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「な、何だぁ!?」
スタッと降り立ってきた人物を見て驚愕する。
相手は頬を緩めながらジッと見つめてきているのだが、かなりの美少女であることは疑いようがない。
少し吊り上がった空色の瞳は愛嬌があり、チョコンと金髪を後ろで二つに括っているのが可愛らしい。さらにいえば、女性を象徴する胸が、ダンジョンのようにたとえるならば、間違いなく上層クラスであろう巨乳っぷり。
女性が羨む部分をこれでもかと持っている。右腕にピンク色のシュシュをブレスレット代わりにつけているところを見ると、オシャレにも気を使う年頃なのかもしれない。
「ふふふ、やっぱりここで待ってて正解だわ。ナイスな感じね!」
「だ、誰だ……?」
「キュキュ……?」
少なくとも過去に出会ったことはない……と思う。
そもそもここへ来てまだ一カ月ほどであり、それほど横の繋がりがあるわけではないのだ。
「困惑しているみたいね。無理もないわ。けれどさっそくビジネスの話をさせてもらうわね。時は金なりって言うから」
「……は?」
「まずは自己紹介をするわ。あたしはフリーの〝登塔者〟で、名前は――ファオよ。ファオ・E・オーブ!」
何だか突然現れていきなり話を進められているが……。
「……ファオ? 聞いたことねえな」
「そりゃそうよ。あたしが魔宮に潜り出したのはつい最近のことだもん。まだ一カ月くらいね」
それでもアヒロよりは先輩である。
「へぇ。んじゃオレと同じルーキーってわけか?」
「そ。それでビジネスの話なんだけど」
「ちょっと待てって!」
「何?」
「ビジネスって何だ?」
「だ~か~ら、それを今から話すから聞いてって言ってるの!」
「そ、そっか。悪い悪い」
何だか怒らせると怖そうなので、ここは時間もあるということで話を聞くことにした。
「いい? 単刀直入に言うわ。――あたしと手を組まない?」
「手を組む? 仲間になるってことか?」
「違うわ。互いに利益のために一緒に塔に登るってことよ」
「それのどこが仲間じゃねえんだ?」
「それ以上の関係はないってことよ。互いに必要以上に干渉しないし、塔攻略以外の時間は自由に過ごす」
「……何でそんなややこしいことをするんだ?」
「別にややこしくないでしょ? ……まあ、簡単にいえばあたしにはどうしても塔の最上階に行く必要があるのよ」
「何でだ?」
「理由は別にいいでしょ」
「そっちが手を組みてえって言ってきたんだし、少しは話せよなぁ」
胡散臭そうな相手なので、少しは情報を得ておきたい。
「……しょうがないわね。けど確かにある程度の情報を共有するのもビジネスパートナーだしね。いいわ、教えてあげる。その前にあなたは塔の一つでも、最上階に到達できれば、ある称号が手に入ることは知ってる?」
「……そんなもんあったっけ? 〝魔宮制覇者〟は全部の塔をクリアしたらだし……う~ん」
「分からないみたいね。上を目指してるならそれくらい知っておきなさいよ。ダメダメな感じよ!」
「えっと……悪い」
怒られてしまったので、つい謝った。
「まあいいわ、教えてあげる。いい? 一つでも塔の最上階に足を踏み入れることができれば〝頂上到達者〟――〝トップアライバル〟の称号がもらえるのよ」
「へぇ、なんかカッコ良いなそれ」
「カッコ良い? ま、まあアンタの感性は分かんないけど、とにかくあたしにはその称号が必要なの」
「ふぅん。オレが〝魔宮制覇者〟になりてえってのと一緒か」
「まあ、そうなるわね。規模の大きさはまったく違うけど。だけど、〝頂上到達者〟の称号を持つ人だってそうそういないの。それだけ難しいのよ、最上階に辿り着くのは。でもあたしはそれがほしい。そのためにアンタの力を借りたいのよ」
「うん、いいぞ」
「そうよね。いきなりこんなことを言われても変な女だって…………へ? ……い、今いいって言った?」
「おう、言ったぞ」
「な、何で?」
「はあ? 何でって力を貸してほしいって言ったのはお前だろ?」
「そ、それはそうだけど……」
何でイエスと返事をしたのに、その相手が困惑しているのだろうか……。
