除霊と妖狐

陽真

文字の大きさ
4 / 8

兄さん登場

しおりを挟む
「なんか、大変だな。あ、そうだ。九条、放課後、時間あるか?」
文庫ふみぐらが俺の方に手をおき、同情した目で見て来たと思ったら、いきなり聞いて来た。
「あるけど。何かあったっけ」
「あ、いや。ほら、俺、友達いなかったし、友達ん家に泊まりに行くなんて初めてだからさ、何を持って行けば良いか分かんなくて。俺の買い物ついでに遊びにいかないか?」
まさかの誘いに俺は一瞬、答えに困った。
「あ~、別にいいよ。行こう」
あ~!めちゃくちゃ上から目線みたいになんっちゃった。
俺が自分の言動に悩んでいると、文庫ふみぐらが目を輝かせていた。
全く気にしていないようだ。

「じゃあ、約束な!」
「うん」
今日一番の楽しみが出来てしまった。

♦︎♦︎♦︎♦︎

学校が終わり、俺と文庫ふみぐらは学校近くのショッピングセンターに来ていた。
「九条はさ、大勢にデカメガネとか言われて嫌じゃないのか?」
文庫ふみぐらが唐突に俺に聞いてきた。
「別に、あんまり考えたことなかったな。正直言われすぎて感じなくなってた」
「お前‥‥‥それどんだけ言われてんだよ。って、俺も言ってたうちの一人だしいえないけど」
俺の返しに文庫ふみぐらは自虐するように笑った。
「気にするなよ。文庫ふみぐらは俺を庇ってくれただろ。あんなの初めてだったから嬉しかった。ありがとう」
「おまっ‥‥‥!そんなことよく恥ずかしげもなく言えるな」
文庫ふみぐらは顔を真っ赤にして反論してきた。
俺にはあんまりわかんない。
だって、本当の友だちなんてできたことないから。
「そうなのかな?でも、母さんに友だちには素直に言いなさいって教えてもらったからな」
「素直すぎるのもよくねぇーよ。俺の心臓がもたん」
「あ、ごめんな」
「まぁ、いいや。で、どこから行く?」

それから文庫ふみぐらといろんなお店を周り、あらかた買い物が終わると俺たちはゲームセンターに来ていた。
「ゲーセンって何からする?」
文庫ふみぐらが唐突に聞いてきた。
「ん~、やっぱりクレンゲームじゃないの?」
「俺はコインゲームだな」
「コインゲームってしたことないんだよな」
「マジでっ!やろうぜ、教えてやるから」
「あ、あぁ」
文庫の嬉しそうな顔に俺はタジタジになってしまった。

「あ、おーい。怜~!」
「で、文庫ふみぐらここからどうするんだ?」
「これはな。ここに入れて、きたら押す」
「なるほどな」
「れ~い!」
さっきから名前を呼ばれている気がするが幻聴だ。
今、兄さんと会えばブラコンが発動してしまう。
いや、兄さんの場合は常時発動中か。
「なぁ、九条。お前、あれ無視してるのか?それとも単に聞こえてないだけ?」
文庫ふみぐらは我慢がきたように俺に聞いた。
文庫ふみぐらにも聞こえるってことは幻聴じゃないか。
はぁ、あれ兄さんの声だし、俺のことだよな。
行くのがつらい‥‥‥。

「やっぱり聞こえるんだよな」
「なに言ったんだ?」
俺の呟きに文庫は不思議そうに聞いてきた。
「れ~い。無視するなんて酷いじゃないか」
「‥‥‥兄さんだよね。やっぱり」
俺はやっぱり幻聴じゃないことにがっかりしながら兄さんの方を向いた。
「なぁ、九条。この人ってお前の兄ちゃん?」
「うん。まあ」
「マジか!イケメン過ぎるだろ。お前ん家どんな血してんの?」
文庫ふみぐらは驚いたように目を見開き言った。
「えっと、君は‥‥‥あ、怜のお友達かな?」
「あ、はい。文庫縁ふみぐらよりといいます」
「縁くんね。よろしく」
兄さんは文庫ふみぐらに微笑みながらいうと、周りから短い悲鳴みたいなものがちらほら聞こえる。
うちの兄は殺人鬼かな?

