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閑話:幸せな光景。
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ムーンライトノベルズで感想100件感謝祭でのリクエスト閑話
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
レジナルドを寝かし付け、主寝室のソファで私はナイトティー、テオ様は寝酒を飲みつつ、他愛もないおしゃべりをしていました。
「レジナルド、二歳になって随分と落ち着いたよな?」
「ええ、そうですね」
テオ様がうんうん、と頷いたあと、ニコニコ笑顔で家族旅行をしないかと言われました。
「家族旅行ですか……」
「いや?」
「いえ、遠出は久しぶりなので」
幼少期は王城通い、領地に戻ってからは領内に引きこもり。また王城に戻ってからの大きな外出は…………あの時の船旅のみです。
「正直なところ…………少し、怖いです」
ニコニコだったテオ様のお顔がくしゃりと歪んでしまいました。
眉間の皺が深くなってしまい、平たくなれー! と指で擦って揉んでをしていましたら、手首をがっちり握られました。
「え? きゃっ⁉」
グイッと引っ張られ、テオ様の膝の上に乗せられ、向かい合わせにされてしまいました。
テオ様の膝と身体を跨いでいるせいで、スカートがずり上がり、太股が顕になっています。
テオ様が背中を擦り、時々太股を擦りつつも、お話を再開されました。
太股を擦る必要はあるのかしら?
それなら、膝に乗る必要も、という話になりますが。
「嫌ならいいんだ。ここの庭で家族三人、のんびりピクニックをしよう」
「でも、テオ様は何処かに行きたかったのでは?」
「いや、あ…………うん、違う」
テオ様が、ふっと苦笑いして、納得したようなお顔をされました。
不思議に思い、テオ様のお顔を覗き込みましたら、スッと視線を逸らされます。
「テオ様?」
「っ、その…………この一年、バタバタとしていただろう?」
娼館の事件発覚後、王太子殿下と新宰相閣下と共に、新たな体制作りに邁進されていて、私達が起きている内に戻って来れない日が続いたり、など色々とありました。
そうですねー、と言いつつ思い出していましたら、テオ様が急に唇を重ねて来ました。
熱く蠢くものに口腔内への侵入を許すと、苦味のある芳醇な香りが、舌全体に塗り拡げられました。
「んっ、ん……っ、ふ、あっ」
いきなり始まった濃厚な口づけが終わり、ぼおっとしていましたら、テオ様が私の下唇を親指で撫でました。
二人から溢れ出した滴を拭ってくれているようです。
「ただ、ミラベルを喜ばせたかったんだ。ミラベルが安心して楽しめる場所ならどこでもいいんだ」
テオ様がニコッと笑って、今度はバードキスをしてきます。
ちゅっちゅっと触れ合う合間にぽそりぽそりと囁かれました。
ありがとう。
いつも支えてくれて。
可愛い息子を産んでくれて。
ありがとう。
そばにいてくれて。
「愛している」
「んっ、私も、ですっ」
陽気な日差しが降り注ぐ第二王子宮の庭園で、蝶を追いかけてポテポテと走るレジナルド。
その後ろを見守るようにゆっくりと歩き、レジナルドが転ぶと立たせて、膝やお尻の土を払い、虫を差し出されれば笑って受け取る優しいテオ様。
結局、旅行はやめてピクニックをすることになりました。
「まーまー!」
庭園の奥の方から、レジナルドがふわふわの髪を揺らしながら走って走ってこちらに向かって来ています。
テオ様は相変わらずゆっくりとレジナルドの後ろを歩いて来ていますが、片手にはレジナルドと摘んだのであろう花の束を片手に持ち、風になびく髪をもう片手で押さえながら、穏やかに微笑んでいます。
あぁ、なんと幸せな光景でしょうか。
なんと素敵な旦那様なのでしょうか。
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レジナルドを寝かし付け、主寝室のソファで私はナイトティー、テオ様は寝酒を飲みつつ、他愛もないおしゃべりをしていました。
「レジナルド、二歳になって随分と落ち着いたよな?」
「ええ、そうですね」
テオ様がうんうん、と頷いたあと、ニコニコ笑顔で家族旅行をしないかと言われました。
「家族旅行ですか……」
「いや?」
「いえ、遠出は久しぶりなので」
幼少期は王城通い、領地に戻ってからは領内に引きこもり。また王城に戻ってからの大きな外出は…………あの時の船旅のみです。
「正直なところ…………少し、怖いです」
ニコニコだったテオ様のお顔がくしゃりと歪んでしまいました。
眉間の皺が深くなってしまい、平たくなれー! と指で擦って揉んでをしていましたら、手首をがっちり握られました。
「え? きゃっ⁉」
グイッと引っ張られ、テオ様の膝の上に乗せられ、向かい合わせにされてしまいました。
テオ様の膝と身体を跨いでいるせいで、スカートがずり上がり、太股が顕になっています。
テオ様が背中を擦り、時々太股を擦りつつも、お話を再開されました。
太股を擦る必要はあるのかしら?
それなら、膝に乗る必要も、という話になりますが。
「嫌ならいいんだ。ここの庭で家族三人、のんびりピクニックをしよう」
「でも、テオ様は何処かに行きたかったのでは?」
「いや、あ…………うん、違う」
テオ様が、ふっと苦笑いして、納得したようなお顔をされました。
不思議に思い、テオ様のお顔を覗き込みましたら、スッと視線を逸らされます。
「テオ様?」
「っ、その…………この一年、バタバタとしていただろう?」
娼館の事件発覚後、王太子殿下と新宰相閣下と共に、新たな体制作りに邁進されていて、私達が起きている内に戻って来れない日が続いたり、など色々とありました。
そうですねー、と言いつつ思い出していましたら、テオ様が急に唇を重ねて来ました。
熱く蠢くものに口腔内への侵入を許すと、苦味のある芳醇な香りが、舌全体に塗り拡げられました。
「んっ、ん……っ、ふ、あっ」
いきなり始まった濃厚な口づけが終わり、ぼおっとしていましたら、テオ様が私の下唇を親指で撫でました。
二人から溢れ出した滴を拭ってくれているようです。
「ただ、ミラベルを喜ばせたかったんだ。ミラベルが安心して楽しめる場所ならどこでもいいんだ」
テオ様がニコッと笑って、今度はバードキスをしてきます。
ちゅっちゅっと触れ合う合間にぽそりぽそりと囁かれました。
ありがとう。
いつも支えてくれて。
可愛い息子を産んでくれて。
ありがとう。
そばにいてくれて。
「愛している」
「んっ、私も、ですっ」
陽気な日差しが降り注ぐ第二王子宮の庭園で、蝶を追いかけてポテポテと走るレジナルド。
その後ろを見守るようにゆっくりと歩き、レジナルドが転ぶと立たせて、膝やお尻の土を払い、虫を差し出されれば笑って受け取る優しいテオ様。
結局、旅行はやめてピクニックをすることになりました。
「まーまー!」
庭園の奥の方から、レジナルドがふわふわの髪を揺らしながら走って走ってこちらに向かって来ています。
テオ様は相変わらずゆっくりとレジナルドの後ろを歩いて来ていますが、片手にはレジナルドと摘んだのであろう花の束を片手に持ち、風になびく髪をもう片手で押さえながら、穏やかに微笑んでいます。
あぁ、なんと幸せな光景でしょうか。
なんと素敵な旦那様なのでしょうか。
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