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――夜。
オレは布団の中で今日あったことを振り返っていた。まさか本当にライトノベルのような経験をするとは思わなかった。
いつものように自分のブログをチェックしていると、自称神からゲームの世界にこないかとか言われた。あれよあれよと気づいたら異世界だ。これ、小説にしたら売れるんじゃね? とか思っても不思議じゃない。何せ実体験なんだから。
「ふぅん、月はちょっと大きいけど、夜空ってあんま変わんねえんだなぁ」
窓から見える星空を眺める。
都会に住んでいたせいで、満天の星空というものには縁はなかったが、こっちの世界では綺麗な星々が数え切れないほど輝いている。まるでそれぞれが自分を見てと自己主張しているかのようだ。
「オレってホントに異世界に来たん……だよな」
正直に言って、まだ夢半ばのような感覚だったりする。今日一日で何度死にかけたことか……。確か自称神は言ってた。
この世界は死が近い世界だと。まさしくその通りだった。
「けど、オレってホントにこの世界でやってけるかな? レベルも1だし……いや、ここはゲーマーとして他のキャラなんかに負けてはいられん! レベル上げの鬼富士と言われたオレの実力を見せてやる! 強くなって、“七色の魔本”とやらを集めて、あの駄目神に一発拳骨落として願いを叶えてやるっ! そう、モテモテ王にオレはなるっ!」
1レベル? 面白いじゃないか。まさにゲームの主人公と同じスタートライン。ここからオレの物語。モテモテストーリーが始まっていくんだ!
だが焦りは禁物。まずは状況を把握して、情報を集めることが先決。レベルも焦らずに上げて行けばいい。すべては明日から。
「フッフッフ……待ってろよ、まだ見ぬ美少女たちよ! オレは必ずお前らのハートをゲッチューしてやるぜっ! ナーッハッハッハッハッハッハッ!」
「うるさいわ愚か者ぉぉぉぉぉっ!」
「じびへぇっ!?」
……な、何が起こった……? 右頬に鋭い痛みが……!
見れば、いつの間にか右拳を震わせたクーアイが立っていた。その顔は怒りに満ちている。
「こんな夜更けに先程から大声で叫びおって……」
「……あ」
どうやらまた声に出ていたようだ。うわ~恥ずかしい。……む? むむむむむ!
「……? ど、どうした?」
「……ゴクリ」
自然と喉が鳴っちまったぜ。何故かって? それは彼女の姿があまりにも扇情的だからさ! そのたわわに実った胸が谷間を作り、寝間着から零れている。さらに下も慌てていたのか、少しはだけて白い下着が見えてしまっている。
オレはつい瞬きを忘れて魅入ってしまう。しかしそれがいけなかった。彼女もオレの視線に気づいたようで「きゃあっ!」と小さく悲鳴を上げて身体を隠すと、涙目で睨みつけてくる。
……あ、これマズイ?
「ばふんびっ!?」
見事な回し蹴りを顔に受けてオレは沈黙した。最後に聞いたのは、「絶対いつか刺すからなっ!」というクーアイの言葉だった。本日最後の死線を潜り抜けた富士咲扇でした。
翌日、オレは起こしに来てくれたニナと一緒に朝食を食べた後、城内を案内してもらうことになった。許可はクーアイが出してくれたのだが、二人っきりだとオレがニナにいかがわしいことをするかもしれないということで、彼女も一緒についてくることになった。
もうオレの好感度が底値だなこりゃ……。
「そういやクーアイって普段何してんの?」
「私か? 無論兵の調練をしている。お前も聞いただろう、この世界の情勢を」
「あ、ああ」
「この世界に出回っている噂。“七色の魔本”を集めれば願いが叶う。それを信じている者は多い。故にどんな手を使ってでも探し出そうとする輩が吐いて捨てるほどだ」
そのうちの一人がモルニエなんだけどなぁ。
「この世界に散らばっている“七色の魔本”。もしそれが人の手にあるとしたら、戦争をしてでも奪い取ろうとする者は少なくない。事実、この【ラードック】も何度か戦争を経験している。まあ、規模は小さいがな」
そう言う彼女の横顔はどこか申し訳なさそうだ。それも仕方のないことなのかもしれない。何と言っても“七色の魔本”のうち一冊を所持しているのが彼女 クーアイなのだから。
モルニエは彼女を敵に奪わせないために、自分の望みを叶えるためにも戦争に負けるわけにはいかない。しかし一方で、クーアイさえいなければ争いなど起きないと考えている者も確実にいるはずだ。
