DEATHGAME~裏切りと信念の姫~

ひいらぎななみ

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エピローグ

未来への道

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「そういや、なんで俺らはここに集められたんだ?」
 タカシさんの質問に「あー、その……」とスズエさんが困ったように答えた。
「……実は、そのことについてなんですけど……」
「……?歯切れが悪いね?」
「……その、首輪の設定とか、脱出経路とかをハッキングしている時に……みんなとの関係性が書かれたものを見つけたんですよね……誰かしらと兄弟だったり、親戚だったりらしいですね」
 え、そうだったの?
 そう思ってスズエさんの方を見る。確かに、ボク達祈花兄弟の父親とスズエさん達森岡きょうだいの母親はきょうだいで、いとこ同士だということは知っているけど……。
「まぁ、あとで教えますよ」
 そう言って、スズエさんは駐車場にあった車のうちの一台に近付く。
「……ちょっと待って?」
 ケイさんが止めると、「どうしました?」とスズエさんは首を傾げる。
「君、高校二年だよね?」
「そうですが」
「免許持ってないよね?」
「大丈夫です、運転は出来ます」
「いやいや、無免許運転になるからー!」
「大丈夫ですって、バレなければ」
「……スズエさん、ボクが運転するから助手席に乗って……」
 普通に犯罪をするんじゃない……。
 そう思いながら、ボクが運転席に乗る。免許証持っててよかった……。
 ユキナさんの車とボクが運転する車、エレンさんが運転する車と分かれて発進した。
「ユウヤ、免許持ってたんだね」
 レイさんが後ろから声をかけてくる。
「自営業ですからね。自分で運転できないと仕事できないので」
「あぁ、なるほどね。疲れたら俺も運転出来るから、言ってね」
「ありがとうございます」
「あ、ユウヤさん。この住所に行ってください」
 スズエさんに言われ、ボクはナビゲーションをつけた。
「ここ、誰かの家みたいだけど」
「大丈夫です、私の家なので」
 あぁ、なるほどとボクは笑う。確かに、ここからなら一番近いから丁度いい。
 ユキナさんとエレンさんの車が後ろからついてくる。三十分ぐらいで森岡家に着く。
「久しぶりですね……ここも」
 スズエさんが家の鍵を開けると、エレンさんが呟く。
「どうぞ、入ってください」
 スズエさんに案内され、ボク達は家の中に入る。
 森岡家は一部の部屋以外、生活感がない。
「部屋は自由に使ってください。……今後のことはちょっと明日以降考えましょう」
 私はユキナさんと迎えに行きますから、とスズエさんはどこかに行ってしまった。
「とりあえず、シャワー浴びないっすか?タオルとかは自由に使っていいっすよ。お風呂場は……」
 シルヤ君が家の中を案内してくれた。
「そういえば、あなたは……」
 エレンさんがスズエさんに似た少女――アカリちゃんを見て尋ねる。彼女は「あ、えっと……」と戸惑っていたけど、
「大丈夫ですよ。……妹、でしょう?」
 優しく微笑んでそう言った。アカリちゃんもシルヤ君も驚いているけど、
「聞いたことがあったんですよ。もう一人妹がいたと」
 その言葉にボクは思い出した。確かに、末妹がいたらしいのだが死んでしまったと聞いたことを。
「よかった、ユキナさんに拾ってもらっていたんですね」
「……お兄ちゃん」
 それを聞いたアカリちゃんが涙を浮かべながら、エレンさんに抱き着いた。
 皆がシャワーを浴び終わり、待っていると「すみません、遅くなりました」とスズエさんとユキナさんが戻ってきた。
「ど、どうしたの?」
 レントさんが尋ねると、「ナナミ、アリカさん」と廊下側に声をかける。
 呼ばれた二人は恐る恐る前に出てきた。
「お姉ちゃん……?」
 キナちゃんが明るい紫色の髪の少女を見て目を丸くした。
「……うん、キナ、生きててよかった」
「お姉ちゃん!」
 ナナミさんが小さく微笑むと、キナちゃんが泣きながら姉に抱き着いた。
 スズエさんとユキナさんを見ると、二人は優しく微笑んでいた。
 ――あぁ、二人がどうにかしてくれたんだ。
 そう判断するのに、時間はかからなかった。

 次の日、朝食を作ってくれているスズエさんに「その、帰らないと……」と声をかけると彼女は目を丸くした。
「え?ここに住んだらいいじゃないですか」
「……え?」
 何を言っているのだろう?と首を傾げていると「そっちの方が私も都合いいですし」と告げる。
「都合がいい?」
「……多分、私達は残党に狙われると思いますから。もちろん違うところに住んでいた方がいいかもしれないけど、そうなると守れるものも守れないですから」
「あー……なるほどね」
 確かに、それも一理ある。
「でも、いいの?ここに住んで……」
「どうせ私一人だけですし、こんなに広い家もなかなかないでしょう。まさかマンション一つ買うわけにもいきませんし」
「いや買うって」
「それだけの資産ありますから」
 ……そう言えば、この子情報屋だし研究者一家の娘だった。
 スズエさんは少し考え込み、
「……祖父母の研究、引き継ごうかな?」
 そう呟いた。
「うん。いいと思うよ」
「その時は、ユウヤさんも手伝ってくれます?」
「もちろんだよ」
 ボクが笑うと、彼女も微笑み返してくれた。
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