋いでいるだけのブラ、らしきもの。
 二等辺三角形を逆さまにしたというか、平たく描いたぶどうの房というかの貝殻パンツというか、股当て? 後ろはやっぱりTバック。

「Tバックタイプのショーツの前に、貝殻を繋げてぶら下げているだけなのね? なら、貝殻いらなくない?」
「いります」
「カチャカチャ煩いし……」
「いります」
「いらな――――」
「いります」

 ――――あ、駄目ね。

 こういう時のザラって本当に壊れたレコードよね……。この世界の人にはレコードが伝わらないけど。

 渋々と貝殻なエロ衣を着けて、寝室に移動しました。
 テオ様はまだ戻られていなかったので、颯爽とベッドに潜り込みましたら、貝殻と貝殻に太股のお肉を地味に挟んでしまいました。

「いった! ものっそい痛い!」
「お嬢様、口が悪くなってますよ」
「だってー。あっ、見てよ、赤くなってるわ!」
「…………で、ございますね。頑張ってください」
「へ? 何を?」
「色々と。…………では」

 ザラが綺麗なお辞儀をして、寝室からするりと出て行ってしまいました。
 エロ衣のせいで寝転がれないので、仕方なくベッドに座り、足をプラプラとさせてテオ様を待ちました。



「ん、すまない。随分と待たせたか?」

 テオ様が戻られるのを三十分ほど本を読んで待っていましたが、ここで『凄く待っていた』なんて口を滑らせると碌なことにならないのは学習いたしましたので、さらりと笑顔で「いえ、本を開いたところでした」と伝えました。
 嘘ではありません。気遣いです。
 テオ様が気負わないように、心苦しくならないように、興奮……ゲフンゲフン。色々とワチャッとならないように! の気遣いなのです!

「くっ、やはりその貝殻は…………いいな」

 テオ様、感無量なお顔です。

「立ち上がって?」
「はい」

 テオ様、口を押さえて微妙に前傾姿勢です。

「ぅぐ…………くるりと回って?」
「はぁ……」

 テオ様、軽く曲げた両膝に手を置いて、完全に前傾姿勢です。

「っ――――⁉」

 前傾姿勢のテオ様が、物凄い険しい顔になられて、急に私の前に跪いたと思ったら、股当て的な貝殻をジャラッと捲りました。

「どういうことだ。なぜこんなところに痕が付いている。私は付けていないが?」
「へ⁉」
「ミラベル?」

 立ち上がって私を見下ろしたテオ様のお顔は、今まで見た中で一番と言えそうなほどに怖く、私に対しての憎悪さえも感じるほどのものでした。


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