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兄さん登場
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「なんか、大変だな。あ、そうだ。九条、放課後、時間あるか?」
文庫が俺の方に手をおき、同情した目で見て来たと思ったら、いきなり聞いて来た。
「あるけど。何かあったっけ」
「あ、いや。ほら、俺、友達いなかったし、友達ん家に泊まりに行くなんて初めてだからさ、何を持って行けば良いか分かんなくて。俺の買い物ついでに遊びにいかないか?」
まさかの誘いに俺は一瞬、答えに困った。
「あ~、別にいいよ。行こう」
あ~!めちゃくちゃ上から目線みたいになんっちゃった。
俺が自分の言動に悩んでいると、文庫が目を輝かせていた。
全く気にしていないようだ。
「じゃあ、約束な!」
「うん」
今日一番の楽しみが出来てしまった。
♦︎♦︎♦︎♦︎
学校が終わり、俺と文庫は学校近くのショッピングセンターに来ていた。
「九条はさ、大勢にデカメガネとか言われて嫌じゃないのか?」
文庫が唐突に俺に聞いてきた。
「別に、あんまり考えたことなかったな。正直言われすぎて感じなくなってた」
「お前‥‥‥それどんだけ言われてんだよ。って、俺も言ってたうちの一人だしいえないけど」
俺の返しに文庫は自虐するように笑った。
「気にするなよ。文庫は俺を庇ってくれただろ。あんなの初めてだったから嬉しかった。ありがとう」
「おまっ‥‥‥!そんなことよく恥ずかしげもなく言えるな」
文庫は顔を真っ赤にして反論してきた。
俺にはあんまりわかんない。
だって、本当の友だちなんてできたことないから。
「そうなのかな?でも、母さんに友だちには素直に言いなさいって教えてもらったからな」
「素直すぎるのもよくねぇーよ。俺の心臓がもたん」
「あ、ごめんな」
「まぁ、いいや。で、どこから行く?」
それから文庫といろんなお店を周り、あらかた買い物が終わると俺たちはゲームセンターに来ていた。
「ゲーセンって何からする?」
文庫が唐突に聞いてきた。
「ん~、やっぱりクレンゲームじゃないの?」
「俺はコインゲームだな」
「コインゲームってしたことないんだよな」
「マジでっ!やろうぜ、教えてやるから」
「あ、あぁ」
文庫の嬉しそうな顔に俺はタジタジになってしまった。
「あ、おーい。怜~!」
「で、文庫ここからどうするんだ?」
「これはな。ここに入れて、きたら押す」
「なるほどな」
「れ~い!」
さっきから名前を呼ばれている気がするが幻聴だ。
今、兄さんと会えばブラコンが発動してしまう。
いや、兄さんの場合は常時発動中か。
「なぁ、九条。お前、あれ無視してるのか?それとも単に聞こえてないだけ?」
文庫は我慢がきたように俺に聞いた。
文庫にも聞こえるってことは幻聴じゃないか。
はぁ、あれ兄さんの声だし、俺のことだよな。
行くのがつらい‥‥‥。
「やっぱり聞こえるんだよな」
「なに言ったんだ?」
俺の呟きに文庫は不思議そうに聞いてきた。
「れ~い。無視するなんて酷いじゃないか」
「‥‥‥兄さんだよね。やっぱり」
俺はやっぱり幻聴じゃないことにがっかりしながら兄さんの方を向いた。
「なぁ、九条。この人ってお前の兄ちゃん?」
「うん。まあ」
「マジか!イケメン過ぎるだろ。お前ん家どんな血してんの?」
文庫は驚いたように目を見開き言った。
「えっと、君は‥‥‥あ、怜のお友達かな?」
「あ、はい。文庫縁といいます」
「縁くんね。よろしく」
兄さんは文庫に微笑みながらいうと、周りから短い悲鳴みたいなものがちらほら聞こえる。
うちの兄は殺人鬼かな?
「で、兄さんこんなところで何してるの?」
「え?買い物、あと家の用」
「あ、そうなんだ」
兄さんが家の用という時は大体、除霊の仕事だ。
基本的に除霊する時は誰にも姿を現さない。
いつも現れる時は顔に狐の面をつけて行う。
「あの、お兄さんは何してる方なんですか?」
「僕?僕は大学生だよ。結大学に通ってるんだ」
「めっちゃ名門じゃないっすか!」
「確かに学校は名門って言われてるけど、僕はそんなことないよ。全然頭良くないって」
兄さんはないない、と手を振りながら苦笑いしながら言った。
その様子にまた周りから短い悲鳴が上がる。
いい加減にしてくれ兄さん。
「で、兄さん。買い物終わったの?」
「あ、うん。終わったよ。今から家の用済ませなきゃだけどね」
ね、ってこんなとこで油打ってる暇ないでしょ!
