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ネフィル先生が現れた事で、グレース王子は俺の頬から手を離す。
あれ?俺、何しようとしてた?
雰囲気に流されて、グレース王子とキスしようとしてたなんて…。しかもネフィル先生に見られるとは、恥ずかしい。
「王子が護衛も付けずに、出掛けるのはいけませんね。」
ネフィル先生は笑顔だが怖い。
「あぁ、すまない。」
「皆、心配してますよ。さぁ、帰りましょう。ルシオンも。」
「はい…。」
言われるまま、ネフィル先生の馬車で帰る事になった。
帰り道の馬車の中では重い沈黙が続いた。
ネフィル先生は笑顔のまま腕を組んでいる。その笑顔が怖いんだけど。
その沈黙を破ったのはグレース王子だった。
「ネフィル様が、私に関わろうとするとは珍しいな。」
グレース王子も腕を組んでネフィル先生に話しかけている。少し睨んでいるようにも思える。
それに対してネフィル先生は笑顔を崩さずに答えた。
「大事な王族が不用意に出歩いているからですよ。保護するのは貴族の勤めですから。しかし何故貴方があんな所に?」
「私も街の様子を見に行っても、良いと思うのだが。」
「いいえ、いけません。自分の立場をもっと理解して下さい。周りが迷惑しますから。」
「解っている。」
グレース王子はネフィル先生に叱られて拗ねているようだった。
2人を見ていると、先生と生徒の関係のように思えてくる。
「2人って、どういう関係なんですか?」
俺の放った言葉は2人を更に気まずくさせる。
渋々といったように、グレース王子が説明してくれた。
「ネフィル様は、私の父上の従兄弟だ。そして、家庭教師でもあった。」
「え?えぇぇ!ネフィル先生って、王族だったんですか?」
俺は驚きのあまり大きな声を出してしまった。
「私の、お婆様が王妃だという事だけで、私は王族ではないですよ。」
「そうだったんですね。」
本人は王族じゃなく、ただの貴族にすぎないと言うが自分の祖母が王妃様なのは、凄い事だと思う。
ネフィル先生って、魔法省の研究者で、王族と血が繋がっていて…、って凄いエリートじゃないか!
そんな人に魔法を教わっていたのが、凄い事なんじゃないかと思うが、俺には関係ない事だ。
俺は、ネフィル先生よりヒゲじいさんの、フレス先生の方が愛嬌があって面白くて好きだからだ。
俺はネフィル先生の素性を知っても、さほど興味が湧かなかった。
ーーーーー
ネフィルは、自分が王族と関係があると話をしたくはなかった。
その話をしただけで、殆んどの人達は目の色を変え、態度もガラリと変わる。
親しくしていた友人達は、媚びへつらったり、ぎくしゃくしたりで皆離れていった。
元々女にはモテていたが、素性が解ると肉食獣のように目をギラつかせ近づいて来るのが怖く、今では女性恐怖症だ。
だが、男でも同じだった。
どんな少年を口説いても、結果的には態度が変わっていく。
だから、研究者になり変人を装った。
今では、これが本当の自分だと楽しんでいるが、ふと焦燥感に襲われる時がある。
そんな時は美少年を抱いて気をまぎらわせていた。
なのに、目の前のつり目の少年はネフィルに興味がないのか、窓の外の祭りが気になるようで、楽しそうに見ている。
「あ!お土産買うの忘れた。」
ルシオンは残念そうに俯いた。
そんなルシオンの言葉が知らなかったのか、グレース王子が聞く。
「お土産とは何だ?」
王子にとって貢ぎ物はあっても、お土産は貰った事がないのだろう。
「えーと、お土産って言うのは…、行けなかった人の為に買っていく物かな…。」
あの生真面目で融通が利かないグレース王子の相手も出来るとは。
「これは違うのか?」
グレース王子は右脇に置いていたキツネのぬいぐるみを持ち上げる。
ネフィルはグレース王子に似合わないぬいぐるみが、さっきから気になっていた。
「それは、グレース王子が初めて取った物ですから、記念にどうぞ。いらなかったら俺が貰いますけど。」
仲良くグレース王子と話しているルシオンを見ていると、ネフィルは胸の奥が苛立ってきていた。
何故自分がこんなにも苛つくのか解らないまま、馬車は男子寮に着く。
「よく見ると、このキツネお前に似てないか?」
グレース王子は微笑みながらルシオンとぬいぐるみを交互に見比べる。
「あぁ、目付きの悪い所とかですか?」
ルシオンは何でもないようにさらりと言う。どうして自分を卑下するのか、ネフィルは理解出来なかった。
「いや、つり目だが可愛い所が似ている。」
「なっ!あ、ありがとうございます。」
グレース王子のストレートな誉め言葉に、最後の方は声が小さくなって、ルシオンは顔を赤くしてしまう。
そんな顔も出来るのかと、ネフィルは目を見張ったと同時に胸の奥がツキンと一瞬痛んだ。
「ネフィル先生、俺まで乗せて貰ってありがとうございました。」
ルシオンに話し掛けられ、その痛みはすぐ無くなる。
「ルシオン…守護魔法が取れかけています。気をつけて下さいね。」
柄にもなくネフィルは、優しくルシオンの頬に触れた。
そのネフィルの切ない顔に、ルシオンは心配になる。
「ネフィル先生?」
すぐに手は離されネフィルは笑顔に戻ったが、変な所で敏感なルシオンはまだ心配しているようだった。
「さぁ、皆が心配してますよ。帰りなさい。」
そう言われグレース王子とルシオンは馬車を降り、寮の中へと入っていく。
ネフィルはこの自分の理解出来ない気持ちに、苛立ちを隠せないでいた。
「くそっ。何なんだよ。」
あれ?俺、何しようとしてた?
