厨二病設定てんこ盛りの王子殿下が迫って来ます。 〜異世界に転生したら、厨二病王子の通訳者にされました〜【R18版】

笛路

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142:メイクバトル!

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 お三人を『親友』と呼びましたら、部屋がシンと静まり返ってしまいました。
 もしかして、私が思っているだけで、実は違ったパターンでしょうか⁉ だとしたら、泣けます。ものっそい泣けます。
 と、取り敢えず、誤魔化す方向で行きましょう。ちょっと鼻声になりそうなんて……ないはずです。

「さっ……流石に『親友』は厚かましかったですよねっ、申し訳ございませんっ……」
「「違いますわ!」」

 アシュリー様とヘレナ様が同時に叫ばれ、ハッとしたように顔を見合わせて、「どうぞお先に」「いえ、どうぞお先に」と譲り合っているのを見て、前世のお笑い芸人さんを思い出して吹き出してしまいました。

「ミラベル様⁉ 何を笑っていらっしゃいますの⁉」
「ひ、ひえっ……息ぴったりだなと思いまして」
「「親友だもの!」」
「「……」」

 それぞれが顔を見合わせて、肩を揺らしながら笑いました。
 多分、傍から見ると、何が面白いのか分からないのだとは思いますが、変なテンションと言いますか、場の空気と言いますか、取り敢えず、全員が謎のツボにはまって笑い続けていました。



「そう言えば、ミラベル様が招待状に『お化粧バトル』と書いていましたが、何なのです?」

 色々なインパクトのある話題のせいで忘れかけていました。ダメダメホストですね。

 二人ペアに分れて、お題に沿ったお化粧を自分のペアに施して、どちらが上手いかを競う、というものです。
 お化粧道具は、それぞれの持ち物プラスこちらで用意していた舞台役者用のもの。

「やだ、楽しそう!」

 ちょっとしょんぼりだったベリンダ様が、俄然やる気になられました。どうやらお化粧好きのようです。

 チームは、あみだくじで決めました。
 何故かあみだくじの方に物凄くテンションをあげられ、横棒線の書き足しなどをしてキャイキャイと脱線しましたが……私とベリンダ様、アシュリー様とヘレナ様のチームになりました。

「お題は、このボックスから引きます」

 お化粧バトルの後は顔を洗わないとなので、それぞれの侍女たちを呼び出しました。
 ついでにリジーにお題を引いてもらいます。

「ええっと……悪魔の顔メイク? です」
「「悪魔⁉」」
「はい、想像上ので構いませんので」

 想像上じゃない悪魔がいるのかとブーイングを喰らいましたので、『ご機嫌斜めの時のテオ様』とだけ言ってみましたら、全員が「あぁ、そういう……」と妙に納得されました。
 皆様はいったい誰を思い浮かべたのでしょうね?

 何故かベリンダ様が超絶やる気になっていらしゃったので、顔を差し出してお任せすることにしました。

「では、制限時間三十分、スタートです」

 ザラの合図とともに、ベリンダ様がカチャカチャとメイク道具を漁りはじめました。
 相手チームの様子が見えないように、間に布を張ってもらいました。

 相手チームはアシュリー様がプレイヤーのようです。
 さぁて、いったいどんな仕上がりになるのでしょうか。
 ちょっと楽しみです。


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