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四章
親友で幼馴染で、優しい少女
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エレベーターに乗りながら、幼馴染の横顔を見る。
(……本当に……綺麗だよなぁ……)
スズは誰よりも美しい。顔立ちだけじゃなくて、心までも。
――高校に進学してすぐ、不良に絡まれたことがあった。
オレは男だから、本当はかっこよく守りたかったけど……刃物で手首を深く切ってしまった。不良はその勢いに任せ、オレをさらに刺そうとしてきた。その時、スズが不良の手首を掴んで「……失せろ、死にたくなかったらな」と低い声で冷たく言い放った。
不良が逃げ出すと、オレの方を見て「大丈夫?シルヤ」と心配そうに見てきた。
「大丈夫だって!……だから、自分を傷つけないでくれよ」
スズは、自身の不思議な力でよくオレの怪我を治そうとしてくれる。
「……それなら、病院に行こう。ごめんね、私を守ろうとしたばっかりに……」
「スズのせいじゃないって。それに、大したことないからそんな気に病むなよ」
オレの言葉を聞いても、スズは泣きそうな顔をしていた。
「シルヤ?どうしたんだ?」
スズに呼ばれ、ハッと現実に戻ってくる。どうやらエレベーターが止まったようだ。
モニター室に向かい、スズがすぐに赤い糸の解除をする。三人でそれを確認した後、
「……ラン、もう休んだらいい。私と一緒にいるの、嫌だろ?」
スズがそう言うと、ランは「いや、そんなことないが……」と否定しようとする。でも、怯えている瞳はごまかせない。
「……ごめん、私の方が頭を冷やしたいんだ」
その言葉にランはうつむき、「……分かった。なんかあったら言ってくれな」とモニター室から出ていった。
オレはスズの手首を見る。かなり深く切ってしまっているようで、出血が酷かった。
「スズ、あんま傷つけたらダメだぞ。お前も女の子なんだからさ」
「アハハ……ごめん」
「まったく……」
近くにあった救急箱を持って、怪我の手当てをする。包帯を巻くけど、血がにじんでしまっている。
「あとでもう一回巻くからな」
「はいはい」
オレの言葉にスズは困ったような、それでいて愛おしそうな瞳をしてくれた。
(……本当に……綺麗だよなぁ……)
スズは誰よりも美しい。顔立ちだけじゃなくて、心までも。
――高校に進学してすぐ、不良に絡まれたことがあった。
オレは男だから、本当はかっこよく守りたかったけど……刃物で手首を深く切ってしまった。不良はその勢いに任せ、オレをさらに刺そうとしてきた。その時、スズが不良の手首を掴んで「……失せろ、死にたくなかったらな」と低い声で冷たく言い放った。
不良が逃げ出すと、オレの方を見て「大丈夫?シルヤ」と心配そうに見てきた。
「大丈夫だって!……だから、自分を傷つけないでくれよ」
スズは、自身の不思議な力でよくオレの怪我を治そうとしてくれる。
「……それなら、病院に行こう。ごめんね、私を守ろうとしたばっかりに……」
「スズのせいじゃないって。それに、大したことないからそんな気に病むなよ」
オレの言葉を聞いても、スズは泣きそうな顔をしていた。
「シルヤ?どうしたんだ?」
スズに呼ばれ、ハッと現実に戻ってくる。どうやらエレベーターが止まったようだ。
モニター室に向かい、スズがすぐに赤い糸の解除をする。三人でそれを確認した後、
「……ラン、もう休んだらいい。私と一緒にいるの、嫌だろ?」
スズがそう言うと、ランは「いや、そんなことないが……」と否定しようとする。でも、怯えている瞳はごまかせない。
「……ごめん、私の方が頭を冷やしたいんだ」
その言葉にランはうつむき、「……分かった。なんかあったら言ってくれな」とモニター室から出ていった。
オレはスズの手首を見る。かなり深く切ってしまっているようで、出血が酷かった。
「スズ、あんま傷つけたらダメだぞ。お前も女の子なんだからさ」
「アハハ……ごめん」
「まったく……」
近くにあった救急箱を持って、怪我の手当てをする。包帯を巻くけど、血がにじんでしまっている。
「あとでもう一回巻くからな」
「はいはい」
オレの言葉にスズは困ったような、それでいて愛おしそうな瞳をしてくれた。
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