12 / 36
11
しおりを挟む
「もう動けるようだし、さっさと行くぞ」
「い、今から行くんですか?」
「ああ、目が覚めたら連れて来いと言われている」
マジかぁ……。今日はできればもうこのままゆっくりと眠りたかった。けどそれはどうも叶わない夢のようだ。
このままぐずっていても仕方ないので、結局は言う通りに部屋から出ることにした。通されたのは、先程オレが寝ていた場所と違って豪華に装飾された大部屋である。
壁には高そうな絵画や、剣や盾などの物騒な装飾品も見かける。もっと女の子っぽい部屋に入りたかった……どうせならね。
「よく来たわね、“神の御使い”」
テーブルを隔てて向こうに座っていたのはモルニエである。例の如くこちらを観察するような目つきで見つめてくる。
「一つ、あなたに言っておくことがあるわ」
「……はい?」
「先程の仕合い、見事だったわ」
「は、はぁ」
「勝負という意味ではあなたの敗北だけれど、私は十分に楽しませてもらったもの。褒めてあげるわ」
まさに王族。いや、今まで王族に接したことなんてないので、漫画レベルの知識などで想像することしかできないが、こういう尊大な態度が王族っぽい。
超上からの目線。ただ何故だろうか、刃向いたくない気持ちが込み上げてくる。……あれ? オレ、ドMじゃないよね?
いや、もしかしたら知らず知らずに目覚めてしまったのかもしれない。ああ、オレってば支配されることに喜びを見出してしまってる!? これはヤバイ! ……ん? ヤバイ……のか?
チラリとモルニエの顔を見る。うん、間違いなく美少女だ。もう少し歳をとれば、そこに妖艶さと色気がプラスされて、それはもう大人の美女になることだろう。胸は今のところ小さいけど。そこはまあ、将来性に期待は持てる……はず。そう、巨乳美女になるかもしれない!
つまりオレはそんな美女に支配される………………あれ? 悪くないぞ?
「ねえクーアイ、彼はどうしたのかしら? 突然頭をかかえて唸り始めたけれど?」
「ど、どうやら彼はパトスとやらが音を立てて崩れたようで」
「パトス? 何かしらそれ?」
「えっと……な、何でしょう?」
困惑している少女たちそっちのけで、オレは今後のことを思案していた。
う~ん、でもここでオレは納得してしまっていいのか? だってオレの夢はあのクソ駄目神と会って願いを叶えてもらうことだ。そしてモテるんだ。このままここにいてもいいものかどうか……。
「ちょっと、聞いているのあなた?」
「う~んう~ん……」
「しゃきっとしなさいっ!」
「はいィィィッ!」
突然部屋中につんざく怒鳴り声。思わず直立不動になり返事をしてしまう。何故かって? だって「しゃきっとしなさい」という言葉はよくオレの母が使っていた言葉だからだ。オレはその言葉に異常に反応してしまうトラウマを持ってるだけだぜ! ……自慢じゃないけどね。
「もう結果だけ言うわ! あなた、私のものになりなさいっ!」
「え、あ、そ、それはですね……」
まだハッキリと決めかねている。確かに魅力的な提案にも思えてしまうのが苦しいが、本当に即決していいものかどうか悩んでしまう。
「なに? 不満なの? 給金も出すわよ」
「きゅ、給金……」
「それにあなたは“神の御使い”よ? きっと国中が湧くわ」
え? 国中? 湧くってことは人気が出るってことかしらん?
「そ、それはもしかして……お、女の子たち……も?」
「あら? あなた色好きなのかしら? ええ、あなたが魅力的になればなるほど、放っておかない女性が増えるでしょうね」
「――っ!?」
「どう? 私のものになれば、侍女も可愛い子をつけるわよ?」
「犬とお呼び下さい、我が王」
オレは即座に跪き臣下の礼をとる。……当然だろ?
「フフフ、これから私のためにその力を揮いなさい」
モルニエは満足気に笑みを浮かべているが、何故かクーアイはオレを軽蔑したような目つきで睨みつけて一歩引いている。……どうして?
