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〝勇者認定試験〟の一次を突破した者たちは、幾つか班ごとに分けられて、《耐衝撃用スーツ》と呼ばれる支給される黒と白を基調とした、身体にピッタリと張り付くウェットスーツのようなものを着用することを義務付けられる。
名前の通り、魔法、武器、体術などによるダメージを最小限にまで押し留めてくれる万能防御型スーツだ。ただ学院内でしか使用できないようにされており、この効果は学院の結界があるからだと説明を受けている。
今、アミッツもそれを着用して、以前アレリアと戦ったドーム場へと、他の二次試験受験者たちとともに来ていた。
(こ、ここが二次試験の会場なんだ……!)
無論初めてなので、田舎から都会へ来た感じのオーラをついつい出してしまい、周りから変な注目を浴びてしまう。
四回目の試験で、始めて見る顔だと思うのでクラス以外の者には物珍しいのだろう。とはいっても有名な〝Fランク候補生〟としては名が知れ渡っているが。
だからこそ一次を突破したことが信じられない面持ちでアミッツを見る者たちでいっぱいだ。
しかしそんな視線よりも、この場に立てた感動で胸いっぱいのアミッツなので、まったく気にしていない。
そこへようやく試験官がやって来た。その中にはリリーシュの姿もあるのでアミッツはどこかホッとしたものを感じる。
二次の試験官は三人で評価するらしい。
大抵はこの二次で評価は決まり、最終の試験まで行かない。クラスでも最終まで行けたのはアレリアだけである。
最終まで行けるのは基本的には〝Bランク〟相当の力を持つ者だ。たとえ潜在的にその能力を秘めている者でも、今現在それを発揮していなければランクには評価されない。
ただ一次を突破したというだけで〝Eランク〟以上はあると査定されているようなものなので、アミッツもようやく一つランクアップできたのは確実ということである。
「――では二次試験を始める」
アミッツの一次試験の実技を審査した眼鏡の試験官がそう言う。
「二次試験では個人の強さそのものを見せてもらう」
試験官が説明中に、残りの二人の試験官が地面に魔法陣を描いていく。
「二次試験を受けた者は理解していると思うが、これからこちらが選出した三人一組で、ある存在と戦ってもらう」
魔法陣が描き終わると、眼鏡の試験官が魔法陣の前に立つ。右手を魔法陣の外枠に触れながら、
「――《喚び起こす門》」
その時、試験官から感じた魔力に、受験者たちは息を呑む。量はそれほど多くはないが、魔力に込められた質が強いとでも言おうか、その場にいるだけで圧迫されている感じが伝わって来た。
魔法陣が輝き始めると、そこからズズズズズズズゥゥゥ……ッと、巨大な何かが這い出てくる。
(こ、これって《召喚呪文》!?)
さすがは試験官を任されるほどの人物。契約したものを瞬時にこの場に召喚することができる《上級呪文》の一つだ。
召喚されたのは、見上げるほど大きな大樹そのもの。いや、その大樹には鋭い眼と口、それに側面に両腕が備わっていた。明らかに普通の樹ではないことが分かる。
「――見ての通り、コイツは魔物。その名を――アイアントレントだ」
魔物。それは外の世界に生息している魔力を持っている生物である。人を襲う魔物も数多く存在し、それを討伐するために勇者が派遣されることも多いのだ。
「コイツと戦え。無論全力でな。さもないと怪我では済まないぞ」
冷徹に言う眼鏡の試験官に対し、受験者たちがゴクリと喉を鳴らす。
アミッツも別に初めて魔物と実戦するというわけではない。授業でも魔物との戦闘訓練というのもあった。
しかし今目の前にいる魔物は、今までの魔物とは格が違うように思える。
「ちなみに言っておくが、コイツは魔物のランクでいえば〝C〟はある。倒せとは言わん。制限時間も三分間だ。好きに戦え」
ただし三人一組で戦うということが条件だという。
そこからそれぞれリリーシュたちがチーム1、チーム2といった具合に、チームごとに名前を呼んでいく。
今回の受験者数は九十人。三クラス分だ。三人一組で分けると全部で三十チーム。
(だ、誰と組むんだろ……)
ソワソワしながら、いつ自分の名が呼ばれるのかドキドキしていると……。
「――アレリア・イグニース」
「はい」
相手が〝Cランク〟の魔物が相手でも涼しげな表情で佇んでいる。さすがは〝Bランク〟の候補生だ。貫禄から他の人と比べても逸脱している。
「――ミラ・クレン」
「は、はい!」
ミラと呼ばれた青髪の少女。彼女のことはアミッツも知っている。何故なら同じクラスメイトでもあるし、つい先日教室でアミッツにイチャモンをつけてアレリアに注意をされた人物だからだ。
名前の通り、魔法、武器、体術などによるダメージを最小限にまで押し留めてくれる万能防御型スーツだ。ただ学院内でしか使用できないようにされており、この効果は学院の結界があるからだと説明を受けている。
今、アミッツもそれを着用して、以前アレリアと戦ったドーム場へと、他の二次試験受験者たちとともに来ていた。
(こ、ここが二次試験の会場なんだ……!)
