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俺は次の日から、ヒューリを起こす為早起きした。
逆を言えば、その目的がなければ早起きなんて出来なかったかもしれない。ヒューリ様々だ。
だが、ヒューリは自分でも低血圧で起きれないと言っていた通り、大きな音を立てても、体を揺すっても起きない。なんて厄介なんだ。
どうしたら起きてくれるのか困った俺は、少々乱暴だが布団を剥ぎベッドから落としてみた。
すると、ヒューリはやっと目を覚ましてくれた。
何処か痛めていないか心配になるが、遅刻しないだけ良いと思いたい。
「おはよ…。」
ヒューリは、ベッドから落ちた衝撃は無かったかのように、もそりと起きる。まだ眠そうだ。
「おはよう。早く準備して朝ごはん食べに行こうぜ。」
「早く早く」と急かす。
が、ヒューリはまだ頭がぼーっとしているのか動作が遅い。そして俺を見つめて睨む。
「着替えるんだけど。」
「あ、あぁそっか、悪い。リビングで待ってる。」
俺は慌ててヒューリの寝室を出た。
また寝なきゃ良いんだけど…。
心配は無用だったらしく、無事着替えを済ませてヒューリが部屋から出てくる。
目も頭もスッキリ覚めたようだ。
その後、一緒に朝食を食べて、マクビルとテオルドと合流し学園に行った。
俺達が学園に着くと、ちらちらとこっちを見てくる生徒達がいた。
変な感じでいると、教室の近くにセレス兄さんがいた。
「ルシオン、良いかな。」
真剣な顔をしてセレス兄さんが近づいてくる。
いつも笑顔なのにどうしたんだろう。珍しくセレス兄さんが言い淀む。
「…まずい事になった。一緒に来てくれ。」
俺を連れてどこかに歩き出す。
まずいって言ってたけど、俺なにかやらかした?
グレース王子の髪をボタンで痛め付けたから?やっぱり断罪されるのか?
それとも、可憐な女子生徒を転ばせてしまったから、集団リンチ?セレス兄さんって…もしかしてリビアンの事を…。
それとも……俺の中身がルシオンじゃないとバレた?ん?ルシオンじゃないなら誰だ、と問われると前世の事を信じてもらえないだろうし…。
「殿下、入ります。」
考え事をしていて解らなかったが、目的地に着いたようだ。
セレス兄さんは大きく重厚そうな扉を開ける。
と中に居たのは、エルーシ殿下と義父と、見たことが無い人達が二人。
白い髭が立派なじいさんと、髪が長く美形で男らしい色気がある男性がいた。
エルーシ殿下は、執務机らしい席に座っていた。椅子から立ち上がり、俺達を応接用のソファへと促す。
「ルシオン、まず座ろうか。」
「はい。」
義父も居るのだから、俺は叱られるのだろうと覚悟し、緊張して手が震える。もう1つの手で何とか抑えた。
俺の両隣にセレス兄さん、義父が座り、俺の前には髭じいさんが座り隣に、長髪のイケメンが座った。
エルーシ殿下は一人席の上座だ。
「ルシオン、ここでもう一度魔法属性を調べさせて欲しい。」
エルーシ殿下に言われ、俺は無言のまま頷く。
髭じいさんがテーブルの上に、バレーボール位の水晶玉を置く。
昨日と同じように俺はその水晶玉に手をかざす。
水晶玉には、同じく白い煙から次第に黒くなっていき渦を巻く。『闇』属性だ。
その黒い煙が水晶玉の中に充満したかと思うと、今度は中央から光が差し、暗かった闇が晴れるように眩しくなる。そして昨日のように水晶玉がほんのり暖かい。
「やはり『光』属性ですね。」
長髪のイケメンが言う。声もカッコいいんだ…と場違いにも感動してしまった。
「そうか…。光栄な事だが…これから大変になるな。」
そう義父は言って俺の頭に優しく手を置く。
「大丈夫ですよ。わしらが付いておる。」
髭じいさんは優しそうに微笑む。イイ人そう。
「当面は、学園内外に漏れないようにしてあります。そして、魔力をコントロール出来るようにフレス殿にお願いしてあります。」
エルーシ殿下は義父に説明した。
フレス殿というのは白髭のじいさんの事らしい。
ただ事ではない状況だと思い始めてきた。
俺に解るのは、叱られる訳じゃないって事だけ。
「あの…俺は、何かやらかしたんですか?」
それにセレス兄さんが説明してくれた。
「ルシオン、『光』属性がとても貴重だというのは知ってるよね?存在だけでも数は少なく、国の保護対象だ。」
は?ゲームにそんな話あったっけ?
「『光』属性は、人のどんな傷も癒せる。だが魔力を使う分、命に関わってくる。」
自分の魔力を使って魔法を使う為、魔力が無くなれば死ぬ可能性があるらしい。
それはどんな魔法だとしても同じ事なんだけど…。
どうして保護対象者になるのか?
