愛するあなたへ最期のお願い

つぶあん

文字の大きさ
1 / 14

1:清らかな祈り

しおりを挟む
どうしよう。
レオナルドが死んでしまう。

「いや……」

最期の瞬間は愛する人と二人きりにしてあげよう。
そういう気遣いで私以外が部屋を出て行った。

もう誰もレオナルドが治るなんて信じていない。
期待していない。

私は……

「いやよ……レオナルド……」

どうしてレオナルドが不治の病に冒されなければならないの?
何の罪もない優しい人の未来が、どうして……

「ああ、神様……!」

毎日、毎日、毎日。
ずっとお祈りしてきたけれど、この願いは叶えてもらえない。

レオナルドの病がよくなりますように。
レオナルドを苦しませないでください。

どうか。

どうか、レオナルドをお救いください。

「レオナルドをお救いください……!」

神様しか、できないこと。
だから、どうか。

「……、……ぅ」
「!?」

レオナルドがまた苦しそうに呻いた。
もう弱々しい吐息に乗せて声を洩らすのも辛そうなのに。

「レオナルド……?」

呼び掛けても、返事はない。

固くなった手を握る。
強張った土気色の頬を撫でる。

「レオナルド……!」

必死で呼んでも目覚めることはない。

「う……ううぅっ」

もう駄目だ。
私も、わかっている。

手の施しようがないことなんて。

「レオナルドぉ……っ」

枕元に跪き泣きじゃくる私を、慰めてくれる人はいない。
レオナルドにそうしてもらいたくても、彼はもう、死にゆく人。

「……っ」

無我夢中でレオナルドの手を両手で包み、額を擦りつける。
私にはもう、無理とわかっていても、無駄とわかっていても、そうするしかない。


神様。
どうか、レオナルドを連れて行かないでください。

誰からも愛される素晴らしい人なんです。
お願いします。

愛しているんです。

どうか……どうか……

どうしてもこの人の命が欲しいなら、代わりに私を連れて行ってください。
私が代わりに


──アリシア


「!?」

誰?


──もし本当に愛する男の代わりに死にたいと思っているのなら、私が助けてあげよう


「……あなたは……神様、ですか……?」

信じられない。
私、おかしくなってしまったの?


──私は天使サラフィエル


「天使……」


──レオナルドの魂の代わりに、君の美しい魂を頂けるなら、君の愛するレオナルドを返してあげよう


「……」

幻でもいい。
でも、本当に祈りが届いたのなら。

私は……

「お願いします。私の命を差し上げます。どうか、レオナルドを助けてください」


──おいで、アリシア


「うっ」

痛い!

体が……急に、重くなって……

「あ、あぁ……っ」

意識が、遠退いていく……
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】「私は善意に殺された」

まほりろ
恋愛
筆頭公爵家の娘である私が、母親は身分が低い王太子殿下の後ろ盾になるため、彼の婚約者になるのは自然な流れだった。 誰もが私が王太子妃になると信じて疑わなかった。 私も殿下と婚約してから一度も、彼との結婚を疑ったことはない。 だが殿下が病に倒れ、その治療のため異世界から聖女が召喚され二人が愛し合ったことで……全ての運命が狂い出す。 どなたにも悪意はなかった……私が不運な星の下に生まれた……ただそれだけ。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します。 ※他サイトにも投稿中。 ※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 ※小説家になろうにて2022年11月19日昼、日間異世界恋愛ランキング38位、総合59位まで上がった作品です!

見切りをつけたのは、私

ねこまんまときみどりのことり
恋愛
婚約者の私マイナリーより、義妹が好きだと言う婚約者ハーディー。陰で私の悪口さえ言う彼には、もう幻滅だ。  婚約者の生家、アルベローニ侯爵家は子爵位と男爵位も保有しているが、伯爵位が継げるならと、ハーディーが家に婿入りする話が進んでいた。 侯爵家は息子の爵位の為に、家(うち)は侯爵家の事業に絡む為にと互いに利がある政略だった。 二転三転しますが、最後はわりと幸せになっています。 (小説家になろうさんとカクヨムさんにも載せています)

