転生なの?召喚なの?

陽真

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第二章

対策

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「ナリアス、フィークス。お前たちはこの件どうみる」
父様は兄様とフィークスに挑戦的な目をして聞いていた。
時期国王、宰相としての実力を測りたいのだろう。
「そうですね、イエヤスという人物の話が根拠のあるものなのかを調べる事が先でしよう」
「ですが、調べるのには限界があるものもあります」
兄様が最も先にすべきことを答えると、続いてナリアスがこの調査においての問題点を提示した。

「あぁ。異界やゾウもどきといったか、その生き物をについても調べることは現状不可能か……」
「いえ、陛下、図書館に所蔵してある書籍を探してはいかがでしょう」
「そうだな、決定的なものはなくともなにか手がかりになるものがあるかもしれない。あ、ジングリアに魔法生物についての知識も聞くとしよう」
「それがよろしいかと思います。あの者よりも分野において秀でる者はいないでしょうから」
兄様の言葉に父様とナタータ宰相は次々に話を展開させていく。
この様子だとなんだかあっという間に解決出来そうな気がしてくる。
いや、そう思えてくるが実際はとんでもない時間をかけることになるのだろう。

「ナタータ宰相、この件に割ける人員はどのくらいいだ?」
父様が少し考え込むとナタータ宰相に質問をしていた。
この件は短期間で解決するものではないだろう。
鍵を握っているイエヤスさんが一体何者で、ゾウもどきのナオトラ共々どんな脅威になり得るか分からない現状で軽く調べただけというのは害の蕾を残したままにしかねないのだ。
「そうですね、長期的な問題と考えれば最低でも五十人は必要でしょう。人選をおこないますか?」
「あぁ。任せても良いか?」
「陛下のご期待に添えるように人選いたします」
「任せた」
この人選が完了するとこの件は本格的に調査が行われる。
俺が口を出せることではないが、分からないことが多いこの問題を調査し解決するのには相当の根気がいるだろう。
イエヤスさんから聞いた父様たちに話していない情報を伝えてもいいがそれは俺が前世持ちであることを暴露されることと同じなのだ。
だから、話すことはきっとないだろう……。

「……父上、この件人選が終わった後、ハルヤに任せてみるのはいかがでしょう」
俺が考え込んでいると、兄様が唐突にそんなことを言った。
「ほぅ。その理由を聞かせてもらおうか」
「はい。この件はハルヤが遭遇した人物が発端となっています。遭遇した当事者なのですから、私たちでは見落としてしまうものを拾い解決が早まるのではないかと考えます」
「確かに一理あるな。しかし、ハルヤはこの世界で過ごした時が短い。不慣れなことも多いだろう。そこはどう補うつもりだ?」
俺の意見は聞く気がないのか、二人はどんどんと話を展開させていく。
もう一度言うぞ、俺の意見は……!?

「そうですね……フライレ公爵家の人間をつけるのはどうでしょうか。王家との縁戚関係にありますし、ハルヤ、第二王子の存在が露呈することもないでしょう」
「うむ……フレイレ公爵家か……。あの公爵家にはハルヤと歳の近い者もいるし話をつけてみよう。いい案だ、ナリアス」
「ありがとうございます。本来ならハルヤの支えとして参加したいのですが……公務がありますし…」
父様と兄様の会話に出てくるフレイレ公爵家という家名に若干の聞き覚えを感じつつ、本人無視で進んでいく話し合いをぼーっと見つめていた。

「あぁ。いずれにしろ参加は認めんぞ。いい加減に弟離れしたらどうだ?」
「父上には言われたくありません。ハルヤを溺愛しているのは父上も同じでしょう」
「私は公務と私事は分けている」
「私も公務はしっかりとこなしているではありませんか。もしハルヤと共に参加する余裕がありましたら、参加を認めて貰えますか?」
食い入るように兄様が言うと父様は呆れた表情で溜息をつき、手で頭を押さえた。
「言っておくがナリアス、お前にはそんな余裕は無いはずだぞ。外交、学業、それに加えて国内での公務。……作れるものなら作ってみなさい。ただし、ひとつたりとも中途半端にすることは許さないぞ」
「分かっております。私はこの国の王太子ですから」
あまりの食入り方に父様も一度は頭を抱えたものの、試して見ようという結論に達したようだった。
兄様はそんな父様の言葉の意味するところに気がついたのか、真剣な表情で答えていた。

今を担う現国王と未来を担う次期国王の緊迫したやり取りに一瞬空気に飲まれそうになったが、ふと、この話の元がなんだったのかを思い出す。
……俺だ……。
兄様は俺と共にこの問題を解決したいと望んでいる。
父様は兄様にそんな余裕はなく、やりたいのであれば全てを完璧にこなした上で、と言っている。
忘れているかもしれないが、俺はこの件について賛同も拒否もしてないからね…!
だけど…この状況でしかも今更、言える訳もなく……。

「陛下、ナリアス殿下。ハルヤ殿下のお心をお聞きになるのをお忘れでございますよ」
俺の意見はもうなしかと思っているとナタータ宰相が気がついたのか助け舟を出してくれた。
「そうだったな。すまない、ハルヤ」
「ハルヤ、勝手に話を進めてごめんね」
頭を撫でながら謝る兄様に若干呆れつつ、仕方ないかと思い直すことにした。
確かにここまで拗らせたのは俺のせいだけど、その前にはこの国の安寧を思ったことがはじまりだ。
そんな人たちに何も言えないよな。
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