能天気男子の受難

いとみ

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やっと週末がやって来る。
入学式から、色んな事がありすぎて疲れていた。

明日から2日間の休みだ。
放課後になると嬉しくて元気になってしまう。
精神的に疲れてるから、部屋で一日中ゴロゴロしようか、最近は剣術のトレーニングもしてなかったから、体を動かそうか…。
何をして過ごそうか考えているだけで、楽しくなってくる。

寮に戻り着替えを済ませて、食堂に来ると

「何、ニヤニヤしてんの?」

声をした方を見ると、テオルドとマクビルが同じく食堂にやって来ていた。

「明日が休みだと思うと、ワクワクして。へへへ。」

「確かにな。」
マクビルは笑顔になり同意してくれた。

「ふふふ、ルシオンって可愛い。」
テオルドに可愛いと言われた。ガキっぽいセリフだったと、ちょっと恥ずかしくなる。

席に着いて夕飯を食べていると、セレス兄さんが俺の所に来た。
「ルシオン、珍しい果物を貰ったから、後で俺の部屋においで、。」

と満面の笑みで、それだけ言うと行ってしまった。最後の「ね。」に断れないほどの強さがあった。




夕食後、セレス兄さんの部屋に行くと、リビングのソファに促される。
テーブルの上にはこの世界で初めてだが、前世ではよく知っている果物があった。

「この『ベリィ』と言う果物は西の国産品だそうだ。甘酸っぱくて美味しいから、ルシオンにも食べさせたくて。」

俺の大好きなイチゴだ。この世界では『ベリィ』って言うなんて……似たような名前で解りやすい。

「いただきます。」
ベリィを噛ると、俺の知っている物より甘くて瑞々しくてびっくりする。
「凄く美味しい…。」

「ふふ、ルシオンのその顔が見られて良かった。」
セレス兄さんは嬉しそうに笑った。
「週末でゆっくり出来るから、お風呂にでも入って一緒に寝よう。」

俺はイチゴ…じゃなく、ベリィを食べながら(またエッチな事でもするのかな…)とちょっと思ってしまった。



セレス兄さんの部屋はシャワーブースではなく、浴槽がありシャワーも付いていて快適だった。
一緒にお風呂に入るのかと思っていたが、俺一人で入らされた。ちょっと期待してた自分が恥ずかしい。
体を洗い湯船に浸かって温まっていると、疲れも飛びそうだ。しだいに眠くもなってくる。

「着替えここに置いておくよ。」

「うん、ありがとう。」

うとうとして来て、眠ってはダメだと湯船から上がる。

ん?俺の脱いだ服は全部無くなって、代わりに下着とシャツだけ。あれ?俺の服はどこ行った?
とりあえず置かれていたシャツを着て、脱衣場から出る。
うーん、セレス兄さんのシャツなのか、サイズが大きい…。
「セレス兄さん、この服って……………。」

セレス兄さんを見ると、口?鼻?両方を押さえて涙目になっている。どうしたんだ?

「やっぱりイイ…。」

ぶかぶかで、俺は着づらいんだけど。

「頭を拭いてあげるからおいで。」
セレス兄さんは世話を焼くのが好きだ。
嬉しそうに、まだ濡れていた俺の髪を丁寧に拭いてくれる。
俺もセレス兄さんに甘えるのは好きだから、してもらえるのは嬉しい。


「よし。髪は大丈夫。………ルシオン、ベッドにうつ伏せで横になってごらん。マッサージしてあげる。」

「そんな、悪いよ。俺ばっかりしてもらって…。」

「入学式から色々とあっただろ?疲れてるんじゃないかと思って、お風呂に入って温まってからマッサージしてあげようと思ってたんだ。」

いつも忙しそうなセレス兄さんに、マッサージして貰うなんておそれ多い。
どうしようか迷っていた。
だが、セレス兄さんは強引に俺をベッドに寝かせる。

シャツの上から肩や肩甲骨や背中と、ほどよい力加減で押しながらマッサージしていく。
良いツボに当たり気持ちが良い。

「今度は香油を使って、マッサージしていくね。」

シャツの裾を捲って、背中に人肌の香油が垂らされる。少し滑りけがあるそれは、セレス兄さんの手の温度と重なって不思議な触感がする。
ヌメヌメした香油で背中全体をマッサージされると、凄く気持ち良かった。

腰の辺りもマッサージしてもらう。
いつもリビアンに乗られているせいで痛いから有難い。

「はあぁぁ…。」
体も精神的にもほぐされて、つい気持ちが良い時のため息が出た。

「どう?気持ちもほぐれた?」

俺はもう気持ち良くて蕩けそうになりながら「うん…。」と返事する。

「じゃあ、こっちも気持ち良くしよっか。」
セレス兄さんのヌルヌルした手が、下着をずらして俺の尻の穴を擽る。

「ひゃ、き、汚いから。」

「大丈夫、綺麗にしてあげる。『洗浄』」
セレス兄さんは俺の尻に洗浄魔法を使う。
ぎゃあぁぁぁ、そんな所に使うもんじゃないから!

さらに香油を足して、穴の周りをマッサージする。
くすぐったいと思って耐えていると、ツプッと指を入れられる。
「んんっ。」
滑りのお陰で痛くはないけど、変な感じがして気持ち悪い。
その指が上下左右に無遠慮に動く。
気持ち悪いはずなのに、ぞわぞわと甘い痺れが腰から広がる。
セレス兄さんの指が、内のある一点を掠めた。
「んあっ。」

何、今の…。

セレス兄さんは、そこをつついたり撫でたり執拗に触る。俺の身体は触られるたび、ピクピクッと反応し背筋を快感が走り下半身に熱が溜まっていく。
自然と腰が浮いて、硬くなってきた自分のモノをシーツに擦り付ける格好になっていく。
「んっ、んんっ。…あっ。」
気持ち良い。自然と声が出そうになり、なんとか堪える。

「我慢しないで…。」
セレス兄さんは、いつもより低く囁くような声で言う。
そんな声も快感に変わる。

「こっちが寂しかったね。」

あまりの快感に腰を浮かせていた隙間から、セレス兄さんの手が俺の陰茎を撫でる。
「よだれを垂らして、いやらしい。」
セレス兄さんはそう言いながら先走りを亀頭に塗りながら柔やわと刺激してくる。

「あっ、あぁっ、んっ。んんっあぁ。」

前と後ろを刺激されて、気持ち良すぎて快感を追う事しか考えられなくて、声を抑える事も出来ない。
「んっ、うあぁ、あっん。や、やだ、あっ。」

「ん?嫌?…止めようか?」

止めてほしくなくて、後ろにいるセレス兄さんを見つめる。
「や、気持ち良くて…良すぎて、ダメ……あっ…。あぁぁっ。」
俺は耐えきれず、欲望を吐き出していた。
はぁ、はぁ、はぁ、と快感に浸っていると、俺の尻にセレス兄さんの硬いモノが当たっている。

何となく、好奇心でセレス兄さんの硬くなったモノを触る。俺より大きい。
「もっと触って。」
セレス兄さんの湿り気を帯びた色っぽい声に興奮する。
下着の中に手を入れその血管の浮いた陰茎を上下に撫で、陰嚢を軽く揉んでみる。

「んっ………ルシオン、こっち向いて…。」
と仰向けにされ、セレス兄さんを見ると、熱に侵されたように目を潤ませている。
セレス兄さんも感じてる……と思うだけで下半身が甘く疼いた。
お互いに見つめながら、唇を合わせる。セレス兄さんの舌で唇を舐められ、俺もその舌を追って絡める。
お互い唾液を絡めて舌を貪る。
「んっ…くちゅ、ちゅっ……ん、んぁ。」
吐息がもれる。
キスに夢中になっている間に俺のシャツのボタンを全部外されていた。
セレス兄さんも全裸になっている。早業だ。
お互いの肌の感触を確かめていると、俺はまた興奮してきて、陰茎も硬さを取り戻してきた。

俺の横に寝転がったセレス兄さんは、硬くなった陰茎を俺のモノに擦り付けてきた。
お互い向かい合わせになり、陰茎を上下にすり合わせる。
そのすり合わせたモノを、セレス兄さんと俺とで手を添えて一緒に握り動かす。

セレス兄さんの辛そうな顔を見て、興奮して手に力が入る。
どちらの先走りなのかヌメヌメした液体を塗り広げ、陰茎を擦り上げると、イキそうになる。
手を動かす早さが増していく。

「ん、んあぁぁぁ。」
「んんっん。」
ほぼ同時に白い精を放って、お互いの腹を汚した。


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