ただそんな簡単な話でもないらしいのだ。単純に集めると言われても、相手の魔本を奪うということは、相手の死を意味するということを昨日聞いた。
つまり、クーアイの持つ“青の魔本”を奪うためには、クーアイの命を奪う必要があるらしい。そうすることで、彼女の命を奪った者に魔本の所有権が移るということみたいだ。
「幸い、【ラードック】は強くて大きな国だ。たかが賊どもが戦争を起こしたところで殲滅は容易い。だがそれも相手が国家ということになると話が違ってくる」
「国対国の争いかぁ。そりゃあ、大規模なもんになるだろうなぁ」
「今までは何とかモルニエ様が上手く交渉をなされて戦争を避けることができていたが、それも時間の問題だろう。そのうちに私……いや、“青の魔本”を狙って他国が動くはずだ」
どうやらオレってば、とんでもない紛争に巻き込まれる可能性大。いや、オレだって“七色の魔本”を集めるつもりだから、現実問題戦う必要があるんだけど……。
でも正直、魔本を奪う方法を聞いて気持ちが揺らいでるのも本当なのだ。まさか相手を殺すことが魔本を奪う条件だとは思わなかったからだ。
オレが願いを叶えようとしたら、ここにいるクーアイと戦闘し殺さなければならないんだ。本当にゲームのようなシステム……ん? ゲーム?
「なあ、もし死んだらどうなるんだ?」
「……は?」
何言ってんのコイツ? 的な感じで見られた。隣で歩いているニナにも「大丈夫ですか?」と尋ねられるんだから心が折れそうになる。
「いやまあ、死ねばほら、生き返ることとかできねえのかなって」
「お前はバカか? それともアホか? いや気色悪い」
酷くね? つうか最後の言葉って絶対いらなかったよね?
「あ……やっぱ死んだら死んだままかぁ」
「当然だろ。何を急に言い出すんだお前は」
思いっきり呆れたように溜め息を吐かれた。
オレとしては、ここは神が作ったゲーム世界なんだから、もしかしたら死んでも生き返るようなシステムが構築されてあるんじゃないかと思っただけ。どうやら本当にここはファンタジーでリアルな世界のようだ。
オレは布団の中で今日あったことを振り返っていた。まさか本当にライトノベルのような経験をするとは思わなかった。
いつものように自分のブログをチェックしていると、自称神からゲームの世界にこないかとか言われた。あれよあれよと気づいたら異世界だ。これ、小説にしたら売れるんじゃね? とか思っても不思議じゃない。何せ実体験なんだから。
「ふぅん、月はちょっと大きいけど、夜空ってあんま変わんねえんだなぁ」
窓から見える星空を眺める。
都会に住んでいたせいで、満天の星空というものには縁はなかったが、こっちの世界では綺麗な星々が数え切れないほど輝いている。まるでそれぞれが自分を見てと自己主張しているかのようだ。
「オレってホントに異世界に来たん……だよな」
正直に言って、まだ夢半ばのような感覚だったりする。今日一日で何度死にかけたことか……。確か自称神は言ってた。
この世界は死が近い世界だと。まさしくその通りだった。
「けど、オレってホントにこの世界でやってけるかな? レベルも1だし……いや、ここはゲーマーとして他のキャラなんかに負けてはいられん! レベル上げの鬼富士と言われたオレの実力を見せてやる! 強くなって、“七色の魔本”とやらを集めて、あの駄目神に一発拳骨落として願いを叶えてやるっ! そう、モテモテ王にオレはなるっ!」
1レベル? 面白いじゃないか。まさにゲームの主人公と同じスタートライン。ここからオレの物語。モテモテストーリーが始まっていくんだ!
だが焦りは禁物。まずは状況を把握して、情報を集めることが先決。レベルも焦らずに上げて行けばいい。すべては明日から。
「フッフッフ……待ってろよ、まだ見ぬ美少女たちよ! オレは必ずお前らのハートをゲッチューしてやるぜっ! ナーッハッハッハッハッハッハッ!」
「うるさいわ愚か者ぉぉぉぉぉっ!」
「じびへぇっ!?」
……な、何が起こった……? 右頬に鋭い痛みが……!
見れば、いつの間にか右拳を震わせたクーアイが立っていた。その顔は怒りに満ちている。
「こんな夜更けに先程から大声で叫びおって……」
「……あ」
どうやらまた声に出ていたようだ。うわ~恥ずかしい。……む? むむむむむ!