本当に‥‥‥、もう。
「兄さん早く家の用を済ませて来て。急ぎじゃないの?」
「多少なら待ってくれるかな。今回はそこまで強力じゃなくて聞き分け良さそうだから」
「あ、そうなんだ。って、そういう問題じゃないからね」
兄さんの余裕そうな表情が俺を逆に焦らせる。
多分、式神からの情報だから正確なことなんだろうけど焦るよ。
「そうだね、じゃあ行こうかな」
「うん、行ってらっしゃい」
兄さんをやっとのことで見送ると俺は深いため息をついた。
「なぁ、九条。何が強力なんだ?」
「え?」
「あ、いや、さっき話してただろ。聞き分けがいいとか、強力じゃないとか。なんの話かなと思って」
文庫は不思議そうに聞いてくる。
忘れてた‥‥‥。文庫がいたこと。
ど直球で除霊に関してのことは話していないはずだから、うまく誤魔化せば切り抜けられるはず。
俺は頭をフル回転させ、誤魔化しを考えた。
「えっと、洗剤だよ」
「ん?洗剤?」
「そう洗剤。今、母さんが掃除にハマっててさ、普段しないようなことまでするから、カビとか凄いとこ取りかかろうとするんだけど、普通の洗剤じゃ取れなくて。で、兄さんに強力なカビ取り剤買って来てって頼んだんだよ」
うん。我ながらに酷い誤魔化し方だ。
なんだよ、カビ取り剤って。
まぁ、口にした以上違ったとは言えないけど。
「なるほどな。確かにカビって聞き分け悪いのあるって母さんが言ってたな」
納得顔で文庫が言った。
ご、誤魔化せた?
え?なんであれで誤魔化せるの?
「そうなんだ。ゲームの続きでもしようぜ」
「あぁ。そうだな。コインゲーンの次はクレンゲームだな」
「あ、そうだ、コツとか教えろよ」
お金を入れ景品と睨めっこしている文庫が言った。
「コツって言われてもなぁ。俺もあんまり得意なわけじゃないし」
「いいから、いいから」
文庫に言われなんとなくで教えると、最初は苦戦していた文庫はコツを掴んだのか面白いように景品を取っていく。
ショッピングセンターを出た俺と文庫は大量の景品をとった文庫は買った買い物と景品と大量に抱えて帰っていった。
「じゃあな」
文庫が俺の方に手をおき、同情した目で見て来たと思ったら、いきなり聞いて来た。
「あるけど。何かあったっけ」
「あ、いや。ほら、俺、友達いなかったし、友達ん家に泊まりに行くなんて初めてだからさ、何を持って行けば良いか分かんなくて。俺の買い物ついでに遊びにいかないか?」
まさかの誘いに俺は一瞬、答えに困った。
「あ~、別にいいよ。行こう」
あ~!めちゃくちゃ上から目線みたいになんっちゃった。
俺が自分の言動に悩んでいると、文庫が目を輝かせていた。
全く気にしていないようだ。
「じゃあ、約束な!」
「うん」
今日一番の楽しみが出来てしまった。
♦︎♦︎♦︎♦︎
学校が終わり、俺と文庫は学校近くのショッピングセンターに来ていた。
「九条はさ、大勢にデカメガネとか言われて嫌じゃないのか?」
文庫が唐突に俺に聞いてきた。
「別に、あんまり考えたことなかったな。正直言われすぎて感じなくなってた」
「お前‥‥‥それどんだけ言われてんだよ。って、俺も言ってたうちの一人だしいえないけど」
俺の返しに文庫は自虐するように笑った。
「気にするなよ。文庫は俺を庇ってくれただろ。あんなの初めてだったから嬉しかった。ありがとう」
「おまっ‥‥‥!そんなことよく恥ずかしげもなく言えるな」
文庫は顔を真っ赤にして反論してきた。
俺にはあんまりわかんない。
だって、本当の友だちなんてできたことないから。
「そうなのかな?でも、母さんに友だちには素直に言いなさいって教えてもらったからな」
「素直すぎるのもよくねぇーよ。俺の心臓がもたん」
「あ、ごめんな」
「まぁ、いいや。で、どこから行く?」
それから文庫といろんなお店を周り、あらかた買い物が終わると俺たちはゲームセンターに来ていた。
「ゲーセンって何からする?」
文庫が唐突に聞いてきた。
「ん~、やっぱりクレンゲームじゃないの?」
「俺はコインゲームだな」
「コインゲームってしたことないんだよな」
「マジでっ!やろうぜ、教えてやるから」
「あ、あぁ」
文庫の嬉しそうな顔に俺はタジタジになってしまった。
