セブンス・ワールド ~神に誘われてゲーム世界へ~

十本スイ

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「もう動けるようだし、さっさと行くぞ」
「い、今から行くんですか?」
「ああ、目が覚めたら連れて来いと言われている」

 マジかぁ……。今日はできればもうこのままゆっくりと眠りたかった。けどそれはどうも叶わない夢のようだ。
 このままぐずっていても仕方ないので、結局は言う通りに部屋から出ることにした。通されたのは、先程オレが寝ていた場所と違って豪華に装飾された大部屋である。

 壁には高そうな絵画や、剣や盾などの物騒な装飾品も見かける。もっと女の子っぽい部屋に入りたかった……どうせならね。

「よく来たわね、“神の御使い”」

 テーブルを隔てて向こうに座っていたのはモルニエである。例の如くこちらを観察するような目つきで見つめてくる。

「一つ、あなたに言っておくことがあるわ」
「……はい?」
「先程の仕合い、見事だったわ」
「は、はぁ」
「勝負という意味ではあなたの敗北だけれど、私は十分に楽しませてもらったもの。褒めてあげるわ」

 まさに王族。いや、今まで王族に接したことなんてないので、漫画レベルの知識などで想像することしかできないが、こういう尊大な態度が王族っぽい。

 超上からの目線。ただ何故だろうか、刃向いたくない気持ちが込み上げてくる。……あれ? オレ、ドMじゃないよね?
 いや、もしかしたら知らず知らずに目覚めてしまったのかもしれない。ああ、オレってば支配されることに喜びを見出してしまってる!? これはヤバイ! ……ん? ヤバイ……のか?
 チラリとモルニエの顔を見る。うん、間違いなく美少女だ。もう少し歳をとれば、そこに妖艶さと色気がプラスされて、それはもう大人の美女になることだろう。胸は今のところ小さいけど。そこはまあ、将来性に期待は持てる……はず。そう、巨乳美女になるかもしれない!
 つまりオレはそんな美女に支配される………………あれ? 悪くないぞ?

「ねえクーアイ、彼はどうしたのかしら? 突然頭をかかえて唸り始めたけれど?」
「ど、どうやら彼はパトスとやらが音を立てて崩れたようで」
「パトス? 何かしらそれ?」
「えっと……な、何でしょう?」

 困惑している少女たちそっちのけで、オレは今後のことを思案していた。

 う~ん、でもここでオレは納得してしまっていいのか? だってオレの夢はあのクソ駄目神と会って願いを叶えてもらうことだ。そしてモテるんだ。このままここにいてもいいものかどうか……。

「ちょっと、聞いているのあなた?」
「う~んう~ん……」
「しゃきっとしなさいっ!」
「はいィィィッ!」

 突然部屋中につんざく怒鳴り声。思わず直立不動になり返事をしてしまう。何故かって? だって「しゃきっとしなさい」という言葉はよくオレの母が使っていた言葉だからだ。オレはその言葉に異常に反応してしまうトラウマを持ってるだけだぜ! ……自慢じゃないけどね。

「もう結果だけ言うわ! あなた、私のものになりなさいっ!」
「え、あ、そ、それはですね……」

 まだハッキリと決めかねている。確かに魅力的な提案にも思えてしまうのが苦しいが、本当に即決していいものかどうか悩んでしまう。

「なに? 不満なの? 給金も出すわよ」
「きゅ、給金……」
「それにあなたは“神の御使い”よ? きっと国中が湧くわ」

 え? 国中? 湧くってことは人気が出るってことかしらん?

「そ、それはもしかして……お、女の子たち……も?」
「あら? あなた色好きなのかしら? ええ、あなたが魅力的になればなるほど、放っておかない女性が増えるでしょうね」
「――っ!?」
「どう? 私のものになれば、侍女も可愛い子をつけるわよ?」
「犬とお呼び下さい、我が王」

 オレは即座に跪き臣下の礼をとる。……当然だろ?

「フフフ、これから私のためにその力を揮いなさい」

 モルニエは満足気に笑みを浮かべているが、何故かクーアイはオレを軽蔑したような目つきで睨みつけて一歩引いている。……どうして?



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