厨二病設定てんこ盛りの王子殿下が迫って来ます。 〜異世界に転生したら、厨二病王子の通訳者にされました〜【R18版】

笛路

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168:また乳か?

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 ふと目が覚めて窓の外を眺めましたら、空が白み始めていて、少し肌寒く感じました。どうやら朝方のようです。

「ん? 起きたのか?」

 ぼぅっと空をみていましたら、後ろの方からテオ様の声が聞こえて、ゆったりとそちらを向くと、テオ様がベッドの横に椅子を置き、脚を組んで優雅に座っていました。
 もしや、私がベッドを占拠していたせいで眠れなかったとかでしょうか?

「いや、興奮して眠れなくてな。ミラベルの寝顔を眺めてた」

 ヨダレ垂らしてなかったかしら? とか、ちらっと脳裏を掠めましたが、とりあえず横に置きます。

 今からでも寝ましょう、とテオ様を誘いましたが、眠くないとのことでした。
 無理に誘うのも悪いような気がして、どうしたものかと思っていましたら、そうっと頭を撫でられました。

「……ミラベル、顔色が悪い。もう少し寝ておけ」
「はい。ありがとうございます」

 手櫛で髪の毛をゆっくりと梳きながら、にっこりと笑いかけてこられます。
 こういう時のテオ様は、本当に優しいです。
 鼻息とか股間とか股間とか股間とか、とても大人しくて…………ちょっとだけ調子が狂うといいますか、妙にそわそわとするといいますか。

「相変わらず、顔に出過ぎだ」
「あらぁ? 申し訳ございません」
「まぁいい。ほら、目を閉じろ」
「はい」

 テオ様に髪を梳かれながら、再び穏やかな眠りに落ちました。



 ふにゃんふにゃんと可愛らしい泣き声が聞こえます。
 ゆったりと目蓋を押し上げると、ベッドの横でテオ様がレジナルドを抱っこしていました。

「オムツは替えただろう? どうした? また乳か?」
「殿下、たぶんお乳です。レジナルド様をお預かりします」
「ちっ。私も乳が出れば!」
「フゴッフ…………ゲホッ」
 
 吹き出したのは仕方ないと思います。
 父から乳が、とか。どんなダジャレですか。びっくりするほどムセてしまいました。

「大丈夫か⁉」

 大丈夫じゃなくしたのはテオ様なのですが、大丈夫と言うしかない状況です。

「ザラ、私がお乳、あげてもいい?」
「もちろんですよ」

 ザラからレジナルドを受け取り、胸に近付けました。
 レジナルドがパカリと口を開け、乳首を口に含み、お乳を飲み始めました。

 思ったよりも早く飲み終わり、もうお腹いっぱいなの? と思っていましたが、産まれたばかりはその程度ですよ、とザラに言われました。
 そういえば! と、ザラが寝不足になっていた原因を思い出しました。

 マリー様は基本は乳母に任せてあったので、夜はしっかりと眠っていらっしゃるようでした。

「そうだったわね。頻繁だと一時間おきとかなのよね?」
「はい。産まれたばかりの赤ん坊の胃は、このくらいしかないそうです」

 ザラが人差し指と親指で作った丸は、少し大きめのチェリーくらいでした。
 その小ささから考えると、確かに短時間でお乳を欲しがるわね、と納得しました。

「っ、あいたたた」

 さっき授乳したからなのか、急に酷い生理痛のような感覚に襲われました。これが噂の子宮収縮なのね、とか思っていましたら、骨盤ベルトをつけましょうと言われ、あぁぁ、それもあったわね、とちょっとげんなりしてしまいました。


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