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敵が逃げ帰るのを岩山の上から興味が無さそうに見つめていたのは一人の人物。袴のような和装を着用し、青髪を伸ばした中性的な顔立ちをしている少年。
「さすがはアウォトさんだ。アンタの言う通りやったら簡単に勝てた。見事な作戦だぜ!」
オレに近づいてくるのは賊のリーダーをしている少年。岩みたいなゴツゴツとした顔をしており、近づくだけで暑苦しさを感じるような人物だ。
オレは静かに目を閉じて軽く溜め息を漏らす。
「こんなもの、策でも何でもない」
「へ?」
「本当の策というのはもっと恐ろしい。こんな駄策がハマッたのは、指揮官がアホだったからだ。まあ、あの猪武将のクーアイ・タンタニータだからこその結果というわけだ」
「は、はぁ……けど俺たちゃホントに感謝してんだ。あの忌々しいモルニエに一泡吹かすことができたんだ。欲を言や、ここでクーアイを潰しておきたかったが、それも近いうち必ず俺たちがやってやる」
ここに集まっている賊たちは、モルニエとの戦で敗れた落ち武者たちの集まりである。ほぼ全員がモルニエとクーアイに恨みを持っている。
「でもアンタが俺たちに力を貸してくれてホントに良かったぜ」
「ただの暇潰しだ。あのモルニエの懐刀である“青の魔本”の所有者であるクーアイ・タンタニータの実力をこの目で一度見てみたかったからな。だがもういい。こんな策にあっさりハマり部隊を五分の一まで削られる武将など期待しても仕方ないからな」
「き、期待?」
「ああ、オレとまともに戦えるかどうかをな……」
“七色の魔本”を持つ人物だから相当のやり手だと期待していたが、結果は見ての通り。武器は最上級でも、それを扱う人間は下位ランクだったようだ。
だが一つだけ気になることもあった。
「あの少年……」
「はい?」
「部隊の後方にいたあの少年、岩を削り飛ばしたよな? 何をしたと思う?」
「は、はあ……多分魔本を使ったのだと思いますが?」
それは分かる。そうでもなければあれだけの岩山を一度で吹き飛ばすことなどできなかっただろう。だがあのような強力な攻撃力を備えた魔本を持っている部下がいるという情報は聞いていなかった。
少なくとも今までにクーアイの部隊にはいなかったはずだ。
「この土地には珍しい黒髪……それに魔本」
遠目だったのでどのような魔本だったかは見えなかった。ただ少なくとも“武器系”なのは分かった。
「……あの武器、見たことがなかった」
「そうですね。何つうか細長くて小さな感じの。そんであの威力ですから、あのモルニエがどこかからスカウトしてきた武将では?」
いや、それにしては動きが素人臭かった。武将ならもっと機敏に動けていたはず。後方に位置取っていたから助かっていたが、アレが中央にいたのなら恐らく死んでいた可能性は高い。
「……まあいい。こちらの大勝だ。相手も一度帰国するだろうしな」
命が助かった兵たちも無傷ではない。重軽傷者がいるはず。それを考慮すれば戦えるのは150~200くらいといったところ。さすがにその数ではいくらクーアイ・タンタニータがいようが700を倒すことは容易ではない。
もし再戦してくるとしても一度帰国して戦力を増強してからだろう。その間にこちらはこの場から離れて戦力を増やしていけばいいだけの話。
「今日はもう攻めてこないだろう。野営の準備をしろ。明日はここから離れて北で暴れている賊を吸収する」
「へへへ、アンタについて行きゃ、いずれあのモルニエを討てるんだよな?」
「いずれ……な」
オレは賊たちにモルニエを討ちたければオレを雇えと言った。ちょうどクーアイ・タンタニータの実力を試したい手駒が欲しかったからだ。
しかしそれももう終わり。明日になればここに見切りをつけてまた新たな強者を探しに出かけよう。このオレの渇きを埋めてくれるほどの強者を……な。
「さすがはアウォトさんだ。アンタの言う通りやったら簡単に勝てた。見事な作戦だぜ!」
オレに近づいてくるのは賊のリーダーをしている少年。岩みたいなゴツゴツとした顔をしており、近づくだけで暑苦しさを感じるような人物だ。
オレは静かに目を閉じて軽く溜め息を漏らす。
「こんなもの、策でも何でもない」
「へ?」
「本当の策というのはもっと恐ろしい。こんな駄策がハマッたのは、指揮官がアホだったからだ。まあ、あの猪武将のクーアイ・タンタニータだからこその結果というわけだ」
「は、はぁ……けど俺たちゃホントに感謝してんだ。あの忌々しいモルニエに一泡吹かすことができたんだ。欲を言や、ここでクーアイを潰しておきたかったが、それも近いうち必ず俺たちがやってやる」
ここに集まっている賊たちは、モルニエとの戦で敗れた落ち武者たちの集まりである。ほぼ全員がモルニエとクーアイに恨みを持っている。
「でもアンタが俺たちに力を貸してくれてホントに良かったぜ」
「ただの暇潰しだ。あのモルニエの懐刀である“青の魔本”の所有者であるクーアイ・タンタニータの実力をこの目で一度見てみたかったからな。だがもういい。こんな策にあっさりハマり部隊を五分の一まで削られる武将など期待しても仕方ないからな」
「き、期待?」
「ああ、オレとまともに戦えるかどうかをな……」
“七色の魔本”を持つ人物だから相当のやり手だと期待していたが、結果は見ての通り。武器は最上級でも、それを扱う人間は下位ランクだったようだ。
だが一つだけ気になることもあった。
「あの少年……」
「はい?」
「部隊の後方にいたあの少年、岩を削り飛ばしたよな? 何をしたと思う?」
「は、はあ……多分魔本を使ったのだと思いますが?」
それは分かる。そうでもなければあれだけの岩山を一度で吹き飛ばすことなどできなかっただろう。だがあのような強力な攻撃力を備えた魔本を持っている部下がいるという情報は聞いていなかった。
少なくとも今までにクーアイの部隊にはいなかったはずだ。
「この土地には珍しい黒髪……それに魔本」
遠目だったのでどのような魔本だったかは見えなかった。ただ少なくとも“武器系”なのは分かった。
「……あの武器、見たことがなかった」
「そうですね。何つうか細長くて小さな感じの。そんであの威力ですから、あのモルニエがどこかからスカウトしてきた武将では?」
いや、それにしては動きが素人臭かった。武将ならもっと機敏に動けていたはず。後方に位置取っていたから助かっていたが、アレが中央にいたのなら恐らく死んでいた可能性は高い。
「……まあいい。こちらの大勝だ。相手も一度帰国するだろうしな」
命が助かった兵たちも無傷ではない。重軽傷者がいるはず。それを考慮すれば戦えるのは150~200くらいといったところ。さすがにその数ではいくらクーアイ・タンタニータがいようが700を倒すことは容易ではない。
もし再戦してくるとしても一度帰国して戦力を増強してからだろう。その間にこちらはこの場から離れて戦力を増やしていけばいいだけの話。
「今日はもう攻めてこないだろう。野営の準備をしろ。明日はここから離れて北で暴れている賊を吸収する」
「へへへ、アンタについて行きゃ、いずれあのモルニエを討てるんだよな?」
「いずれ……な」
オレは賊たちにモルニエを討ちたければオレを雇えと言った。ちょうどクーアイ・タンタニータの実力を試したい手駒が欲しかったからだ。
しかしそれももう終わり。明日になればここに見切りをつけてまた新たな強者を探しに出かけよう。このオレの渇きを埋めてくれるほどの強者を……な。
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