58 / 61
エピローグ
未来への道
しおりを挟む
「そういや、なんで俺らはここに集められたんだ?」
タカシさんの質問に「あー、その……」とスズエさんが困ったように答えた。
「……実は、そのことについてなんですけど……」
「……?歯切れが悪いね?」
「……その、首輪の設定とか、脱出経路とかをハッキングしている時に……みんなとの関係性が書かれたものを見つけたんですよね……誰かしらと兄弟だったり、親戚だったりらしいですね」
え、そうだったの?
そう思ってスズエさんの方を見る。確かに、ボク達祈花兄弟の父親とスズエさん達森岡きょうだいの母親はきょうだいで、いとこ同士だということは知っているけど……。
「まぁ、あとで教えますよ」
そう言って、スズエさんは駐車場にあった車のうちの一台に近付く。
「……ちょっと待って?」
ケイさんが止めると、「どうしました?」とスズエさんは首を傾げる。
「君、高校二年だよね?」
「そうですが」
「免許持ってないよね?」
「大丈夫です、運転は出来ます」
「いやいや、無免許運転になるからー!」
「大丈夫ですって、バレなければ」
「……スズエさん、ボクが運転するから助手席に乗って……」
普通に犯罪をするんじゃない……。
そう思いながら、ボクが運転席に乗る。免許証持っててよかった……。
ユキナさんの車とボクが運転する車、エレンさんが運転する車と分かれて発進した。
「ユウヤ、免許持ってたんだね」
レイさんが後ろから声をかけてくる。
「自営業ですからね。自分で運転できないと仕事できないので」
「あぁ、なるほどね。疲れたら俺も運転出来るから、言ってね」
「ありがとうございます」
「あ、ユウヤさん。この住所に行ってください」
スズエさんに言われ、ボクはナビゲーションをつけた。
「ここ、誰かの家みたいだけど」
「大丈夫です、私の家なので」
あぁ、なるほどとボクは笑う。確かに、ここからなら一番近いから丁度いい。
ユキナさんとエレンさんの車が後ろからついてくる。三十分ぐらいで森岡家に着く。
「久しぶりですね……ここも」
スズエさんが家の鍵を開けると、エレンさんが呟く。
「どうぞ、入ってください」
スズエさんに案内され、ボク達は家の中に入る。
森岡家は一部の部屋以外、生活感がない。
「部屋は自由に使ってください。……今後のことはちょっと明日以降考えましょう」
私はユキナさんと迎えに行きますから、とスズエさんはどこかに行ってしまった。
「とりあえず、シャワー浴びないっすか?タオルとかは自由に使っていいっすよ。お風呂場は……」
シルヤ君が家の中を案内してくれた。
「そういえば、あなたは……」
エレンさんがスズエさんに似た少女――アカリちゃんを見て尋ねる。彼女は「あ、えっと……」と戸惑っていたけど、
「大丈夫ですよ。……妹、でしょう?」
優しく微笑んでそう言った。アカリちゃんもシルヤ君も驚いているけど、
「聞いたことがあったんですよ。もう一人妹がいたと」
その言葉にボクは思い出した。確かに、末妹がいたらしいのだが死んでしまったと聞いたことを。
「よかった、ユキナさんに拾ってもらっていたんですね」
「……お兄ちゃん」
それを聞いたアカリちゃんが涙を浮かべながら、エレンさんに抱き着いた。
皆がシャワーを浴び終わり、待っていると「すみません、遅くなりました」とスズエさんとユキナさんが戻ってきた。
「ど、どうしたの?」
レントさんが尋ねると、「ナナミ、アリカさん」と廊下側に声をかける。
呼ばれた二人は恐る恐る前に出てきた。
「お姉ちゃん……?」
キナちゃんが明るい紫色の髪の少女を見て目を丸くした。
「……うん、キナ、生きててよかった」
「お姉ちゃん!」
ナナミさんが小さく微笑むと、キナちゃんが泣きながら姉に抱き着いた。
スズエさんとユキナさんを見ると、二人は優しく微笑んでいた。
――あぁ、二人がどうにかしてくれたんだ。
そう判断するのに、時間はかからなかった。
次の日、朝食を作ってくれているスズエさんに「その、帰らないと……」と声をかけると彼女は目を丸くした。
「え?ここに住んだらいいじゃないですか」
「……え?」
何を言っているのだろう?と首を傾げていると「そっちの方が私も都合いいですし」と告げる。
「都合がいい?」
「……多分、私達は残党に狙われると思いますから。もちろん違うところに住んでいた方がいいかもしれないけど、そうなると守れるものも守れないですから」
「あー……なるほどね」
確かに、それも一理ある。
「でも、いいの?ここに住んで……」
「どうせ私一人だけですし、こんなに広い家もなかなかないでしょう。まさかマンション一つ買うわけにもいきませんし」
「いや買うって」
「それだけの資産ありますから」
……そう言えば、この子情報屋だし研究者一家の娘だった。
スズエさんは少し考え込み、
「……祖父母の研究、引き継ごうかな?」
そう呟いた。
「うん。いいと思うよ」
「その時は、ユウヤさんも手伝ってくれます?」
「もちろんだよ」
ボクが笑うと、彼女も微笑み返してくれた。
タカシさんの質問に「あー、その……」とスズエさんが困ったように答えた。
「……実は、そのことについてなんですけど……」
「……?歯切れが悪いね?」
「……その、首輪の設定とか、脱出経路とかをハッキングしている時に……みんなとの関係性が書かれたものを見つけたんですよね……誰かしらと兄弟だったり、親戚だったりらしいですね」
え、そうだったの?
