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第二十八話
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「っ!? いたっ! いたぞーっ! 捕まえろーっ!」
魔人が木陰から出てきた写楽の姿を捉えて、逃げる写楽を追いかけてくる。
(……! 捕まえる? 殺すんじゃないのか?)
……引っ掛かりを覚えた。
「隊長を呼んでくる! お前は後を追っておけ!」
「任せろ!」
魔人の一人がどこかへ去って行く。しかし一人はまだついてくる。
(そうだ! そのままついてこい! 仲間を引き連れて来い!)
まずは距離を取る。コニムたちから敵を離せば、彼女たちが見つかることはないだろう。
「はは、もしかしたらこれでもう一緒に旅はできないかもしれないけどな」
何故か分からないが、奴らの目的は殺害ではなく捕縛。囚われてしまえば、コニムたちから離されてしまうだろう。そうなれば恐らくもう……。
(捕まったら、どこに連れていかれるか分からないしな。だから……)
走りながら、写楽はコニムたちがいた場所を一瞥する。
「……良い奴らだったんだけどな」
短い付き合いだったが、一緒に旅をしたいと思わせるほどには気の良い者たちだった。どうせなら、この先も彼女たちの力になってやりたかったが……。
空から次々と魔人たちが現れる。
……この状況ではさすがに逃げ延びることはできなさそうだ。
写楽は立ち止まり、乱れていた息を整える。
「…………はは。まあいいか。守れたってことで」
写楽は笑う。守ってやりたいと思ったから。
「ああ? 何が守れたってんだ? ようやく見つけたぞ、黒髪のガキ?」
言葉を発した魔人の男は、村で相対した男だった。
(一、二、三…………全部で十人もか)
つい溜め息が出る。
「ずいぶんな大所帯で、一人のガキを探してたのか?」
「けっ! こっちも好きで探していたんじゃない。それが任務だっただけだ」
「任務? ……誰かに頼まれたってことか? 誰だ?」
「安心しろ。すぐに連れていってやる。だが、先日の借りは、少し返させてもらうけどな」
膨らむ怒気。周囲の者たちも臨戦態勢を整えている。明らかに攻撃する気満々ってとこだ。
(殺しはしないが、相応に痛めつけるってところか)
写楽は大きく息を吸い、そしてゆっくりと吐く。そしてギロリと相手を睨みつけて言う。
「……前に言ったよな? オレもただでやられるつもりはない。覚悟しろよ?」
「けっ! 今回は任務なんだ。こっちも命がけなんでね」
そう言うということは、相当上の立場にある存在が彼らを指揮していると見える。
(上は魔王か……それとも)
しかし考えている間もなく、魔人の一人が攻め込んできた。
写楽も背中に携帯している剣を抜き、相手が振り下ろしてくる剣を受け止める。ギギギギギと火花が散り、互いの顔が近づく。
「お~お~、本当に黒い目してやがる! 珍しいぜ! “異界者”ってのは、全員そうなのか?」
「っ!?」
男の言った言葉に衝撃を受けた。写楽が“異界者”だということがバレている……。
(どういうことだ? 何故バレている? わざわざ国王がオレを殺したことを国民に発表するとも思えない。いや、仮に発表したとしても、オレは死んだってことになってるはず)
だとしたら、やはりあの時、死体処理場で自分だけがいなくなったことに気が付かれたということだろうか。
「なあ? どんな気持ちだ? 召喚されてすぐに心臓を一突きされるってのは?」
「ぐっ! コイツッ!」
剣を振り払い、相手から距離を取る。だが背後からも他の魔人が襲い掛かってきた。三人もだ。
「ちっ! ――ライトニングッ!」
指先を向け雷精魔術を発動させた。向かって来た魔人に向かって放たれた電撃は、一人の魔人を直撃し、悲鳴を上げると膝をついた。
「……ほう、雷精魔術まで使えるか。さすがは“異界者”というところか。“異界者”は特別な力を持つというらしいからな。他にも何かあるんだろ?」
ええ、死にませんが、とは口にしない。
「村でのこと、見縊るなよ?」
「ああ?」
「あの時は、下手に貴様に暴れられてムダに兵を散らすわけにはいかなかった。だから退いてやっただけだ」
「…………」
「だが今回は確実に半殺しにしてやる。この――ウェンガ様がな!」
集まっている魔人の中において、一際異彩を放ってはいたが、何となくコイツが一番強い立場にあるのだろうとは思っていた。そういえば魔人が「隊長を呼んでくる」と言っていたことを思い出す。恐らくこのウェンガが隊長なのだろう。
白髪を逆立てた紺色の瞳。敵意と殺意に満ちたその視線だけで、以前の写楽なら震えて動けなくなっていただろう。
「おい、お前ら! 一斉にコイツに攻撃だ!」
「……そこはオレと一対一でタイマン勝負だってノリじゃないのか?」
「けっ、誰がやるかよ、そんな効率の悪い手段なんて」
結構期待してはいたが、どうやらサクッと裏切られたみたいだ。
頭を潰せば他の魔人たちも散っていく可能性に期待していたのだが……。
魔人が次々と襲い掛かってくる。頭を低くし、相手の剣をかわし、相手の腹に蹴りをぶち込む。しかし後ろから羽交い絞めをされて、前方からやってきた魔人に腹を殴られる。
魔人が木陰から出てきた写楽の姿を捉えて、逃げる写楽を追いかけてくる。
(……! 捕まえる? 殺すんじゃないのか?)