「人の傷は癒せても…自分で自分の傷は癒せない。もし、危害を加えられ…ルシオンが命に関わる大怪我や病気になれば…。」
セレス兄さんが悲しそうな顔をして言う為、その先は解ってしまう。
「でも、そんな大怪我や病気なんてしなければ大丈夫だと思う…けど…。俺、丈夫だし。剣術も習ってるし…。」
えへへと、笑うしかない。
「それもそうだが、『光』属性と繋がりを持ちたいという貴族達が媚びてくるだろな。」
エルーシ殿下は、嫌そうに言い放つ。
「そうです。それもあって保護対象なのですよ。」
じいさんは自分の髭を触りながら言う。
なるほど…、だから大変な事になったと言うわけか。俺は何も変わってないのに、周りが変わってしまうのか。
悲しい事だ。
「学園に在籍中はフレス殿に魔法を教えて貰ってくれ。彼は魔法省の長で教授だ。」
おぉぉ、やっぱり偉い人だったんだな。
「よろしくお願いします。」
俺は髭じいさんに頭を下げる。
「うむ。まだまだわしも現役だからの。それに、ネフィルも力になってくれるだろう。」
髭じいさんは、隣に座っている長髪のイケメンの背中を叩く。
「もう一人の『光』属性はどうされるんですか?」
義父がエルーシ殿下に聞いていた。
もう一人って事は、リビアンの事だよな?
ゲーム通りに『光』属性があるんだな。良かった。
「彼女にも学んで貰いますが…困ったことに、自分で『光』属性だと言いふらしていて………頭が痛くなる。」
エルーシ殿下は頭を抑えてしまった。
「だが、そのお陰でルシオンの事は秘密に出来ました。」
セレス兄さんは嬉しそうに俺の肩を抱く。
「お陰って、ど、どういう事?」
綺麗な笑顔のセレス兄さんに聞いてみる。
「入学式の日にルシオンに、嫌がらせをしかけた女が居ただろ?そいつが、自分は光属性だから特別なのよ、とか、神のような存在なんだから崇めろ、とか………。何であいつが光属性なんだ!」
はぁはぁはぁ………とセレス兄さんの息が荒い。
「そんな訳で、自分で言いふらしてくれたお陰でルシオンの事は学園内でも知っている者はクラスメイトくらいだよ。けど、皆ルシオンの為ならって口を閉ざしてくれてる。」
そ、そうだったのか。クラスの皆には感謝だな。
皆には嫌われていたと思っていたから凄く嬉しい。
俺は自然と笑顔になって、やっと緊張感が薄れた。
逆を言えば、その目的がなければ早起きなんて出来なかったかもしれない。ヒューリ様々だ。
だが、ヒューリは自分でも低血圧で起きれないと言っていた通り、大きな音を立てても、体を揺すっても起きない。なんて厄介なんだ。
どうしたら起きてくれるのか困った俺は、少々乱暴だが布団を剥ぎベッドから落としてみた。
すると、ヒューリはやっと目を覚ましてくれた。
何処か痛めていないか心配になるが、遅刻しないだけ良いと思いたい。
「おはよ…。」
ヒューリは、ベッドから落ちた衝撃は無かったかのように、もそりと起きる。まだ眠そうだ。
「おはよう。早く準備して朝ごはん食べに行こうぜ。」
「早く早く」と急かす。
が、ヒューリはまだ頭がぼーっとしているのか動作が遅い。そして俺を見つめて睨む。
「着替えるんだけど。」
「あ、あぁそっか、悪い。リビングで待ってる。」
俺は慌ててヒューリの寝室を出た。
また寝なきゃ良いんだけど…。
心配は無用だったらしく、無事着替えを済ませてヒューリが部屋から出てくる。
目も頭もスッキリ覚めたようだ。
その後、一緒に朝食を食べて、マクビルとテオルドと合流し学園に行った。
俺達が学園に着くと、ちらちらとこっちを見てくる生徒達がいた。
変な感じでいると、教室の近くにセレス兄さんがいた。
「ルシオン、良いかな。」
真剣な顔をしてセレス兄さんが近づいてくる。
いつも笑顔なのにどうしたんだろう。珍しくセレス兄さんが言い淀む。
「…まずい事になった。一緒に来てくれ。」
俺を連れてどこかに歩き出す。
まずいって言ってたけど、俺なにかやらかした?
グレース王子の髪をボタンで痛め付けたから?やっぱり断罪されるのか?