そう思ってスズエさんの方を見る。確かに、ボク達祈花兄弟の父親とスズエさん達森岡きょうだいの母親はきょうだいで、いとこ同士だということは知っているけど……。
「まぁ、あとで教えますよ」
そう言って、スズエさんは駐車場にあった車のうちの一台に近付く。
「……ちょっと待って?」
ケイさんが止めると、「どうしました?」とスズエさんは首を傾げる。
「君、高校二年だよね?」
「そうですが」
「免許持ってないよね?」
「大丈夫です、運転は出来ます」
「いやいや、無免許運転になるからー!」
「大丈夫ですって、バレなければ」
「……スズエさん、ボクが運転するから助手席に乗って……」
普通に犯罪をするんじゃない……。
そう思いながら、ボクが運転席に乗る。免許証持っててよかった……。
ユキナさんの車とボクが運転する車、エレンさんが運転する車と分かれて発進した。
「ユウヤ、免許持ってたんだね」
レイさんが後ろから声をかけてくる。
「自営業ですからね。自分で運転できないと仕事できないので」
「あぁ、なるほどね。疲れたら俺も運転出来るから、言ってね」
「ありがとうございます」
「あ、ユウヤさん。この住所に行ってください」
スズエさんに言われ、ボクはナビゲーションをつけた。
「ここ、誰かの家みたいだけど」
「大丈夫です、私の家なので」
あぁ、なるほどとボクは笑う。確かに、ここからなら一番近いから丁度いい。
ユキナさんとエレンさんの車が後ろからついてくる。三十分ぐらいで森岡家に着く。
「久しぶりですね……ここも」
スズエさんが家の鍵を開けると、エレンさんが呟く。
「どうぞ、入ってください」
スズエさんに案内され、ボク達は家の中に入る。
森岡家は一部の部屋以外、生活感がない。
「部屋は自由に使ってください。……今後のことはちょっと明日以降考えましょう」
私はユキナさんと迎えに行きますから、とスズエさんはどこかに行ってしまった。
「とりあえず、シャワー浴びないっすか?タオルとかは自由に使っていいっすよ。お風呂場は……」
シルヤ君が家の中を案内してくれた。
「そういえば、あなたは……」
エレンさんがスズエさんに似た少女――アカリちゃんを見て尋ねる。彼女は「あ、えっと……」と戸惑っていたけど、
「大丈夫ですよ。……妹、でしょう?」
優しく微笑んでそう言った。アカリちゃんもシルヤ君も驚いているけど、
「聞いたことがあったんですよ。もう一人妹がいたと」
その言葉にボクは思い出した。確かに、末妹がいたらしいのだが死んでしまったと聞いたことを。
「よかった、ユキナさんに拾ってもらっていたんですね」
「……お兄ちゃん」
それを聞いたアカリちゃんが涙を浮かべながら、エレンさんに抱き着いた。
皆がシャワーを浴び終わり、待っていると「すみません、遅くなりました」とスズエさんとユキナさんが戻ってきた。
「ど、どうしたの?」
レントさんが尋ねると、「ナナミ、アリカさん」と廊下側に声をかける。
呼ばれた二人は恐る恐る前に出てきた。
「お姉ちゃん……?」
キナちゃんが明るい紫色の髪の少女を見て目を丸くした。
「……うん、キナ、生きててよかった」
「お姉ちゃん!」
ナナミさんが小さく微笑むと、キナちゃんが泣きながら姉に抱き着いた。
スズエさんとユキナさんを見ると、二人は優しく微笑んでいた。
――あぁ、二人がどうにかしてくれたんだ。
そう判断するのに、時間はかからなかった。
次の日、朝食を作ってくれているスズエさんに「その、帰らないと……」と声をかけると彼女は目を丸くした。
「え?ここに住んだらいいじゃないですか」
「……え?」
何を言っているのだろう?と首を傾げていると「そっちの方が私も都合いいですし」と告げる。
「都合がいい?」
「……多分、私達は残党に狙われると思いますから。もちろん違うところに住んでいた方がいいかもしれないけど、そうなると守れるものも守れないですから」
「あー……なるほどね」
確かに、それも一理ある。
「でも、いいの?ここに住んで……」
「どうせ私一人だけですし、こんなに広い家もなかなかないでしょう。まさかマンション一つ買うわけにもいきませんし」
「いや買うって」
「それだけの資産ありますから」
……そう言えば、この子情報屋だし研究者一家の娘だった。
スズエさんは少し考え込み、
「……祖父母の研究、引き継ごうかな?」
そう呟いた。
「うん。いいと思うよ」
「その時は、ユウヤさんも手伝ってくれます?」
「もちろんだよ」
ボクが笑うと、彼女も微笑み返してくれた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2025/12/15:『ちいさなむし』の章を追加。2025/12/22の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/14:『さむいしゃわー』の章を追加。2025/12/21の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/13:『ものおと』の章を追加。2025/12/20の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/12:『つえ』の章を追加。2025/12/19の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/11:『にく』の章を追加。2025/12/18の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/10:『うでどけい』の章を追加。2025/12/17の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/9:『ひかるかお』の章を追加。2025/12/16の朝4時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる