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一章
ロシアンルーレット
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「一度、ほかの人達と合流しますか?」
スズエさんの言葉にボク達は頷き、ケイさん達が探索している部屋に向かった。その間も、不安は消えない。
ケイさん達は人形が置かれてる部屋を探索していたらしい、ボク達を見つけて「何かわかったー?」と聞いてきた。
「いえ、少なくとも私は特に……」
スズエさんが首を振ると同時に、扉の方からカチャ……と音が聞こえた。
「え……?」
ボクがドアノブをひねるけど、開く様子がない。どうやら閉じ込められたらしい。
「ど、どうするぜよ?」
ゴウさんが焦ったように尋ねる。全員で考えていると、放送が聞こえてきた。
『おーおー、今回の挑戦者はこいつらか』
どうやら男性らしい。ケラケラ笑う声が耳障りでイライラしてしまう。
「……何をさせようとしているんですか?」
そんな中、スズエさんが鋭い目をしながら尋ねる。
『おー、怖いなぁ。そんなカリカリしないでくれよ。
お前達にはゲームをしてもらう』
まったく怖がっていないのがまた腹立つけど、ここで逆らっても意味がないだろう。ここは従うしかない。
どこからか指を鳴らした音が聞こえたかと思うと、中心に拳銃が出てくる。
『お前らにはロシアンルーレットをしてもらう。代表者を一人選べ』
「……なぜ?」
冷たいスズエさんの声が響く。
『決まっているだろ?そいつの命をかけるんだよ』
放送の主があっけらかんとそう告げると、ピシッと空気が変わった。
命を、かける……。
それはつまり、死ぬ可能性があると言うことで……。
(もしかして……)
紫色の髪の少女は、目の前で誰かが殺されたのだろうか?だから、あんなに怯えて……。
「……私がやります」
少し考えていたスズエさんが手をあげる。
「スズエさん、危険ですよ」
それを止めたのはエレンさんだった。拳銃を持とうとしていた彼女の手に優しく重ね、
「私が代わりにしますよ」
そう言って、拳銃を握った。スズエさんが「え、エレンさん、ダメですよ」と焦って止めようとしていた。そんな彼女の頭を、エレンさんは優しく撫でる。
「いいんですよ、私はあなたを信じていますから」
見ず知らずの男性にそんなことを言われても、きっと戸惑うだろう。でも、彼がスズエさんをそこまで想う理由を知っている。
『拳銃を持ったな。それじゃあルールを説明する!
ロシアンルーレットと言っても、お前がするわけじゃあない。この人形達を撃ち抜くんだ』
再び指を鳴らす音が聞こえ、目の前に椅子に座った人形が出てくる。かなりの数が出てきてどこに隠していたのかと驚いてしまう。
『この中から死んだやつを撃ち抜け。外したら……分かっているな?』
そう指示され、全員顔を見合わせた。
あそこから死んでいない人を選ぶなんて……どうしろと言うのだろうか?
「……レント、タカシ、レイ、マイカ、ユミ、ナコ」
しかしボク達が考え込んでしまうと、スズエさんがそう呟いた。
「え……?」
「ほかの名前は聞いたことあります。だから大丈夫……だと思います」
「せ、せめて確定するぜよ……」
彼女のその言葉にゴウさんはガクッと肩を落とした。……でも、彼女の記憶力に感謝するべきだろう。
「……分かりました、スズエさんを信じてみます」
エレンさんはそう言って、レントと書かれた人形に銃口を向ける。
「ほ、本当にいいのか?」
ミヒロさんが止めるが、彼はそのまま引き金を引いた。
大きな銃声が響き渡る。……でも、特に何か起こることはなかった。
そのまま、彼はタカシ、レイ、マイカ、ユミ……と撃ち抜いていく。緊張しているのか、エレンさんにしてはかなり冷や汗を流していた。
「最後は……ナコ、でしたね……」
わずかに震える手を動かし、ナコと書かれた人形に向ける。でも、引き金を引く指が震えてしまっていた。
それを見ていたスズエさんは自分の手をエレンさんの手に重ねる。
「スズエ、さん……」
「大丈夫です。……信じて」
たったそれだけの言葉。でもエレンさんにとってはそれだけでも勇気をもらったのだろう。
覚悟を決めたエレンさんはスズエさんと一緒に引き金を引く。――二人に何かが起こることはなかった。
『おー、成功だ!もう少し苦戦するかと思ったんだけどなぁ』
そんな放送とともに、扉が開いた。
『さぁ、「死のゲーム」を楽しめ!これは前座に過ぎないんだからな!』