「い、今から行くんですか?」
「ああ、目が覚めたら連れて来いと言われている」
マジかぁ……。今日はできればもうこのままゆっくりと眠りたかった。けどそれはどうも叶わない夢のようだ。
このままぐずっていても仕方ないので、結局は言う通りに部屋から出ることにした。通されたのは、先程オレが寝ていた場所と違って豪華に装飾された大部屋である。
壁には高そうな絵画や、剣や盾などの物騒な装飾品も見かける。もっと女の子っぽい部屋に入りたかった……どうせならね。
「よく来たわね、“神の御使い”」
テーブルを隔てて向こうに座っていたのはモルニエである。例の如くこちらを観察するような目つきで見つめてくる。
「一つ、あなたに言っておくことがあるわ」
「……はい?」
「先程の仕合い、見事だったわ」
「は、はぁ」
「勝負という意味ではあなたの敗北だけれど、私は十分に楽しませてもらったもの。褒めてあげるわ」
まさに王族。いや、今まで王族に接したことなんてないので、漫画レベルの知識などで想像することしかできないが、こういう尊大な態度が王族っぽい。
超上からの目線。ただ何故だろうか、刃向いたくない気持ちが込み上げてくる。……あれ? オレ、ドMじゃないよね?
いや、もしかしたら知らず知らずに目覚めてしまったのかもしれない。ああ、オレってば支配されることに喜びを見出してしまってる!? これはヤバイ! ……ん? ヤバイ……のか?
チラリとモルニエの顔を見る。うん、間違いなく美少女だ。もう少し歳をとれば、そこに妖艶さと色気がプラスされて、それはもう大人の美女になることだろう。胸は今のところ小さいけど。そこはまあ、将来性に期待は持てる……はず。そう、巨乳美女になるかもしれない!
つまりオレはそんな美女に支配される………………あれ? 悪くないぞ?
「ねえクーアイ、彼はどうしたのかしら? 突然頭をかかえて唸り始めたけれど?」
「ど、どうやら彼はパトスとやらが音を立てて崩れたようで」
「パトス? 何かしらそれ?」
「えっと……な、何でしょう?」
困惑している少女たちそっちのけで、オレは今後のことを思案していた。
う~ん、でもここでオレは納得してしまっていいのか? だってオレの夢はあのクソ駄目神と会って願いを叶えてもらうことだ。そしてモテるんだ。このままここにいてもいいものかどうか……。
「ちょっと、聞いているのあなた?」
「う~んう~ん……」
「しゃきっとしなさいっ!」
「はいィィィッ!」
突然部屋中につんざく怒鳴り声。思わず直立不動になり返事をしてしまう。何故かって? だって「しゃきっとしなさい」という言葉はよくオレの母が使っていた言葉だからだ。オレはその言葉に異常に反応してしまうトラウマを持ってるだけだぜ! ……自慢じゃないけどね。
「もう結果だけ言うわ! あなた、私のものになりなさいっ!」
「え、あ、そ、それはですね……」
まだハッキリと決めかねている。確かに魅力的な提案にも思えてしまうのが苦しいが、本当に即決していいものかどうか悩んでしまう。
「なに? 不満なの? 給金も出すわよ」
「きゅ、給金……」
「それにあなたは“神の御使い”よ? きっと国中が湧くわ」
え? 国中? 湧くってことは人気が出るってことかしらん?
「そ、それはもしかして……お、女の子たち……も?」
「あら? あなた色好きなのかしら? ええ、あなたが魅力的になればなるほど、放っておかない女性が増えるでしょうね」
「――っ!?」
「どう? 私のものになれば、侍女も可愛い子をつけるわよ?」
「犬とお呼び下さい、我が王」
オレは即座に跪き臣下の礼をとる。……当然だろ?
「フフフ、これから私のためにその力を揮いなさい」
モルニエは満足気に笑みを浮かべているが、何故かクーアイはオレを軽蔑したような目つきで睨みつけて一歩引いている。……どうして?
0
あなたにおすすめの小説
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!
ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。
ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。
そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。
問題は一つ。
兄様との関係が、どうしようもなく悪い。
僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。
このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない!
追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。
それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!!
それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります!
5/9から小説になろうでも掲載中
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
異世界転移から始まるハーレム生活〜チートスキルを貰った俺は、妹と共に無双する〜
昼寝部
ファンタジー
2XXX年、X月。
俺、水瀬アキトは戦争の絶えない地球で『戦場の悪魔』と呼ばれ、数多の戦で活躍していた。
そんな日々を過ごしていた俺は、ひょんなことから妹と一緒に異世界へ転移することになった。
その世界にはダンジョンが存在しており、ライトノベルなどで登場する世界観と類似していた。
俺たちはその世界で過ごすため女神様からチートスキルを貰い、冒険者となって異世界での生活を満喫することにした。
これは主人公の水瀬アキトと妹のカナデが異世界へ転移し、美少女たちに囲まれながら異世界で無双するお話し。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる