愛するあなたへ最期のお願い

つぶあん

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7:君の為に(サラフィエル視点)

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アリシアは死んだ。
彼女を愛する人々の清らかな涙に見送られ、私の元へ昇って来た。

「ここは……」

美しい純白の雲が覆う、優しい青空。
どこまでも広がる天空の大地に、アリシアは健康な時と同じ姿で佇んでいる。

そして、ふいに振り向いた。
きっと気配に気づいたんだ。

「あなたは……」
「私だよ」
「天使様」

アリシアの無垢で可愛らしい顔を見ていると、自然と笑顔がこぼれてくる。

可愛い、可愛いアリシア。
可哀想なアリシア。

私のちょっとした選択ミスのせいで、酷い苦しみを与えてしまった、清らかな魂。

「よく頑張ったね」
「……」

アリシアの微笑みは眩しく、私の心を揺るぎなく固めていく。

私が両手を広げると、アリシアが胸に飛び込んで来た。

「……!」

心を貫く、熱さ。
体が震える。

「ありがとうございました」

アリシア……
違うんだ。こんな私に、御礼なんか言わなくていいんだ。

「天使様のおかげで、いい人生になりました」
「アリシア」

迸る思いに抗えない。
気づくとアリシアを掻き抱いていた。

「……!」
「天使様?」

無垢なアリシアの驚いたような声に、胸が切なくなる。

「ごめんね……ごめんね……」
「天使様?どうされたのですか?」
「ごめん……」
「何か、悲しいことがあったのですか?私でお役に立てますか?」
「……!」

どこまでも、どこまでも。
自分を脇に置いて、誰かの為に心を砕いて。

これほど優しい無垢な魂が、悲しみだけを背負って光になってしまうなんて。

そんなことは、あってはならない。

「アリシア」
「はい。天使様」
「もし。もしもの話だよ」
「はい」
「もう一度、君に生まれ変われるとしたら、どんな人生を送りたい?」

腕の中でアリシアは黙り込む。

考えているのだろうか。
悩んでいるのだろうか。

アリシアがぎゅっとしがみついてくる。

「……愛する人と、最期まで、仲良く、幸せに……」

……そうだよね。
私は、その願いを叶えてあげるべきだったよね。

ごめんね、アリシア。

「わかったよ」

ごめんね。
私はね、純粋無垢な君にレオナルドがお似合いとは思わないんだ。

それに、私は……

私は、君に恋してしまった。
美しい魂を待ち侘びている間に、君のことが好きになってしまったんだ。

だから……

この恋は、私の罪。

私だけの罪だから。

「……君を、幸せにしたい」
「ありがとうございます。天使様、お優しい方なんですね」

可愛らしい声で私を肯定する愛しい命。
私は、アリシアを愛している。

「愛しいアリシア。お帰り」
「え……?」

私はアリシアの魂を、柩に横たわる痩せた体に、返した。
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