【完結】婚約破棄?勘当?私を嘲笑う人達は私が不幸になる事を望んでいましたが、残念ながら不幸になるのは貴方達ですよ♪

山葵
恋愛
「シンシア、君との婚約は破棄させてもらう。君の代わりにマリアーナと婚約する。これはジラルダ侯爵も了承している。姉妹での婚約者の交代、慰謝料は無しだ。」 「マリアーナとランバルド殿下が婚約するのだ。お前は不要、勘当とする。」 「国王陛下は承諾されているのですか?本当に良いのですか?」 「別に姉から妹に婚約者が変わっただけでジラルダ侯爵家との縁が切れたわけではない。父上も承諾するさっ。」 「お前がジラルダ侯爵家に居る事が、婿入りされるランバルド殿下を不快にするのだ。」 そう言うとお父様、いえジラルダ侯爵は、除籍届けと婚約解消届け、そしてマリアーナとランバルド殿下の婚約届けにサインした。 私を嘲笑って喜んでいる4人の声が可笑しくて笑いを堪えた。 さぁて貴方達はいつまで笑っていられるのかしらね♪

【完結】「婚約者は妹のことが好きなようです。妹に婚約者を譲ったら元婚約者と妹の様子がおかしいのですが」

まほりろ
恋愛
※小説家になろうにて日間総合ランキング6位まで上がった作品です!2022/07/10 私の婚約者のエドワード様は私のことを「アリーシア」と呼び、私の妹のクラウディアのことを「ディア」と愛称で呼ぶ。 エドワード様は当家を訪ねて来るたびに私には黄色い薔薇を十五本、妹のクラウディアにはピンクの薔薇を七本渡す。 エドワード様は薔薇の花言葉が色と本数によって違うことをご存知ないのかしら? それにピンクはエドワード様の髪と瞳の色。自分の髪や瞳の色の花を異性に贈る意味をエドワード様が知らないはずがないわ。 エドワード様はクラウディアを愛しているのね。二人が愛し合っているなら私は身を引くわ。 そう思って私はエドワード様との婚約を解消した。 なのに婚約を解消したはずのエドワード様が先触れもなく当家を訪れ、私のことを「シア」と呼び迫ってきて……。 「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します。 ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。 ※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。

奪われたものは、全て要らないものでした

編端みどり
恋愛
あげなさい、お姉様でしょ。その合言葉で、わたくしのものは妹に奪われます。ドレスやアクセサリーだけでなく、夫も妹に奪われました。 だけど、妹が奪ったものはわたくしにとっては全て要らないものなんです。 モラハラ夫と離婚して、行き倒れかけたフローライトは、遠くの国で幸せを掴みます。

幼馴染を溺愛する旦那様の前からは、もう消えてあげることにします

睡蓮
恋愛
「旦那様、もう幼馴染だけを愛されればいいじゃありませんか。私はいらない存在らしいので、静かにいなくなってあげます」

言い訳は結構ですよ? 全て見ていましたから。

紗綺
恋愛
私の婚約者は別の女性を好いている。 学園内のこととはいえ、複数の男性を侍らす女性の取り巻きになるなんて名が泣いているわよ? 婚約は破棄します。これは両家でもう決まったことですから。 邪魔な婚約者をサクッと婚約破棄して、かねてから用意していた相手と婚約を結びます。 新しい婚約者は私にとって理想の相手。 私の邪魔をしないという点が素晴らしい。 でもべた惚れしてたとか聞いてないわ。 都合の良い相手でいいなんて……、おかしな人ね。 ◆本編 5話  ◆番外編 2話  番外編1話はちょっと暗めのお話です。 入学初日の婚約破棄~の原型はこんな感じでした。 もったいないのでこちらも投稿してしまいます。 また少し違う男装(?)令嬢を楽しんでもらえたら嬉しいです。

【完結】さよなら私の初恋

山葵
恋愛
私の婚約者が妹に見せる笑顔は私に向けられる事はない。 初恋の貴方が妹を望むなら、私は貴方の幸せを願って身を引きましょう。 さようなら私の初恋。

処理中です...