……引っ掛かりを覚えた。
「隊長を呼んでくる! お前は後を追っておけ!」
「任せろ!」
魔人の一人がどこかへ去って行く。しかし一人はまだついてくる。
(そうだ! そのままついてこい! 仲間を引き連れて来い!)
まずは距離を取る。コニムたちから敵を離せば、彼女たちが見つかることはないだろう。
「はは、もしかしたらこれでもう一緒に旅はできないかもしれないけどな」
何故か分からないが、奴らの目的は殺害ではなく捕縛。囚われてしまえば、コニムたちから離されてしまうだろう。そうなれば恐らくもう……。
(捕まったら、どこに連れていかれるか分からないしな。だから……)
走りながら、写楽はコニムたちがいた場所を一瞥する。
「……良い奴らだったんだけどな」
短い付き合いだったが、一緒に旅をしたいと思わせるほどには気の良い者たちだった。どうせなら、この先も彼女たちの力になってやりたかったが……。
空から次々と魔人たちが現れる。
……この状況ではさすがに逃げ延びることはできなさそうだ。
写楽は立ち止まり、乱れていた息を整える。
「…………はは。まあいいか。守れたってことで」
写楽は笑う。守ってやりたいと思ったから。
「ああ? 何が守れたってんだ? ようやく見つけたぞ、黒髪のガキ?」
言葉を発した魔人の男は、村で相対した男だった。
(一、二、三…………全部で十人もか)
つい溜め息が出る。
「ずいぶんな大所帯で、一人のガキを探してたのか?」
「けっ! こっちも好きで探していたんじゃない。それが任務だっただけだ」
「任務? ……誰かに頼まれたってことか? 誰だ?」
「安心しろ。すぐに連れていってやる。だが、先日の借りは、少し返させてもらうけどな」
膨らむ怒気。周囲の者たちも臨戦態勢を整えている。明らかに攻撃する気満々ってとこだ。
(殺しはしないが、相応に痛めつけるってところか)
写楽は大きく息を吸い、そしてゆっくりと吐く。そしてギロリと相手を睨みつけて言う。
「……前に言ったよな? オレもただでやられるつもりはない。覚悟しろよ?」
「けっ! 今回は任務なんだ。こっちも命がけなんでね」
そう言うということは、相当上の立場にある存在が彼らを指揮していると見える。
(上は魔王か……それとも)
しかし考えている間もなく、魔人の一人が攻め込んできた。
写楽も背中に携帯している剣を抜き、相手が振り下ろしてくる剣を受け止める。ギギギギギと火花が散り、互いの顔が近づく。
「お~お~、本当に黒い目してやがる! 珍しいぜ! “異界者”ってのは、全員そうなのか?」
「っ!?」
男の言った言葉に衝撃を受けた。写楽が“異界者”だということがバレている……。
(どういうことだ? 何故バレている? わざわざ国王がオレを殺したことを国民に発表するとも思えない。いや、仮に発表したとしても、オレは死んだってことになってるはず)
だとしたら、やはりあの時、死体処理場で自分だけがいなくなったことに気が付かれたということだろうか。
「なあ? どんな気持ちだ? 召喚されてすぐに心臓を一突きされるってのは?」
「ぐっ! コイツッ!」
剣を振り払い、相手から距離を取る。だが背後からも他の魔人が襲い掛かってきた。三人もだ。
「ちっ! ――ライトニングッ!」
指先を向け雷精魔術を発動させた。向かって来た魔人に向かって放たれた電撃は、一人の魔人を直撃し、悲鳴を上げると膝をついた。
「……ほう、雷精魔術まで使えるか。さすがは“異界者”というところか。“異界者”は特別な力を持つというらしいからな。他にも何かあるんだろ?」
ええ、死にませんが、とは口にしない。
「村でのこと、見縊るなよ?」
「ああ?」
「あの時は、下手に貴様に暴れられてムダに兵を散らすわけにはいかなかった。だから退いてやっただけだ」
「…………」
「だが今回は確実に半殺しにしてやる。この――ウェンガ様がな!」
集まっている魔人の中において、一際異彩を放ってはいたが、何となくコイツが一番強い立場にあるのだろうとは思っていた。そういえば魔人が「隊長を呼んでくる」と言っていたことを思い出す。恐らくこのウェンガが隊長なのだろう。
白髪を逆立てた紺色の瞳。敵意と殺意に満ちたその視線だけで、以前の写楽なら震えて動けなくなっていただろう。
「おい、お前ら! 一斉にコイツに攻撃だ!」
「……そこはオレと一対一でタイマン勝負だってノリじゃないのか?」
「けっ、誰がやるかよ、そんな効率の悪い手段なんて」
結構期待してはいたが、どうやらサクッと裏切られたみたいだ。
頭を潰せば他の魔人たちも散っていく可能性に期待していたのだが……。
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