スタッと降り立ってきた人物を見て驚愕する。
相手は頬を緩めながらジッと見つめてきているのだが、かなりの美少女であることは疑いようがない。
少し吊り上がった空色の瞳は愛嬌があり、チョコンと金髪を後ろで二つに括っているのが可愛らしい。さらにいえば、女性を象徴する胸が、ダンジョンのようにたとえるならば、間違いなく上層クラスであろう巨乳っぷり。
女性が羨む部分をこれでもかと持っている。右腕にピンク色のシュシュをブレスレット代わりにつけているところを見ると、オシャレにも気を使う年頃なのかもしれない。
「ふふふ、やっぱりここで待ってて正解だわ。ナイスな感じね!」
「だ、誰だ……?」
「キュキュ……?」
少なくとも過去に出会ったことはない……と思う。
そもそもここへ来てまだ一カ月ほどであり、それほど横の繋がりがあるわけではないのだ。
「困惑しているみたいね。無理もないわ。けれどさっそくビジネスの話をさせてもらうわね。時は金なりって言うから」
「……は?」
「まずは自己紹介をするわ。あたしはフリーの〝登塔者〟で、名前は――ファオよ。ファオ・E・オーブ!」
何だか突然現れていきなり話を進められているが……。
「……ファオ? 聞いたことねえな」
「そりゃそうよ。あたしが魔宮に潜り出したのはつい最近のことだもん。まだ一カ月くらいね」
それでもアヒロよりは先輩である。
「へぇ。んじゃオレと同じルーキーってわけか?」
「そ。それでビジネスの話なんだけど」
「ちょっと待てって!」
「何?」
「ビジネスって何だ?」
「だ~か~ら、それを今から話すから聞いてって言ってるの!」
「そ、そっか。悪い悪い」
何だか怒らせると怖そうなので、ここは時間もあるということで話を聞くことにした。
「いい? 単刀直入に言うわ。――あたしと手を組まない?」
「手を組む? 仲間になるってことか?」
「違うわ。互いに利益のために一緒に塔に登るってことよ」
「それのどこが仲間じゃねえんだ?」
「それ以上の関係はないってことよ。互いに必要以上に干渉しないし、塔攻略以外の時間は自由に過ごす」
「……何でそんなややこしいことをするんだ?」
「別にややこしくないでしょ? ……まあ、簡単にいえばあたしにはどうしても塔の最上階に行く必要があるのよ」
「何でだ?」
「理由は別にいいでしょ」
「そっちが手を組みてえって言ってきたんだし、少しは話せよなぁ」
胡散臭そうな相手なので、少しは情報を得ておきたい。
「……しょうがないわね。けど確かにある程度の情報を共有するのもビジネスパートナーだしね。いいわ、教えてあげる。その前にあなたは塔の一つでも、最上階に到達できれば、ある称号が手に入ることは知ってる?」
「……そんなもんあったっけ? 〝魔宮制覇者〟は全部の塔をクリアしたらだし……う~ん」
「分からないみたいね。上を目指してるならそれくらい知っておきなさいよ。ダメダメな感じよ!」
「えっと……悪い」
怒られてしまったので、つい謝った。
「まあいいわ、教えてあげる。いい? 一つでも塔の最上階に足を踏み入れることができれば〝頂上到達者〟――〝トップアライバル〟の称号がもらえるのよ」
「へぇ、なんかカッコ良いなそれ」
「カッコ良い? ま、まあアンタの感性は分かんないけど、とにかくあたしにはその称号が必要なの」
「ふぅん。オレが〝魔宮制覇者〟になりてえってのと一緒か」
「まあ、そうなるわね。規模の大きさはまったく違うけど。だけど、〝頂上到達者〟の称号を持つ人だってそうそういないの。それだけ難しいのよ、最上階に辿り着くのは。でもあたしはそれがほしい。そのためにアンタの力を借りたいのよ」
「うん、いいぞ」
「そうよね。いきなりこんなことを言われても変な女だって…………へ? ……い、今いいって言った?」
「おう、言ったぞ」
「な、何で?」
「はあ? 何でって力を貸してほしいって言ったのはお前だろ?」
「そ、それはそうだけど……」
何でイエスと返事をしたのに、その相手が困惑しているのだろうか……。
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