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143:悪魔の顔は……。
しおりを挟むベリンダ様が白粉を顔中に塗りたくって来ました。
この世界の白粉は鉛白――鉛を使っていないので、あちらの世界で有名な鉛中毒とかにはならないと聞きました。
昔はこちらでもそのような症状があり、かなり研究されて安全なものへと移り変わったのだそうです。
「ミラベル様、目を閉じて下さい」
「はーい。んっ、んひひっ、擽ったい」
「もう! 我慢して!」
「はーい」
キャッキャと話しながら悪魔メイクをしていたら、制限時間の三十分が経ちました。
「では、つふっ…………向かい、合って下さい…………開幕」
ザラが肩を震わせながら、相手チームとを遮っていた目隠しの布を取り払うように言いました。
パサリと布が落ちた瞬間、目の前には、顔が鮮烈な黄緑色のグリ○チのようなお顔のヘレナ様がいらっしゃいました。
眉毛は黒く塗られ、何故か左右が繋がっています。
なのに、目の周りは紫色でかなり美しいアイラインが引かれています。
確か『闇の森の魔女』とかいう絵本に出てきた緑色の悪魔のキャラだったはずです。
「ぶはっ! ちょ、なんですかその顔っ!」
「あははは! ミラベル様っっ、やだっ、何その顔ーっ!」
布が取り払われた瞬間から、全員が大笑いしていました。侍女たちも一緒に。
ヒーヒーと笑いながら、そういえば自分の顔は見ていなかったなと思い、鏡を出してもらいましたら…………デー○ン閣下がいました。
「ブフッ! 閣下! 私、閣下だったのですか!」
こちらの世界に、デー○ン閣下そっくりの悪魔公爵の物語があり、私はその公爵閣下にされていました。
「よくおにあいでひゅ……」
「ザラ、肩が震えてるわよ」
「気のへいですっ」
全員で深呼吸しましたがそれでも笑いが堪えられず、肩を震わせつつ、投票を開始しました。
投票用紙に侍女含めて書いて、代表としてリジーが開票しました。
「勝者は、アシュリー様です!」
やはりグリ○チのインパクトには勝てなかったようです。
私的には閣下も負けていなかったと思います。
ベリンダ様は、きっと冠が無かった分が敗因だ、とか言い出されて、私のゲラのツボをゴリゴリに押して来られました。
「次はミラベル様とヘレナ様の勝負です。お題は――――」
リジーの掛け声で、ザラがお題ボックスから紙を引きました。
「妖精メイクです」
「「妖精……」」
それぞれが顎に手を当て、静かに悩みだしました。
何故か、アシュリー様とベリンダ様さえも。
どうやら、自分ならどうするか、と考えているらしいです。
さて、私はどうしましょうか。
妖精、妖精……。
艶めかしいパターンか、純粋無垢パターンか。
――――あぁっ、楽しみですっ!
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