「で、兄さんこんなところで何してるの?」
「え?買い物、あと家の用」
「あ、そうなんだ」
兄さんが家の用という時は大体、除霊の仕事だ。
基本的に除霊する時は誰にも姿を現さない。
いつも現れる時は顔に狐の面をつけて行う。
「あの、お兄さんは何してる方なんですか?」
「僕?僕は大学生だよ。結大学に通ってるんだ」
「めっちゃ名門じゃないっすか!」
「確かに学校は名門って言われてるけど、僕はそんなことないよ。全然頭良くないって」
兄さんはないない、と手を振りながら苦笑いしながら言った。
その様子にまた周りから短い悲鳴が上がる。
いい加減にしてくれ兄さん。

「で、兄さん。買い物終わったの?」
「あ、うん。終わったよ。今から家の用済ませなきゃだけどね」
ね、ってこんなとこで油打ってる暇ないでしょ!
本当に‥‥‥、もう。
「兄さん早く家の用を済ませて来て。急ぎじゃないの?」
「多少なら待ってくれるかな。今回はそこまで強力じゃなくて聞き分け良さそうだから」
「あ、そうなんだ。って、そういう問題じゃないからね」
兄さんの余裕そうな表情が俺を逆に焦らせる。
多分、式神からの情報だから正確なことなんだろうけど焦るよ。

「そうだね、じゃあ行こうかな」
「うん、行ってらっしゃい」
兄さんをやっとのことで見送ると俺は深いため息をついた。
「なぁ、九条。何が強力なんだ?」
「え?」
「あ、いや、さっき話してただろ。聞き分けがいいとか、強力じゃないとか。なんの話かなと思って」
文庫ふみぐらは不思議そうに聞いてくる。
忘れてた‥‥‥。文庫ふみぐらがいたこと。
ど直球で除霊に関してのことは話していないはずだから、うまく誤魔化せば切り抜けられるはず。
俺は頭をフル回転させ、誤魔化しを考えた。
「えっと、洗剤だよ」
「ん?洗剤?」
「そう洗剤。今、母さんが掃除にハマっててさ、普段しないようなことまでするから、カビとか凄いとこ取りかかろうとするんだけど、普通の洗剤じゃ取れなくて。で、兄さんに強力なカビ取り剤買って来てって頼んだんだよ」
うん。我ながらに酷い誤魔化し方だ。
なんだよ、カビ取り剤って。
まぁ、口にした以上違ったとは言えないけど。

「なるほどな。確かにカビって聞き分け悪いのあるって母さんが言ってたな」
納得顔で文庫ふみぐらが言った。
ご、誤魔化せた?
え?なんであれで誤魔化せるの?
「そうなんだ。ゲームの続きでもしようぜ」
「あぁ。そうだな。コインゲーンの次はクレンゲームだな」
「あ、そうだ、コツとか教えろよ」
お金を入れ景品と睨めっこしている文庫ふみぐらが言った。
「コツって言われてもなぁ。俺もあんまり得意なわけじゃないし」
「いいから、いいから」
文庫ふみぐらに言われなんとなくで教えると、最初は苦戦していた文庫はコツを掴んだのか面白いように景品を取っていく。

ショッピングセンターを出た俺と文庫ふみぐらは大量の景品をとった文庫ふみぐらは買った買い物と景品と大量に抱えて帰っていった。
「じゃあな」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

ある辺境伯の後悔

だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。 父親似だが目元が妻によく似た長女と 目元は自分譲りだが母親似の長男。 愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。 愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

元恋人が届けた、断りたい縁談

待鳥園子
恋愛
シュトルム辺境伯の末娘ソフィに隣国の帝国第二皇子から届けられた『縁談』の使者は、なんと元恋人のジョサイアだった。 手紙ひとつで別れることになったソフィは、素直になれずジョサイアから逃げ回る。 「私に届けなければ、彼は帝国に帰ることが出来ない」 そう思いようやく書状を受け取ろうと決意したソフィに、ジョサイアは何かを言い掛けて!?

処理中です...