セブンス・ワールド ~神に誘われてゲーム世界へ~

十本スイ

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「うにゃむにゃ…………はっ、見事なオッパイッ!?」

 オレはカッと目を見開く。……見たことのない天井が広がっていた。くそぉ、やっぱ夢だったか……。せっかく理想的なオッパイを持った女性と大人なバーで知り得たというのに……。
 まあ、バーなんて行ったことがなかったから、確実に夢なんだろうなとかは思ってたけどさ……。

「って、あれ? ここって……っ!?」

 何だか物凄く身体が怠い。まるで二十四時間耐久フルマラソンでも走った感覚。いや、走ったことなんてないから実際のところどんな感じかは分からんが、ともかくすっげえしんどいってことは伝わるかと思う。
 どうやらオレはベッドの上にいるようだ。簡素なベッド。部屋の中も八畳ほどの個室で、棚一つに机と椅子だけといったシンプルなもの。

 えっと……オレどうしてここに寝てたの? はっ、まさかこれが俗にいう記憶喪失!? 何かその響きがカッコ良いから一度なってみたいなとか思ってたけど、なってみたところでただ不安が広がるだけで後悔した。

「う~ん、ちょっと待てよぉ。段々思い出してきたぞ…………あ、そうだ! オレはあの美少女騎士様と対決したんだよな。そんで駄目神の声が聞こえて、なんやかんやとあって……あ、メニューだメニュー! えっと、メニューオープン」

 とりあえず駄目神に教えてもらったメニューをもう一度開いてみる。


名前 オウギ・フジサキ 
称号 煩悩ゲーマー

【ステータス】
Lv 1      GP 0
 
HP 21/21     MP 5/15
 
NEXT 8    EXP 0


【パラメータ】
 攻撃 8   防御 7   魔攻 13   魔防 10
 敏捷 11  命中 15  回避 9    頭脳 3

【魔本】
黒の魔本   Lv1   NEXT 10

【GS】
 魔弾の射手   消費MP 1~全

【称号】
 神の御使い・煩悩ゲーマー・オッパイ好き(特に巨乳)・変態青少年


 良かった。名前の横の(笑)が取れてた。もしあったら怒鳴ってやろうかと思ったがひとまず安心。見たところあまり変わってない。

「あ、MPが大分減ってね?」

 その時、ようやく記憶が戻ってくる。駄目神に言われて《一斉放射》と唱えた瞬間に意識がプツンと途切れたことを思い出す。

「や~っぱあれって魔本の力のせいだよなぁ」

 とりあえず宙に浮かび上がっているメニューの《魔弾の射手》のところに指で触れてみる。すると画面が切り替わる。

――――――――――――――――
《魔弾の射手》 消費MP 1~全
 自身の魔力を弾丸に変えて放つことができる。込めた分だけ威力は上昇する。《一斉放射》をすると全魔力を消費し最大級の攻撃を放つことが可能だが意識を失うリスクを背負う。
――――――――――――――――

「なるほど~、だからオレは気絶しちまったってわけか……つうかあの駄目神め、最初から言っとけよな! こんなもん一発必中でやらなきゃならねえ技じゃねえかよ!」

 そう、外せば完全なる無防備。あとはただ美味しく料理されるだけになってしまう。そうなれば知らない間にあの世にレッツゴーだろう。

「でもMPがちょっと回復してるってことは、やっぱり寝たからかな? これは王道な設定だけど、やっぱ魔力ってことなんだろうなぁ。つまりは精神力みたいなものか? あれ? オレって何時間くらい寝てたんだ?」
「一時間ほどだ」

 その時、扉を開けて入ってきたのは美少女騎士のクーアイだった。憮然とした態度をしているツンツンぶりだが、そこがそこはかとなく美少女レベルを上げている感じがして……いい。

「あ、その……さっきはどうも」
「……確認したいことがある」
「な、何でしょうか?」

 か、彼女がいるか? とか頬を染めながら聞いてくれれば大歓迎なんだけどなぁ。

「お前は……初めてなのか?」

 え? あれ? これってもしかして……あれのこと!?

「えっと……」

 この時って女の子に対して言えばグッとくる言葉って何だ? 経験者を装った方がいいのか? それともチェリーですが、それはあなたのために残しておきましたとか運命的な感じの方がいいのか?
 どうする富士咲扇! ここで言葉を誤れば女の子は引くかもしれねえ! つまりそう! ここがオレの人生の分岐点!? 
 童貞でいくか……はたまた経験者で大人な雰囲気を醸し出すか……いや待てよ! もし経験者として誤報を与えたとしよう! その時、もしそういうことをするようになったら、すぐにバレて「あの時、嘘をついてたのね!」とか言って殺されるかもしれねえ……。間違いなく氷漬けにはされるだろうな……。
 ならどうする? ここは見栄なんて張らずに正直者で通すか! いやもしかしたら「何だ、ただのチェリーボーイなのか」と鼻で嘲笑されるだけかも! ああ難しい! 女の子の質問はいつもこうやってオレを攻め立てるぅぅぅ!

「お、おいどうした?」

 はっ! どうやらベッドの上で頭を抱えてゴロゴロしていたので不審さをアピールしてしまったようだ。

「い、いや何でもないですよ」
「そ、そうか? で、では先程の質問に答えてほしいのだが……」
「え? あ、ああ……と。……ま、まあそうですね……初めて……かな」
「そ、そうか。やはり初めてか……」

 何やら残念そうだとっ! やはり女の子は経験者を優遇するのか! オレのバカ! 女心を読めないオレのピュアさが恨めしいっ!

「初めてであの威力……少し嫉妬してしまうな」

 え? い、威力? ……ナンノコト? 

「いや、すまない。お前の力に驚いただけだ。気を悪くしたなら謝ろう」
「えっとぉ……何の話でせう?」
「え? ……先程の仕合でお前が私に見せた魔本の力のことだが?」

 ……………………いや、分かってたよ? だって当然でしょ? こ~んな美少女がオレのことを好きになるなんてないないないないないないないないないな……い…………心が痛い……。

「どうした? 胸でも痛いのか?」
「え、ええ……でも大丈夫。オレのパトスが砕けた音がしただけですから」
「そ、そうか? よくは分からんが、何かあるのなら言え。これからお前は仲間なのだからな」
「あ、はい。どうぞよろしく……ってはい? な、仲間?」

 いきなりどういうことだろうか……?

「そうだ。お前の身柄はモルニエ様が引き取ることになった。しかし無論ただではない。私と同じくモルニエ様に仕える騎士になってもらう」
「き、騎士!? オ、オレがぁっ!? な、何でっ!?」
「それはモルニエ様に直接お聞きすればいい。私はただ、これからお前を我が王のもとへと再び連れて行くことを任命されているだけだからな」
「そんな……またあのサドッ気全開美少女王と謁見せんといかんのかぁ……」

 正直御免被りたい。彼女は何というか、こう対峙してるだけで精神に負荷がかかるんだよなぁ。睨まれているだけで心臓を掴まれている感じになる。何とも嫌な気分になるんだけど……。


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