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148:デザイン決め。
しおりを挟む寝室のベッドに押し倒され、襲われるのかと思いましたが、テオ様がうぐぐぐと唸りながら、私の横に倒れ込まれました。
「テオ様?」
「…………痛い」
「え⁉ お腹ですか? 何か悪いものでも? ……もしや毒⁉」
「いや、チンコ」
「……」
――――ですよねー。
アホなテオ様は放置して、結婚式の招待客リストの確認をする為、私室へと向かいます。
ドレスは……取り敢えず、保留です!
明日までに返事が欲しいと言われてはいますが。
「ん……」
のそのそと起き上がって後ろからついては来ましたが、何だか不満そうです。
「どうされました?」
「ん、あと一年近く我慢かと思って」
――――ですよねー。
テオ様の凹みなんてこの程度の事なのです。なのについつい心配してしまいます。
「色やデザインは決められましたか?」
今日は、ドレスのデザイナー様との打ち合わせです。
昨日テオ様と話し合って、色は白で決定しました。
「デザインなのですが、お腹がどこまで大きくなるかわからないので、これか――――」
「あぁ、なるほど。では――――」
デザイナー様がサラサラとペンを動かし、新たなデザイン画を描いて下さいました。
「まぁ! 素敵ですわ。ね、テオ様」
「うむ」
テオ様がデザイン画を見ながら、ハッとした顔をされました。
「ドレスは、アクウァ・マリーナとセレーニーティスで加護を施せ!」
――――加護?
「……えー、ドレスに縫い付ける宝石は、アクアマリンとムーンストーンが良いそうです」
「ふむむ……。えぇ、素敵ですわね。なるほど、差し色でアクアマリン…………ふむふむ……こう、石でグラデーションに……」
またもやデザイナー様がサラサラと描いていきます。
それを見たテオ様の鼻息がふんすふんす鳴っていたので、とても気に入られたようです。
「では、来週には試作ができますので、またその時に参ります」
「よろしくお願いいたしますね」
「ウェスティフィクスの働き、期待しているぞ」
まぁ、これは意訳しなくても大丈夫でしょう。
テオ様がこちらをチラチラ見てきますが、大丈夫でしょう。
ウェスティフィクス、仕立屋、以外は……たぶん普通ですし。
ドレスデザイナー様が部屋から出られてすぐに、隣に座っていたテオ様が、ずずいっとこちらに寄って来ました。
「なっ、なんですか?」
「何故、訳しなかった」
何故と聞かれても。
普通に伝わっていましたし。
デザイナー様も「ご期待に添えれるよう、全力を尽くします」と深々と頭を下げていましたし。
多少、顔色は悪かったですが。
「私が高圧的に出て、ミラベルが柔らかい言葉で訳してこその我々だろう⁉」
――――ええっ⁉
『飴と鞭』のつもりだったのですか。
どう見ても、『イタい人』にしか見えないと思うのですけど。
「ミラベルのどこが『イタい者』なんだ!」
「いや、おまっ…………ゴホンッ! イタいのはテオ様です」
「おま、って? 何を言おうとしたんだ?」
そこに引っかかるのですか。そこはスルーしましょうよ。
「なぁ、なんと言おうとしたんだ?」
「……『お前のことだ』と」
「っ⁉ ミラベルは、前世ではそんな口調だったのか? ちょっと、本気で言ってみて?」
何故にキラキラした笑顔で待機されているのでしょうか? ツッコミが珍しいのでしょうか?
ちなみに、前世ではそんなに激しめのツッコミはしてませんでしたが、今のは衝撃過ぎて出てきてしまいました。
取り敢えず、ツッコミたかったので、深呼吸して、いざ――――!
「いや、お前のことだよっ!」
「っ、くっ!」
テオ様が急にソファの上で三角座りになり、両手で顔を隠してしまわれました。
一体、何が⁉
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