「あ、おーい。怜~!」
「で、文庫ここからどうするんだ?」
「これはな。ここに入れて、きたら押す」
「なるほどな」
「れ~い!」
さっきから名前を呼ばれている気がするが幻聴だ。
今、兄さんと会えばブラコンが発動してしまう。
いや、兄さんの場合は常時発動中か。
「なぁ、九条。お前、あれ無視してるのか?それとも単に聞こえてないだけ?」
文庫は我慢がきたように俺に聞いた。
文庫にも聞こえるってことは幻聴じゃないか。
はぁ、あれ兄さんの声だし、俺のことだよな。
行くのがつらい‥‥‥。
「やっぱり聞こえるんだよな」
「なに言ったんだ?」
俺の呟きに文庫は不思議そうに聞いてきた。
「れ~い。無視するなんて酷いじゃないか」
「‥‥‥兄さんだよね。やっぱり」
俺はやっぱり幻聴じゃないことにがっかりしながら兄さんの方を向いた。
「なぁ、九条。この人ってお前の兄ちゃん?」
「うん。まあ」
「マジか!イケメン過ぎるだろ。お前ん家どんな血してんの?」
文庫は驚いたように目を見開き言った。
「えっと、君は‥‥‥あ、怜のお友達かな?」
「あ、はい。文庫縁といいます」
「縁くんね。よろしく」
兄さんは文庫に微笑みながらいうと、周りから短い悲鳴みたいなものがちらほら聞こえる。
うちの兄は殺人鬼かな?
「で、兄さんこんなところで何してるの?」
「え?買い物、あと家の用」
「あ、そうなんだ」
兄さんが家の用という時は大体、除霊の仕事だ。
基本的に除霊する時は誰にも姿を現さない。
いつも現れる時は顔に狐の面をつけて行う。
「あの、お兄さんは何してる方なんですか?」
「僕?僕は大学生だよ。結大学に通ってるんだ」
「めっちゃ名門じゃないっすか!」
「確かに学校は名門って言われてるけど、僕はそんなことないよ。全然頭良くないって」
兄さんはないない、と手を振りながら苦笑いしながら言った。
その様子にまた周りから短い悲鳴が上がる。
いい加減にしてくれ兄さん。
「で、兄さん。買い物終わったの?」
「あ、うん。終わったよ。今から家の用済ませなきゃだけどね」
ね、ってこんなとこで油打ってる暇ないでしょ!
本当に‥‥‥、もう。
「兄さん早く家の用を済ませて来て。急ぎじゃないの?」
「多少なら待ってくれるかな。今回はそこまで強力じゃなくて聞き分け良さそうだから」
「あ、そうなんだ。って、そういう問題じゃないからね」
兄さんの余裕そうな表情が俺を逆に焦らせる。
多分、式神からの情報だから正確なことなんだろうけど焦るよ。
「そうだね、じゃあ行こうかな」
「うん、行ってらっしゃい」
兄さんをやっとのことで見送ると俺は深いため息をついた。
「なぁ、九条。何が強力なんだ?」
「え?」
「あ、いや、さっき話してただろ。聞き分けがいいとか、強力じゃないとか。なんの話かなと思って」
文庫は不思議そうに聞いてくる。
忘れてた‥‥‥。文庫がいたこと。
ど直球で除霊に関してのことは話していないはずだから、うまく誤魔化せば切り抜けられるはず。
俺は頭をフル回転させ、誤魔化しを考えた。
「えっと、洗剤だよ」
「ん?洗剤?」
「そう洗剤。今、母さんが掃除にハマっててさ、普段しないようなことまでするから、カビとか凄いとこ取りかかろうとするんだけど、普通の洗剤じゃ取れなくて。で、兄さんに強力なカビ取り剤買って来てって頼んだんだよ」
うん。我ながらに酷い誤魔化し方だ。
なんだよ、カビ取り剤って。
まぁ、口にした以上違ったとは言えないけど。
「なるほどな。確かにカビって聞き分け悪いのあるって母さんが言ってたな」
納得顔で文庫が言った。
ご、誤魔化せた?
え?なんであれで誤魔化せるの?
「そうなんだ。ゲームの続きでもしようぜ」
「あぁ。そうだな。コインゲーンの次はクレンゲームだな」
「あ、そうだ、コツとか教えろよ」
お金を入れ景品と睨めっこしている文庫が言った。
「コツって言われてもなぁ。俺もあんまり得意なわけじゃないし」
「いいから、いいから」
文庫に言われなんとなくで教えると、最初は苦戦していた文庫はコツを掴んだのか面白いように景品を取っていく。
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