それとも、可憐な女子生徒を転ばせてしまったから、集団リンチ?セレス兄さんって…もしかしてリビアンの事を…。
それとも……俺の中身がルシオンじゃないとバレた?ん?ルシオンじゃないなら誰だ、と問われると前世の事を信じてもらえないだろうし…。
「殿下、入ります。」
考え事をしていて解らなかったが、目的地に着いたようだ。
セレス兄さんは大きく重厚そうな扉を開ける。
と中に居たのは、エルーシ殿下と義父と、見たことが無い人達が二人。
白い髭が立派なじいさんと、髪が長く美形で男らしい色気がある男性がいた。
エルーシ殿下は、執務机らしい席に座っていた。椅子から立ち上がり、俺達を応接用のソファへと促す。
「ルシオン、まず座ろうか。」
「はい。」
義父も居るのだから、俺は叱られるのだろうと覚悟し、緊張して手が震える。もう1つの手で何とか抑えた。
俺の両隣にセレス兄さん、義父が座り、俺の前には髭じいさんが座り隣に、長髪のイケメンが座った。
エルーシ殿下は一人席の上座だ。
「ルシオン、ここでもう一度魔法属性を調べさせて欲しい。」
エルーシ殿下に言われ、俺は無言のまま頷く。
髭じいさんがテーブルの上に、バレーボール位の水晶玉を置く。
昨日と同じように俺はその水晶玉に手をかざす。
水晶玉には、同じく白い煙から次第に黒くなっていき渦を巻く。『闇』属性だ。
その黒い煙が水晶玉の中に充満したかと思うと、今度は中央から光が差し、暗かった闇が晴れるように眩しくなる。そして昨日のように水晶玉がほんのり暖かい。
「やはり『光』属性ですね。」
長髪のイケメンが言う。声もカッコいいんだ…と場違いにも感動してしまった。
「そうか…。光栄な事だが…これから大変になるな。」
そう義父は言って俺の頭に優しく手を置く。
「大丈夫ですよ。わしらが付いておる。」
髭じいさんは優しそうに微笑む。イイ人そう。
「当面は、学園内外に漏れないようにしてあります。そして、魔力をコントロール出来るようにフレス殿にお願いしてあります。」
エルーシ殿下は義父に説明した。
フレス殿というのは白髭のじいさんの事らしい。
ただ事ではない状況だと思い始めてきた。
俺に解るのは、叱られる訳じゃないって事だけ。
「あの…俺は、何かやらかしたんですか?」
それにセレス兄さんが説明してくれた。
「ルシオン、『光』属性がとても貴重だというのは知ってるよね?存在だけでも数は少なく、国の保護対象だ。」
は?ゲームにそんな話あったっけ?
「『光』属性は、人のどんな傷も癒せる。だが魔力を使う分、命に関わってくる。」
自分の魔力を使って魔法を使う為、魔力が無くなれば死ぬ可能性があるらしい。
それはどんな魔法だとしても同じ事なんだけど…。
どうして保護対象者になるのか?
「人の傷は癒せても…自分で自分の傷は癒せない。もし、危害を加えられ…ルシオンが命に関わる大怪我や病気になれば…。」
セレス兄さんが悲しそうな顔をして言う為、その先は解ってしまう。
「でも、そんな大怪我や病気なんてしなければ大丈夫だと思う…けど…。俺、丈夫だし。剣術も習ってるし…。」
えへへと、笑うしかない。
「それもそうだが、『光』属性と繋がりを持ちたいという貴族達が媚びてくるだろな。」
エルーシ殿下は、嫌そうに言い放つ。
「そうです。それもあって保護対象なのですよ。」
じいさんは自分の髭を触りながら言う。
なるほど…、だから大変な事になったと言うわけか。俺は何も変わってないのに、周りが変わってしまうのか。
悲しい事だ。
「学園に在籍中はフレス殿に魔法を教えて貰ってくれ。彼は魔法省の長で教授だ。」
おぉぉ、やっぱり偉い人だったんだな。
「よろしくお願いします。」
俺は髭じいさんに頭を下げる。
「うむ。まだまだわしも現役だからの。それに、ネフィルも力になってくれるだろう。」
髭じいさんは、隣に座っている長髪のイケメンの背中を叩く。
「もう一人の『光』属性はどうされるんですか?」
義父がエルーシ殿下に聞いていた。
もう一人って事は、リビアンの事だよな?
ゲーム通りに『光』属性があるんだな。良かった。
「彼女にも学んで貰いますが…困ったことに、自分で『光』属性だと言いふらしていて………頭が痛くなる。」
エルーシ殿下は頭を抑えてしまった。
「だが、そのお陰でルシオンの事は秘密に出来ました。」
セレス兄さんは嬉しそうに俺の肩を抱く。
「お陰って、ど、どういう事?」
綺麗な笑顔のセレス兄さんに聞いてみる。
「入学式の日にルシオンに、嫌がらせをしかけた女が居ただろ?そいつが、自分は光属性だから特別なのよ、とか、神のような存在なんだから崇めろ、とか………。何であいつが光属性なんだ!」
はぁはぁはぁ………とセレス兄さんの息が荒い。
「そんな訳で、自分で言いふらしてくれたお陰でルシオンの事は学園内でも知っている者はクラスメイトくらいだよ。けど、皆ルシオンの為ならって口を閉ざしてくれてる。」
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