出る直前、ケラケラと笑う男性の声が妙に頭に残った。
スズエさんの言葉にボク達は頷き、ケイさん達が探索している部屋に向かった。その間も、不安は消えない。
ケイさん達は人形が置かれてる部屋を探索していたらしい、ボク達を見つけて「何かわかったー?」と聞いてきた。
「いえ、少なくとも私は特に……」
スズエさんが首を振ると同時に、扉の方からカチャ……と音が聞こえた。
「え……?」
ボクがドアノブをひねるけど、開く様子がない。どうやら閉じ込められたらしい。
「ど、どうするぜよ?」
ゴウさんが焦ったように尋ねる。全員で考えていると、放送が聞こえてきた。
『おーおー、今回の挑戦者はこいつらか』
どうやら男性らしい。ケラケラ笑う声が耳障りでイライラしてしまう。
「……何をさせようとしているんですか?」
そんな中、スズエさんが鋭い目をしながら尋ねる。
『おー、怖いなぁ。そんなカリカリしないでくれよ。
お前達にはゲームをしてもらう』
まったく怖がっていないのがまた腹立つけど、ここで逆らっても意味がないだろう。ここは従うしかない。
どこからか指を鳴らした音が聞こえたかと思うと、中心に拳銃が出てくる。
『お前らにはロシアンルーレットをしてもらう。代表者を一人選べ』
「……なぜ?」
冷たいスズエさんの声が響く。
『決まっているだろ?そいつの命をかけるんだよ』
放送の主があっけらかんとそう告げると、ピシッと空気が変わった。
命を、かける……。
それはつまり、死ぬ可能性があると言うことで……。
(もしかして……)
紫色の髪の少女は、目の前で誰かが殺されたのだろうか?だから、あんなに怯えて……。
「……私がやります」
少し考えていたスズエさんが手をあげる。
「スズエさん、危険ですよ」
それを止めたのはエレンさんだった。拳銃を持とうとしていた彼女の手に優しく重ね、
「私が代わりにしますよ」
そう言って、拳銃を握った。スズエさんが「え、エレンさん、ダメですよ」と焦って止めようとしていた。そんな彼女の頭を、エレンさんは優しく撫でる。
「いいんですよ、私はあなたを信じていますから」
見ず知らずの男性にそんなことを言われても、きっと戸惑うだろう。でも、彼がスズエさんをそこまで想う理由を知っている。
『拳銃を持ったな。それじゃあルールを説明する!
ロシアンルーレットと言っても、お前がするわけじゃあない。この人形達を撃ち抜くんだ』
再び指を鳴らす音が聞こえ、目の前に椅子に座った人形が出てくる。かなりの数が出てきてどこに隠していたのかと驚いてしまう。
『この中から死んだやつを撃ち抜け。外したら……分かっているな?』
そう指示され、全員顔を見合わせた。
あそこから死んでいない人を選ぶなんて……どうしろと言うのだろうか?
「……レント、タカシ、レイ、マイカ、ユミ、ナコ」
しかしボク達が考え込んでしまうと、スズエさんがそう呟いた。
「え……?」
「ほかの名前は聞いたことあります。だから大丈夫……だと思います」
「せ、せめて確定するぜよ……」
彼女のその言葉にゴウさんはガクッと肩を落とした。……でも、彼女の記憶力に感謝するべきだろう。
「……分かりました、スズエさんを信じてみます」
エレンさんはそう言って、レントと書かれた人形に銃口を向ける。
「ほ、本当にいいのか?」
ミヒロさんが止めるが、彼はそのまま引き金を引いた。
大きな銃声が響き渡る。……でも、特に何か起こることはなかった。
そのまま、彼はタカシ、レイ、マイカ、ユミ……と撃ち抜いていく。緊張しているのか、エレンさんにしてはかなり冷や汗を流していた。
「最後は……ナコ、でしたね……」
わずかに震える手を動かし、ナコと書かれた人形に向ける。でも、引き金を引く指が震えてしまっていた。
それを見ていたスズエさんは自分の手をエレンさんの手に重ねる。
「スズエ、さん……」
「大丈夫です。……信じて」
たったそれだけの言葉。でもエレンさんにとってはそれだけでも勇気をもらったのだろう。
覚悟を決めたエレンさんはスズエさんと一緒に引き金を引く。――二人に何かが起こることはなかった。
『おー、成功だ!もう少し苦戦するかと思ったんだけどなぁ』
そんな放送とともに、扉が開いた。
『さぁ、「死のゲーム」を楽しめ!これは前座に過ぎないんだからな!』
出る直前、ケラケラと笑う男性の声が妙に頭に残った。
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