「……? ど、どうした?」
「……ゴクリ」
自然と喉が鳴っちまったぜ。何故かって? それは彼女の姿があまりにも扇情的だからさ! そのたわわに実った胸が谷間を作り、寝間着から零れている。さらに下も慌てていたのか、少しはだけて白い下着が見えてしまっている。
オレはつい瞬きを忘れて魅入ってしまう。しかしそれがいけなかった。彼女もオレの視線に気づいたようで「きゃあっ!」と小さく悲鳴を上げて身体を隠すと、涙目で睨みつけてくる。
……あ、これマズイ?
「ばふんびっ!?」
見事な回し蹴りを顔に受けてオレは沈黙した。最後に聞いたのは、「絶対いつか刺すからなっ!」というクーアイの言葉だった。本日最後の死線を潜り抜けた富士咲扇でした。
翌日、オレは起こしに来てくれたニナと一緒に朝食を食べた後、城内を案内してもらうことになった。許可はクーアイが出してくれたのだが、二人っきりだとオレがニナにいかがわしいことをするかもしれないということで、彼女も一緒についてくることになった。
もうオレの好感度が底値だなこりゃ……。
「そういやクーアイって普段何してんの?」
「私か? 無論兵の調練をしている。お前も聞いただろう、この世界の情勢を」
「あ、ああ」
「この世界に出回っている噂。“七色の魔本”を集めれば願いが叶う。それを信じている者は多い。故にどんな手を使ってでも探し出そうとする輩が吐いて捨てるほどだ」
そのうちの一人がモルニエなんだけどなぁ。
「この世界に散らばっている“七色の魔本”。もしそれが人の手にあるとしたら、戦争をしてでも奪い取ろうとする者は少なくない。事実、この【ラードック】も何度か戦争を経験している。まあ、規模は小さいがな」
そう言う彼女の横顔はどこか申し訳なさそうだ。それも仕方のないことなのかもしれない。何と言っても“七色の魔本”のうち一冊を所持しているのが彼女 クーアイなのだから。
モルニエは彼女を敵に奪わせないために、自分の望みを叶えるためにも戦争に負けるわけにはいかない。しかし一方で、クーアイさえいなければ争いなど起きないと考えている者も確実にいるはずだ。
ただそんな簡単な話でもないらしいのだ。単純に集めると言われても、相手の魔本を奪うということは、相手の死を意味するということを昨日聞いた。
つまり、クーアイの持つ“青の魔本”を奪うためには、クーアイの命を奪う必要があるらしい。そうすることで、彼女の命を奪った者に魔本の所有権が移るということみたいだ。
「幸い、【ラードック】は強くて大きな国だ。たかが賊どもが戦争を起こしたところで殲滅は容易い。だがそれも相手が国家ということになると話が違ってくる」
「国対国の争いかぁ。そりゃあ、大規模なもんになるだろうなぁ」
「今までは何とかモルニエ様が上手く交渉をなされて戦争を避けることができていたが、それも時間の問題だろう。そのうちに私……いや、“青の魔本”を狙って他国が動くはずだ」
どうやらオレってば、とんでもない紛争に巻き込まれる可能性大。いや、オレだって“七色の魔本”を集めるつもりだから、現実問題戦う必要があるんだけど……。
でも正直、魔本を奪う方法を聞いて気持ちが揺らいでるのも本当なのだ。まさか相手を殺すことが魔本を奪う条件だとは思わなかったからだ。
オレが願いを叶えようとしたら、ここにいるクーアイと戦闘し殺さなければならないんだ。本当にゲームのようなシステム……ん? ゲーム?
「なあ、もし死んだらどうなるんだ?」
「……は?」
何言ってんのコイツ? 的な感じで見られた。隣で歩いているニナにも「大丈夫ですか?」と尋ねられるんだから心が折れそうになる。
「いやまあ、死ねばほら、生き返ることとかできねえのかなって」
「お前はバカか? それともアホか? いや気色悪い」
酷くね? つうか最後の言葉って絶対いらなかったよね?
「あ……やっぱ死んだら死んだままかぁ」
「当然だろ。何を急に言い出すんだお前は」
思いっきり呆れたように溜め息を吐かれた。
オレとしては、ここは神が作ったゲーム世界なんだから、もしかしたら死んでも生き返るようなシステムが構築されてあるんじゃないかと思っただけ。どうやら本当にここはファンタジーでリアルな世界のようだ。
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