雰囲気に流されて、グレース王子とキスしようとしてたなんて…。しかもネフィル先生に見られるとは、恥ずかしい。
「王子が護衛も付けずに、出掛けるのはいけませんね。」
ネフィル先生は笑顔だが怖い。
「あぁ、すまない。」
「皆、心配してますよ。さぁ、帰りましょう。ルシオンも。」
「はい…。」
言われるまま、ネフィル先生の馬車で帰る事になった。
帰り道の馬車の中では重い沈黙が続いた。
ネフィル先生は笑顔のまま腕を組んでいる。その笑顔が怖いんだけど。
その沈黙を破ったのはグレース王子だった。
「ネフィル様が、私に関わろうとするとは珍しいな。」
グレース王子も腕を組んでネフィル先生に話しかけている。少し睨んでいるようにも思える。
それに対してネフィル先生は笑顔を崩さずに答えた。
「大事な王族が不用意に出歩いているからですよ。保護するのは貴族の勤めですから。しかし何故貴方があんな所に?」
「私も街の様子を見に行っても、良いと思うのだが。」
「いいえ、いけません。自分の立場をもっと理解して下さい。周りが迷惑しますから。」
「解っている。」
グレース王子はネフィル先生に叱られて拗ねているようだった。
2人を見ていると、先生と生徒の関係のように思えてくる。
「2人って、どういう関係なんですか?」
俺の放った言葉は2人を更に気まずくさせる。
渋々といったように、グレース王子が説明してくれた。
「ネフィル様は、私の父上の従兄弟だ。そして、家庭教師でもあった。」
「え?えぇぇ!ネフィル先生って、王族だったんですか?」
俺は驚きのあまり大きな声を出してしまった。
「私の、お婆様が王妃だという事だけで、私は王族ではないですよ。」
「そうだったんですね。」
本人は王族じゃなく、ただの貴族にすぎないと言うが自分の祖母が王妃様なのは、凄い事だと思う。
ネフィル先生って、魔法省の研究者で、王族と血が繋がっていて…、って凄いエリートじゃないか!
そんな人に魔法を教わっていたのが、凄い事なんじゃないかと思うが、俺には関係ない事だ。
俺は、ネフィル先生よりヒゲじいさんの、フレス先生の方が愛嬌があって面白くて好きだからだ。
俺はネフィル先生の素性を知っても、さほど興味が湧かなかった。
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ネフィルは、自分が王族と関係があると話をしたくはなかった。
その話をしただけで、殆んどの人達は目の色を変え、態度もガラリと変わる。
親しくしていた友人達は、媚びへつらったり、ぎくしゃくしたりで皆離れていった。
元々女にはモテていたが、素性が解ると肉食獣のように目をギラつかせ近づいて来るのが怖く、今では女性恐怖症だ。
だが、男でも同じだった。
どんな少年を口説いても、結果的には態度が変わっていく。
だから、研究者になり変人を装った。
今では、これが本当の自分だと楽しんでいるが、ふと焦燥感に襲われる時がある。
そんな時は美少年を抱いて気をまぎらわせていた。
なのに、目の前のつり目の少年はネフィルに興味がないのか、窓の外の祭りが気になるようで、楽しそうに見ている。
「あ!お土産買うの忘れた。」
ルシオンは残念そうに俯いた。
そんなルシオンの言葉が知らなかったのか、グレース王子が聞く。
「お土産とは何だ?」
王子にとって貢ぎ物はあっても、お土産は貰った事がないのだろう。
「えーと、お土産って言うのは…、行けなかった人の為に買っていく物かな…。」
あの生真面目で融通が利かないグレース王子の相手も出来るとは。
「これは違うのか?」
グレース王子は右脇に置いていたキツネのぬいぐるみを持ち上げる。
ネフィルはグレース王子に似合わないぬいぐるみが、さっきから気になっていた。
「それは、グレース王子が初めて取った物ですから、記念にどうぞ。いらなかったら俺が貰いますけど。」
仲良くグレース王子と話しているルシオンを見ていると、ネフィルは胸の奥が苛立ってきていた。
何故自分がこんなにも苛つくのか解らないまま、馬車は男子寮に着く。
「よく見ると、このキツネお前に似てないか?」
グレース王子は微笑みながらルシオンとぬいぐるみを交互に見比べる。
「あぁ、目付きの悪い所とかですか?」
ルシオンは何でもないようにさらりと言う。どうして自分を卑下するのか、ネフィルは理解出来なかった。
「いや、つり目だが可愛い所が似ている。」
「なっ!あ、ありがとうございます。」
グレース王子のストレートな誉め言葉に、最後の方は声が小さくなって、ルシオンは顔を赤くしてしまう。
そんな顔も出来るのかと、ネフィルは目を見張ったと同時に胸の奥がツキンと一瞬痛んだ。
「ネフィル先生、俺まで乗せて貰ってありがとうございました。」
ルシオンに話し掛けられ、その痛みはすぐ無くなる。
「ルシオン…守護魔法が取れかけています。気をつけて下さいね。」
柄にもなくネフィルは、優しくルシオンの頬に触れた。
そのネフィルの切ない顔に、ルシオンは心配になる。
「ネフィル先生?」
すぐに手は離されネフィルは笑顔に戻ったが、変な所で敏感なルシオンはまだ心配しているようだった。
「さぁ、皆が心配してますよ。帰りなさい。」
そう言われグレース王子とルシオンは馬車を降り、寮の中へと入っていく。
ネフィルはこの自分の理解出来ない気持ちに、苛立ちを隠せないでいた。
「くそっ。何なんだよ。」
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