厨二病設定てんこ盛りの王子殿下が迫って来ます。 〜異世界に転生したら、厨二病王子の通訳者にされました〜【R18版】

笛路

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147:ウエディングドレスの色。

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 打ち上げ兼、パジャマパーティーが終わり、一日放置されて荒ぶるテオ様になりかけたナニかを、物理的に鎮めつつ、悪阻で悪戦苦闘しながらも、どうにか結婚式の準備に取り掛かりました。



「絶対に、二度と! 水色も、テオ様のデザインも着ません!」
「ならん!」
「煩いです」

 只今、王城庭園をズンズンと突き進みながら、ウエディングドレスについて、テオ様と言い争いをしています。
 テオ様が真横でグチグチグチグチと煩いです。

「我が赤き果実よ、ゆっくりと歩め! いくらユピテル主神の祝福があろうとも危ない! 神の愛は万全では無いのだぞ!」
「はいはい」
「適当に返事をするでない! 来年にはマーテルとなるのだぞ! 淑やかにするんだ!」
「煩いです」
「煩いと言うな!」

 本当にテオ様は煩いです。
 存在自体が煩いです。
 何故、早歩きの私より優雅に歩いているのに、私をちょっと追い抜きかけて、歩みを緩めたりするのですか!
 リーチ差が憎たらしいです。

「大体、皆に標準語を話せる事はバレているのですから、普通に話されて下さいよ」
「嫌だ」
悪阻つわりで通訳もままならないのですよ!」

 現在の悪阻などの状況から、あの婚約式の日の夜、はっちゃけたテオ様の所業ではなかろうか、との予想が立てられました。
 いえ、ただ単に、日付の確認をされただけですが。
 たぶん、いえ、絶対にあの時のはずです。

 まぁ、合意の上なので、テオ様のせいにするのもおかしな話なのですが。

 超特急で王妃殿下とお母様と共に結婚式の準備をしていますが、時間が足りません。
 今は、息抜きのお茶をする為に四阿に向かっています。

「……ミラベルがいなかったら…………ある程度伝わるようには話している」
「っ、はぁぁぁ⁉」

 結婚式の予定を頭の中でぐるぐると考えていましたら、まさかの暴露をされました。
 この、厨二病設定てんこ盛りの殿下は、ほんっっっとうにっ。

 ―――――イラッとしますわね!



 それで? とテオ様が、四阿のテーブルに肘を付き、掌に顎を乗せて、気怠そうに聞いてきました。

「ですから、私は白が良いのです」
アルブス? つまらん」

 つまらないと言われて、ちょっとモヤッとしました。
 前世でウエディングドレスといえば白ですのに。
 いつの時代も年代も、憧れのドレスなのに。

「我が赤き果実よ、何故にそうも不機嫌なのだ」
「…………白」
「そもそも、式典のときは、王族は殆どがアルブスだぞ? マントは違うが……駄々被りで埋没するぞ?」
「……まいぼつ」

 テオ様がニカリと笑って、だから水色にしよう、とまたもや話しを戻して来ました。

「……白」
「はぁ…………何故そのようにアルブスに拘るのだ」

 恥ずかしくて言いたくなかったのと、言ったらテオ様が暴走特急になられそうなのとで、理由は一切話さずに白を推していましたが、どうにも逃げられないようです。
 スーハーと深呼吸をし、ちらりと辺りを伺って、テオ様の二色の瞳を見つめました。

「白のウエディングドレスは、前世の慣わしなのです」
「ふん? どういった慣わしだ?」

 ――――チッ。

「おい⁉」
「あ、失礼いたしました」

 いけませんね、ついついイラッとしてしまいました。
 最近、特にイライラしているような気がします。いつもじゃないか、とか聞こえません。

「白は、色が無いでしょう?」
「白いが?」
「……いや、まぁ、そうですけどね。無彩色、で解られます?」
「あぁ、なるほど。白は他の色が一切混ざっていないと言いたいのか」
「はい。なので、『貴方の色に染まりたい』という意――――」

 意味がある。と言いたかったのですが、ガッツリと口を塞がれました。テオ様の唇で。
 そしてクッチャクッチャに舐め回されながら、抱き上げられて、鼻息の荒いテオ様に、夫婦の寝室まで運ばれてしまいました。

 ――――ですよねー。


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