無論初めてなので、田舎から都会へ来た感じのオーラをついつい出してしまい、周りから変な注目を浴びてしまう。
四回目の試験で、始めて見る顔だと思うのでクラス以外の者には物珍しいのだろう。とはいっても有名な〝Fランク候補生〟としては名が知れ渡っているが。
だからこそ一次を突破したことが信じられない面持ちでアミッツを見る者たちでいっぱいだ。
しかしそんな視線よりも、この場に立てた感動で胸いっぱいのアミッツなので、まったく気にしていない。
そこへようやく試験官がやって来た。その中にはリリーシュの姿もあるのでアミッツはどこかホッとしたものを感じる。
二次の試験官は三人で評価するらしい。
大抵はこの二次で評価は決まり、最終の試験まで行かない。クラスでも最終まで行けたのはアレリアだけである。
最終まで行けるのは基本的には〝Bランク〟相当の力を持つ者だ。たとえ潜在的にその能力を秘めている者でも、今現在それを発揮していなければランクには評価されない。
ただ一次を突破したというだけで〝Eランク〟以上はあると査定されているようなものなので、アミッツもようやく一つランクアップできたのは確実ということである。
「――では二次試験を始める」
アミッツの一次試験の実技を審査した眼鏡の試験官がそう言う。
「二次試験では個人の強さそのものを見せてもらう」
試験官が説明中に、残りの二人の試験官が地面に魔法陣を描いていく。
「二次試験を受けた者は理解していると思うが、これからこちらが選出した三人一組で、ある存在と戦ってもらう」
魔法陣が描き終わると、眼鏡の試験官が魔法陣の前に立つ。右手を魔法陣の外枠に触れながら、
「――《喚び起こす門》」
その時、試験官から感じた魔力に、受験者たちは息を呑む。量はそれほど多くはないが、魔力に込められた質が強いとでも言おうか、その場にいるだけで圧迫されている感じが伝わって来た。
魔法陣が輝き始めると、そこからズズズズズズズゥゥゥ……ッと、巨大な何かが這い出てくる。
(こ、これって《召喚呪文》!?)
さすがは試験官を任されるほどの人物。契約したものを瞬時にこの場に召喚することができる《上級呪文》の一つだ。
召喚されたのは、見上げるほど大きな大樹そのもの。いや、その大樹には鋭い眼と口、それに側面に両腕が備わっていた。明らかに普通の樹ではないことが分かる。
「――見ての通り、コイツは魔物。その名を――アイアントレントだ」
魔物。それは外の世界に生息している魔力を持っている生物である。人を襲う魔物も数多く存在し、それを討伐するために勇者が派遣されることも多いのだ。
「コイツと戦え。無論全力でな。さもないと怪我では済まないぞ」
冷徹に言う眼鏡の試験官に対し、受験者たちがゴクリと喉を鳴らす。
アミッツも別に初めて魔物と実戦するというわけではない。授業でも魔物との戦闘訓練というのもあった。
しかし今目の前にいる魔物は、今までの魔物とは格が違うように思える。
「ちなみに言っておくが、コイツは魔物のランクでいえば〝C〟はある。倒せとは言わん。制限時間も三分間だ。好きに戦え」
ただし三人一組で戦うということが条件だという。
そこからそれぞれリリーシュたちがチーム1、チーム2といった具合に、チームごとに名前を呼んでいく。
今回の受験者数は九十人。三クラス分だ。三人一組で分けると全部で三十チーム。
(だ、誰と組むんだろ……)
ソワソワしながら、いつ自分の名が呼ばれるのかドキドキしていると……。
「――アレリア・イグニース」
「はい」
相手が〝Cランク〟の魔物が相手でも涼しげな表情で佇んでいる。さすがは〝Bランク〟の候補生だ。貫禄から他の人と比べても逸脱している。
「――ミラ・クレン」
「は、はい!」
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Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
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