セブンス・ワールド ~神に誘われてゲーム世界へ~

十本スイ

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 オレは周りにいる兵士たちを見回す。誰も彼もが傷つき顔を俯かせてまるで葬儀でもしているような雰囲気だ。
 まあ、無理も無い。明らかなる大敗を喫したんだから。かくいうオレもせっかくのデビュー戦でほとんど何もできなかったけど……。
 その中でやっぱりクーアイだけは悔しげに歯噛みして、先程の戦場を睨みつけていた。オレは彼女に近づく。

「な、なあ、兵たちもこんな状態だし、一度国に帰った方が……」
「できないっ!」
「え?」
「できるわけがないだろっ!」
「で、でもだって……」

 恐らく戦える者は見た感じ150~200といったところ。700の賊に対して頼りない数字だ。本来ならば逃げ帰るのが正しいはず。

「……お前は笑わないのか?」
「はい?」

 顔を俯かせプルプルと身体を震わせながら絞り出すような声音で聞いてくる。

「この惨状は……私のせいだ。私が相手を甘く見て考え無しに突っ込んだから」

 あ、それは自覚しているんだ。さすがにここで私は悪くないとか言おうものなら、このまま去ろうかなと思ってたけど。

「……まあ、笑えないよ」
「何故だ? 私のせいで多くの兵が死んだんだぞ! 何故笑わんっ!」

 クーアイが詰め寄ってくる。周りの兵たちも息を呑みオレたちを見つめる。

「……だって、お前…………泣いてんじゃん」
「っ!?」

 すかさずオレから離れて涙を拭うクーアイに、オレは苦笑を浮かべる。

「確かにこの状況は指揮官のお前の失敗だよな」
「う……」
「なあ、お前らもそう思うよな?」

 だがオレの問いに兵たちは無言を貫く。たとえそう思っていてもさすがに言葉にはできないか……。忠実な兵たちで驚きだ。

「けど、戦ってのはこういうこともあるんだろ?」
「……フジサキ」
「お前が教えてくれたんだぜ? 戦は何が起こるか分からねえってな」
「…………」
「お前の采配のせいで死んだ奴はいっぱいいるだろうさ。けどな、それを背負っていくのが指揮官ってもんなんじゃねえのか? 少なくとも、モルニエさんならそう言うと思うぞ。嘆くことよりまず先にやるべきことがあるんじゃねえの?」
「…………みんな」

 クーアイが兵たちを痛々しげに見る。そしてスッと頭を下げた。

「すまないっ! 私の判断のせいで仲間を犠牲にしてしまった! 許してくれとは言わない! 本当にすまなかったっ!」

 兵たちは互いに顔を見合わせキョトンとしている。まさかクーアイが謝罪すると思っていなかったのだろうか? 

「頭を上げて下さいクーアイ様!」
「そうですよ! 俺たちゃ、最初からあなたに命預けてんです!」
「その通り! 我らはクーアイ騎士団です! どこまでもお供致しますよ!」

 そんな言葉が飛び交う。

「お前たち……」

 クーアイの声が震えている。兵たちもすべてがクーアイの責任だとは思っていないのだろう。あの時、誰もが真っ直ぐに突っ込んでも賊如きに遅れは取らないという自負があったはずだ。だからこその特攻。
 しかしそれは無残にも単純な策にハマり敗北してしまった。殺された仲間も多い。自分たちにも非があるのだと分かっているからこそ、クーアイを責めることはしないのかもしれない。

「さて、んじゃどうする? このまま帰るか?」
「だ、だがお前が帰るべきだと言ったのではないか?」
「うん、まあな。けど、勝ちたいんだろ?」
「それはそうだが、この状況では……」
「だな。相手にもあんな策を使える奴がいるみてえだし、まともにぶつかってもこの数じゃ倒せない可能性の方が高え」
「ならやはり一度帰って補給を受けた方が……」
「けど、まともじゃねえ方法を使えば何とかなるかもよ?」
「……は?」

 オレはあることを思いついた。だがそれも一種の賭けには違いない。ただもし上手くいけば賊を殲滅することは可能。

「どうする? オレの策、聞いてみるか?」

 もし乗るなら早く準備したいからな。

「……勝てるのか?」
「それは何とも。けど負けっ放しはゲーマーとしても嫌なんでな。ちょいと可能性に賭けてみたくなった」
「…………お前たち、まだ戦えるか?」

 クーアイが兵たちに問う。兵たちも力強い笑みを浮かべて拳を高く突き上げる。やはりクーアイ騎士団。根性もすわっているようだ。

「フジサキ、話してくれ」

 オレは思いついた策を彼らに説明した。




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