厨二病設定てんこ盛りの王子殿下が迫って来ます。 〜異世界に転生したら、厨二病王子の通訳者にされました〜【R18版】

笛路

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175:お疲れさまでした。

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 王妃殿下が帰られてから、レジナルドとソフィと遊びつつ、ザラに話せる部分だけを話していました。

「――――ってことらしいわよ」
「っ、はい。大変申し訳ございませんでした」
「違う違う。責めてるのではなくて、テオ様のこと、見直してくれた?」
「はい!」

 良かった。
 主人を敬えないと、仕えるのは辛いでしょうから。そこだけが心配でした。

「私の主人はお嬢様です」
「もう! そもそも、いつまで『お嬢様』って呼ぶのよ⁉」
「お嬢様はお嬢様です」

 あ、駄目だ。
 たぶんこれ以上言っても、壊れたレコードになるだけだわ。



 まだまだ後処理に時間が掛かるとお聞きしていたのですが、王妃殿下の訪問から三日後の夕方、テオ様が宮に帰って来ました。

「おかえりなさいませ」
「ん……ミラベル、レジナルドっ!」

 テオ様は、目の下に濃いクマを作り、髪の毛は首の後ろで無造作に結び、ボサボサです。
 軍服の前ボタンを全て開け、中のシャツはしわくちゃのノータイ状態でした。
 どこからどう見ても、クッタクタのボッロボロです。
 そして、やっぱり香水臭いです。

 そんな状態なのに、抱きついて来ようとしましたので、テオ様の方に手を押し出しました。
 
「先ずはお風呂に入られてください」
「ミラベル、久しぶりに…………抱きしめたい」
「先ずは、お風呂に! 臭いです!」
「っ、うん、ごめん……」

 テオ様が、こころなしか泣きそうな顔になられました。
 でも、他の女の人の臭いを付けたままのテオ様とは、嫌です。



 お風呂でさっぱりして来られ、石鹸の匂いに包まれたテオ様をギューッと抱きしめました。

「っ⁉」
「お疲れさまでした。王妃殿下よりお伺いしました。とても大変だったようですね」
「んっ……ミラベルだ。本物のミラベルだ……」

 テオ様がぎゅむむむむっと抱きしめ返してきて、ちょっと苦しかったですが、今回は我慢してあげました。
 だって、鼻声なんですもの。

「レジナルドは?」
「あっ、申し訳ございません」

 先程までは元気そうに手足を動かしたりして遊んでいたのですが、テオ様が戻られる5分ほど前に急にコテンと寝てしまいました。
 テオ様はちょっとだけシュンとしつつも、子供部屋に向かい、レジナルドの寝顔を見て、頬を撫でて、おでこにキスを落とされました。

「数日のあいだ見ていなかっただけで、随分と大きくなった気がする」

 テオ様がいない間に、レジナルドは色々な離乳食に挑戦し、好き嫌いも出てきたような気がします。
 テオ様は、それを其の場で見られなかったことがとても悔しいようでした。

「明日は、また王城の方に戻られるのですか?」
「いや、明日は休みが取れた」

 明後日からはまた、後処理に東奔西走しなければならないようです。
 色々と聞きたいこともありますが、今日明日くらいは、全て忘れて、休養してほしいです。

 今日は早めに寝て、明日はゆっくり起きて、レジナルドと三人でのんびりしましょうと提案しましたら、テオ様が幸せそうに破顔して頷かれました。

「ありがとう、ミラベル」

 ――――テオ様、本当にお疲れさまでした。


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