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141:男色家⁉
しおりを挟む旦那様との問題で落ち込むベリンダ様を慰めつつ、どうしたものかと話し合いました。
「でも、夜会などで見かける限り、伯爵はベリンダ様にゾッコンなように見えていたのですが……」
ヘレナ様が、ベリンダ様と旦那様のご様子を思い浮かべるようにして話されていました。
ベリンダ様いわく、普段は本当に普通の夫婦のように、仲睦まじく接しているそうですが、夜の事になると途端に逃げられてしまうそうです。
「あまりにも、その、手を出して来られないものですから…………男色家なのかとお伺いしましたら……」
――――聞いたの⁉
衝撃の告白に、三人とも息を飲みました。
横座りが面倒くさくなったので、胡座をかいて、俄然聞く気満々で前のめりになりましたら、ベリンダ様から胡乱な目で見られてしまいました。
「その日は……」
「「その日は⁉」」
「…………朝日が出るまで、ずっと。その、激しくされてしまいました」
「無理矢理⁉」
「いえ…………蕩ける程に……甘く」
きゃぁぁぁ! と黄色い声が出てしまい、控えの間からそれぞれの侍女が慌てた様子で入ってきました。夜着で。
あちらも楽しんでいるようです。
ちょっと白熱しているだけだから、気にしないでと言って、素早く追い出して話を再開しました。
「男色家ではないのは確かなのね」
「はい」
アシュリー様が神妙な顔で何か考えられていたのですが、私はふと気になったことがありました。
ベリンダ様から誘ったりはしたのでしょうか?
「その…………例のセクシーランジェリーを着てみたり、しました」
「おぉ! 結果は⁉」
「初めの二回は。でも三回目の時に、無理して着なくていいよ、と悲しそうな顔で言われてしまいまして」
ベリンダ様は無理してはいなかったそうなのですが、厚手のガウンを肩からかけられ、手も出されず横でスヤスヤと眠られてしまい、心が折れたそうです。
「…………それは、折れますね」
「娼婦を正妻には出来ないから、取り敢えず私を妻にしたのかしら?」
流石に、そんな事は無いと思いたいですが、私は何も知らないので、はっきりと言うことは出来ません。
取り敢えず、ゆっくりしっかりはっきり話し合って、嘘偽りのない心を相手に伝えるしかない気がしました。
「うん、そうよね。明日、主人と話し合ってみるわ。せっかくのパーティーに暗い話してごめんなさい」
プライベートな相談をしてくださったということは、それだけ信頼されているわけで、嬉しい以外ありません。
どうしても解決しなさそうなときは、テオ様という『権力者』をぶち込んで、詳らかにすればいいのです。
多少、最低な手段ではありますが。
「うふふ、お気遣いありがとう存じます。それにしても……その格好をしている女性は初めて見たかもしれません」
――――その格好?
じっと自身を見下ろしました。
甚平は……何故か皆で着ているから違う。
胡座をかいて、両肘を膝に預け…………あ、これですわね。
「楽ですわよ?」
「ミラベル様、違うわ。恥じらいの方よ」
「親友達相手にですか?」
「「……」」
首を傾げて素朴な疑問を投げかけましたら、何故かお三人とも頬を染められました。何故に?
私的には、何なら敬称なしで呼び合いたい気持ちなのですが、この世界ではあまり無いことのようです。
「……親友」
アシュリー様がポツリと呟かれたのが聞こえて、嫌な予感が脳内に走りました。
――――もしや、違った⁉
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