除霊と妖狐

陽真

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友達成立/は?

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「よぉ!デカメガネ。朝から姉ちゃんとイチャイチャしてんじゃないぞ。つうか、なんで、姉ちゃんはあんなに整ってんのに、お前は冴えないんだよ」
クラスの一人が俺に絡んできた。
なんていうか、不良になりきれてない不良みたいだな。
名前は確か、えっと、えっと、文倉ふみくらだったったはず。
「そうなこと言われても、仕方ないよ。これが現実なんだから。文倉」
「確かにな、お前面白ぇ奴だな。あ、あと、俺の名前な文倉じゃなくて文庫ふみぐら文庫縁ふみぐらよりな。よろしく」
文倉、もとい、文庫ふみぐらは笑いながら言った。

ちょうどその時、始業のチャイムがなったため席についた。

「は~い。じゃあ、授業始めるよ。教科書五十四ページを、柚木さん読んで」
チャイムが鳴り終わるとすぐに国語担当の新井先生が教室に入って来た。
新井先生は見た目、とてもおっとりしていて学校中で人気がある。
「ちっ、せんせー、なんで私なんですか~」

「なんとなく、ね」
そんなおっとりした新井先生だけど、柚木のような生徒には少し厳しい、というか、言葉に有無を言わせない威圧感がある。
「はいはい、えっ~と、祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり‥‥」
読み終わると授業に飽きたようにメイク道具を広げメイクをし始めた。
「はい、ありがとう。これは平家物語ね。鎌倉時代後半に創られ‥‥‥」
読み聞かせをされている気分になる国語は正直、好きではない。
だけど、そのおかげでうるさい奴らがスヤスヤと眠ってくれるので助かっている。

そんな国語の時間が終わり、次の、二、三、四時間目もあっという間に過ぎて、お昼休みになった。

♦︎♦︎♦︎♦︎

「なぁ、デカメガネ‥‥‥、言い難いな。えっと、九条の家ってさ旧家なんだろ。家とかでけえんじゃねぇの」
いつもは、一人でお昼を食べている。
別に友だちがいない訳ではない、ただ、人間の友だちがいないだけだ。
でも、今日は珍しく二人で食べている。
こんな地味で根暗でクラスのボスに狙われている奴と一緒に食べるなんて、バカとしか言いようがない。
そんなバカは文庫縁ふみぐらより
なぜか、朝の一件以来、付き纏ってくる。

「さぁ。って言うか、何か用でもあるの?」
「いや、別に。友だちになったんだし良いだろ?用がなくても」
「‥‥‥友だち」
文庫ふみぐらの口から出た言葉にとても驚いてしまい、一瞬、口から声が出なかった。
「嫌だったか?俺、こんな成りだし、友だちいなくてさ。母さんから一度捕まえたら話すなって言われて来たから、つい。マジで嫌なら俺、九条に関わらないから」
「そう言うことなら、俺も構わないよ。少し言い過ぎたかな。俺も昔から友だち作るの下手で‥‥‥、だから嬉しい」

俺の顔は今、多分とても赤い。
人間に本当の意味で友だちって言われたのは何年振り、いや、初めてかもしれない。
寄ってくる人は、旧家の息子だからとか、俳優の九条來の息子らしいからとか。
自分の利益にしか目がいってない人ばかりだった。
そういう人ばかり見て来たから、利益のためだけに近づいて来たのかただ純粋に仲良くなりたいだけなのか判断できるようになった。
文庫ふみぐらの気持ちは後者だ。
だから、どんな顔をして良いのか全く分からない。

「へ~、類は友を呼ぶって本当なんだ」
感動的なムードになっていた俺の心を一瞬で冷めさせたのは他でもない柚木だった。
暇なのか、こいつ。
「おい、柚木。何が言いたい」
文庫ふみぐらは警戒するように声を低くした。
「だってさ、デカメガネと不良モドキだよ。マジウケるわ。どっちも、この世界にいらない存在じゃない?ろくに使えなさそうだし」
「いらない存在?ろくに使えない?‥‥‥お前だけには言われたくねぇよ。お前だって弱い奴しか狙わない、卑怯者だろうがよぉ。あ、確かに類は友を呼ぶだな。俺みたいなやつに関わってくるってことはお前も同じってことだろ?」
柚木は文庫ふみぐらからの思わぬ反論に、自信満々の顔を歪めていた。
クラスの視線は俺たちの方へ向いている。
柚木はここで下手に行動すれば、今まで築き上げて来た支配が一気に崩れることを懸念してか、さっきまでの勢いがない。

「あ、そうだ。あのさぁ、デカメガネ。お前ん家で、お泊まり会でもしようよ」
「「は?」」
どんな爆弾発言が出てくるのか、と思ったら斜め上をいく言葉が出ていた。
あまりの衝撃に文庫とハモってしまった。
「えっ、柚木なんで」
「そうだな~。なんか楽しそうだから。だってデカメガネん家ってさ、旧家なんだろ。気になるじゃん」
至極最もな理由を語るように言う。

マズイ、非常にマズイ。
家には裏稼業である除霊の秘密もあるし、父さんの個人情報がダダ漏れしかねない。
父さんは結婚してること、子供がいること、後は年齢くらいしか世に公表していない。
ここで柚木の強引さに負けたら大変なことになりそうな予感しかない。

「別に良いんじゃないの」
俺がフルで頭を回転させ、代案を考えていると耳元で誰かが発した。
振り向くと、またいつの間にか姉さんが立っていた。
クラスの中は俺たちと言うより、姉さんを見ていていて、中にはなぜか拝む人までいた。
人の姉を神扱いしないでいただきたい。
「姉さん、いつの間に、また」
「良いじゃない。それより、名前は‥‥‥柚木さんで良いのかな。家にお泊まり会しに来ても良いよ」
あまりの衝撃に発言に一瞬姉さんが何をいって言っているのか理解できなかった。
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